石室の大蛇 栃木県矢板市 鉄砲打ちが、秋鹿を狙って、石室を造り、鹿笛を吹いていると、鹿の鳴き声と間違って大蛇が来て、猟師をひと呑みにしようとした。そこで猟師が鉄砲で大蛇を撃ち殺したが、長さが六メートルもあり、仲間を呼んでかつぎ下ろしたという。 この大蛇は大変評判になって、方々から見物にくる人があった。また、これを大田原公にさし上げたところ、大変珍しいと、たくさんの褒美を賜ったそうな。石室は地名となり、高原山の朴の木沢にある。 矢板市郷土文化研究会『矢板の伝説』より要約 その大蛇の亡骸・蛇骨などが、見世物になったり、雨乞いのアイテムになったりする場合は、その大蛇を討った話には蛇の祟りが起こらない傾向がある、という一例（「大蛇退治」なども参照）。 また、それはそれとして、この話は「鹿笛」が登場している事例でもある。大蛇を狙ってかどうかはともかく、このように鹿笛を吹くと大蛇が出る、という話はままある（「波打蛇骨」）。これはまた那須の奥へいっても見ることになるだろう。 ツイート