HUNTER's LOG
MONSTER HUNTER 0

砂漠にいない水竜


ガレオスを狩って暮らしているものにとって、ガレオスたちの親分がドスガレオスであるのは当然として、さらに上の大親分とみなされてきたモンスターがいる。水竜ガノトトスである。これは武器にも表れていて、ガレオス素材のライトボウガンをベースに、彼らはガノトトス素材を用いるライトボウガン・メイルシュトロームを開発してきた(MHXXではゲーム上デザートストームからメイルシュトロームは派生しないが、例によってここではそのラインで作られるものとする)。

ところが、だ。そのガノトトスが砂漠と縁遠くなってしまった。かつては砂漠の名クエストとして、その名も「砂漠の水竜」があったものだが、MHXXでは、Gクラスに行くまでガノトトスが砂漠に現れない。住処の地底湖の無くなってしまったデデ砂漠はともかく、大きな変化はなく地底湖も健在なセクメーア砂漠において、なぜ上位でガノトトスを配さなかったのか、どうにも解せぬところである。

水竜のいない地底湖

(余談だが、上位・下位を並行させたように、Gクラスも並行させてしまえば良いのだか、そうはいかぬ事情というのがある。ここの背景となる物語においては、各地に異常な強個体モンスターの出没するフィールドがある、という点が大変重要な意味を持っている。それがGクラス指定を受ける場所だということで、そこは崩せない)

デデ砂漠のこと

ここまで詳しく触れなかったが、MH1の砂漠であるデデ砂漠(旧砂漠)は、十年ですっかり様変わりしてしまった。ゲーム上はMH4Gで復活した際に大きく変わり、ジャンプアクションなどのための高低差の多いフィールドとなっている。

しかし、その変化は大なり小なり他の旧来のフィールドにもあるのだが、デデ砂漠は頭抜けている。というよりも、その必要と関係のないところまでの激変がある。かつての地底湖はトップ画像のような洞窟になり、水がなくなってしまったが、ここなど高低差をつけるという理由とはなんら関係がないだろう。

デデ砂漠を一変させた隕石

恐らくは隕石の落下による大災害があったのである。エリア8の洞窟に現物がある。こちらの話としても、この災禍を受け、バーディヤの人々は数年セクメーア砂漠のほうに移り住んでいる。一変したデデ砂漠が落ち着きを見せ、姿を消していたガレオスたちが戻ってきたのを見て、バーディヤの人たちもまた帰ってきたという流れだ(それで昨今はセクメーア砂漠にもよく足を伸ばしている)。

ともあれ、デデ砂漠に関してはこのようにガノトトスがいなくなった背景が描ける。しかし、それでバーディヤのものたちが「あら、残念」で済むかというとそうはいかない。彼らにとって、砂漠の水竜は特別な存在だったのだ。

メイルシュトローム

主な理由はふたつある。ひとつは、バーディヤが好んで使うライトボウガン・デザートストームからの派生強化版にガノトトス素材のボウガン・メイルシュトロームがあることによる。魚竜の素材を用いるライトボウガンというのは、同形状のシリーズものになっており、一連の派生ツリー上にあるのが自然だ。

(下画像
 左:メイルシュトローム
 中:デザートストーム
 右:ラヴァシュトローム
   ヴォルガノス素材の軽弩)

魚竜軽弩の御三家

内、MHXX上では、ラヴァシュトロームはデザートストームから派生強化されるのだが、メイルシュトロームはエビィーガンからとなる。しかも、LV1を作るのに獰猛化狩猟の証Iを必要とするので、ここのルーキーの話とはかけ離れたものとなってしまう。

ここの話では、デザートストームはバーディヤと歩みを一にして開発・改良されてきたライトボウガンであり、ガレオスたちの大親分の軽弩・メイルシュトロームもまたそうであるということになっている。これにあわせて、ここではメイルシュトロームはデザートストームをベースに、ガノトトスの素材と妥当な鉱石があればできるものだとしてしまおう。素材の吟味調達においても、その製法についてもバーディヤが肝を握っている軽弩なのだということだ。それが、ガノトトスがいなくなってしまうと失伝してしまうのである。これは由々しき事態だ。

