島田のお諏訪さま

『坂戸市史 民俗史料編 I 』原文

島田と小沼の仲が悪い話 勝呂
昔、赤尾のお諏訪様と島田のお諏訪様は夫婦でね、赤尾のお諏訪様は奥さんで、片方島田は亭主だったそうな。それで島田の方じゃ大水が出ると、ピカー、ピカーと光って、島田のお諏訪様が出てくる。そうすると赤尾でもピカー、ピカーと出てくる。それは、すごいいきおいで二つの光が小沼の土手へあがる。そうすると小沼の土手が切れ、島田と赤尾の方は大水がスーッとひく。
それで島田と小沼は仲が悪くなり、今だに縁組みをしてはならないと伝えられている。(話者・石井 小林勝太郎)

島田のお諏訪さま 勝呂 島田のお諏訪さまは小沼の方角を向いている。そのうえ、小沼に一番近い耕地に建てられてある。これは大水が出たとき、竜神となって、まっ先に小沼の堤防をきりに行くためだといわれている。(話者・横沼 斎藤五郎)

島田のお諏訪さまと火の玉 勝呂 昔、島田では大水が出ると、島田のお諏訪さまから大きな火の玉があがり、小沼の方角へ飛んで行くという。そうすると島田の水害はなくなるといわれている。(話者・島田 岡安忠次)

島田のお諏訪さまと小沼のお諏訪さま 昔から島田のものと小沼のものとは縁組みをしてはならないといういわれがあった。それは両方にある鎮守さまがケンカして仲が悪いからだといわれている。
昔のこと、大雨が降り越辺川が氾濫して、島田に被害が出そうになった時、島田のお諏訪さまが竜神となって小沼の堤防をこわしに行った。ところがそれをふせごうとして、こんどは小沼のお諏訪さまが竜神となってあらわれ、すさまじい争いとなった。そのため、両方の鎮守さまは互いににらみあったままだといわれている。島田は越辺川の上流にあり、小沼は下流なので、小沼の堤防が決潰すると、島田は自然に楽になるということである。(話者・横沼 斎藤五郎)

『坂戸市史 民俗史料編 I 』より