亡くなった人を蛇窟の前に置いておくと、蛇が食べて骨だけ残る。なくなれば、それはジャンキナン(장기남)だと。亡くなった人のための儀式がジャンキナンだと、そういったみたいだ。
しかし、牧使が済州に来て、それはいけないことだといい、こっそり蛇にソガン(서광)を抱えさせた。ソガンはひどい腫物にもよく効く薬だが、爆発するものでもある。それで、蛇は爆発して死んでしまった。
金寧の蛇窟には、嵐を起こして穀物を作らせない大蛇がいるので、処女を生贄に捧げて祀っていた、という話があり(「金寧の蛇窟・一」)、そちらのほうがこの地の伝説としては一般的であるようだ。
ところが、これが生贄ではなく葬儀のことだった、という話となると、大変考えどころとなる。蛇穴とは、まさに死者を葬るのに適した土地のことなのだ。生贄の処女とは、そのような死者の地と主に仕える巫女のことだった、とするとどうか。この話には、なにかパチリとはまるものがある。
なお、(9-2)637とあるが、現在ネット上では地域別のディレクトリからはたどれないようだ。検索結果には出てくる。
ちなみにジャンキナンは「장기남」とあるが不詳。ソガンは「서광」とあり、辞書では「砂鑛」と出る。砂鉄か。