昔、七つ池に牡の大蛇(おろち)が住んでいました。ときどき、この大蛇は、小畑の池に住む牝の大蛇のところに会いにいきます。
その年には、大蛇の通った道々の作物が豊作になるといわれています。
七つ池は長塚町に今もある(五つほどの池となっているようだが)。小畑の池は高神東町の小畑池だと思うが、もう犬吠埼のすぐ近くであり、海近くだ。この間を結ぶ夫婦の大蛇が豊作をもたらすという。
要約のしようもないほど短い話だが、蛇の移動経路(時に巨人の痕跡)は、そこに豊作と不作をもたらす両極端な説明となることがあり、その豊作側の事例として。無論、それが夫婦蛇の行き来であるということが大きいだろう。
また、ここ銚子と夷隅を結ぶヒゲタ醤油の大蛇が醤油の出来を良くする、という話もある(「蛇が谷」)。近い感覚があるかもしれない。