ダイジャボッチャ

埼玉県飯能市

昔、ダイジャボッチャという巨人が、日和田山と多峰主山を天秤棒の両端につるしてやって来た。一休みしようと思って山をおろした。この時、天秤棒の前につるした日和田山はそっとおろしたが、後ろの多峰主山はどしんとおとしたので、先がくずれて尖り低くなったという。(『飯能の伝説』)

みずうみ書房『日本伝説大系5』より原文


ダイダラボッチを「だいじゃぼっちゃ」と呼んでいる点に注目したい例。無論、だからといって直ちに「大蛇」と重なっている、というわけではない。特に、北関東の巨人譚は「昔は何とかボッチとかはいっていなかった、アマンジャクの仕業だといっていた」と記録されていることがままあり、そちらの語感が継承されている可能性もある。

とはいえ、さらに北に行った榛名湖では、大蛇をそのヌシとする湖であるが、デエラボッチが造った湖であるともいい、その水神であるのだともいう。

榛名の大男
群馬県高崎市内:旧榛名町:榛名の大男が駿河の大男と山作りの勝負をする。

飯能のあたりでも、巨人と水神が交錯していた可能性はあるだろう。そこにこういう名が伝わったことは覚えておきたい。