もうひとつの理由は、この背景の元に、バーディヤのルーキーが一人前となるための関門が正に「砂漠の水竜」の単独狩猟であったことにある。彼らの連携技術の要となるのが、多くの弾種に対応する工夫の凝らされたメイルシュトロームなのだ。ルーキーハンターが単純なアタッカーから、幅広い状況対応能力が必要とされるサポーターへ一歩進むことの象徴がガノトトスを狩猟しメイルシュトロームを手にすることにあったのである。他の土地のような「街へ」という意識は希薄なバーディヤだが、一人前の目安となる目標の喪失は痛い。

妙に似合う渓流の景色

ガノトトス討伐

さて、上のような話の流れで、バーディヤのルーキーは外の地域に出向いてガノトトスを単独で狩ってくる次第となっているとしよう。しかし、さらに問題があって、MHXX村上位のガノトトス単体討伐が遺群嶺なのだ。これはちょっとピンとこない舞台になってしまう。そこで、渓流の黄金魚釣りクエストのゲストに確定で登場する(サブクリア目標)ガノトトスを狩りに行こう。バーディヤの事情を理解しているギルドが、密かに斡旋してくれるものだとすると、むしろ似合いの状況だろう。

狩猟の流れとしては、いきなりガノトトスを叩くことはせず、まずは不慣れな(バーディヤのものは一般に外の地域への興味が薄い)渓流フィールドの見取りからはじめる。事前にその地理を聞いて、ガノトトスの移動域も承知しているとし(リオつながりで縁のあるデーダ村のローグのもとを訪れている)、うまく鉢合わせを避けながら砂漠では滅多に採れないアオキノコなどを得て、回復薬がどんどん作れることに感動したりするわけだ。

回復薬がたくさん使える

これは他の稿で述べるが、ここでは回復薬はその土地に自生するものから作ったもののほうが効果が高いとしている。この話はリオ(とその師匠)由来の話で、関係者にはよく知られている知恵である。そのほかにも、砂漠のガンナーとしては弾の材料となる各実の所在は確認しておきたいところだろう。また、ゲーム上のクエストは黄金魚釣りなので、これも黄金ダンゴを使ってさっくり釣ってしまっておきたい。

針10の手前くらいまではそのようにし(初日の八・九時間)、午後になってガノトトスに仕掛ける。初手はもう確立したものがあるので、エリア7で定跡通り釣りカエルでの釣り上げを狙う(ついでに爆破もしてしまう)。ちなみに昔のガノトトスと違い、未発覚時に釣りカエルを投入しても、食いつく前に発覚状態になって釣れないので、未発覚時にけむり玉で気配を消す必要がある。

けむり玉は必須

かつては直線ブレス・這いずりをスカすことに専念して貫通弾で斜め前から貫き続けるものだったガンナーのガノトトス狩猟だが、昨今はガノトトスの陸上戦闘技術が発達しているので、そうはいかない。とはいえそれぞれの予備動作を見切りさえすればどんどん撃ち込んでいける相手ではあるので、やはり近接武器よりは気が楽だろうか。

殊に、デデ砂漠のエリア2で鍛えたバーディヤガンナーの仰角取りの技術があれば、ガノトトスの旋回範囲に入り込んでのインファイトができる。各攻撃の隙に、弱い腹や首下にこれでもかとLV2通常弾の速射を叩き込めるわけだ。やりすぎるとルーキーとは思えぬ5分討伐になってしまうので(この釣りクエストのガノトトスは全体防御補正が低い)、そこはほどほどにしたいが、従来のガノトトス撃ちとは異なる激しい立ち回りができる。

ちなみにインファイトをやるときは、ガノトトスの噛み付きに注意だ。昔と違ってこれを食らうとハンターは寝てしまう。そこに一段強力な側面タックル(というのが今はある)など受けようものなら、ガンナー装備ではシャレにならない。元気ドリンコは持ち込んでおきたい。

インファイトができると楽

一般には通常弾運用では腹寄りの首下を狙う。これはガノトトスの動きが多様化したせいで、狙えるチャンスが増えている。そのあたり上手いこと捉えられるようなら、持ち込みのLV2通常弾で十分、日が落ちる針15前には瀕死に持ち込めるだろう。ガノトトスはエリア6に向かう渓流を這いずるように遡って去っていくので見ものだ(逆にエリア6で登場を待っていると、滝を飛び越えてエリアに入ってくる)。

しかも、古参にはもっと見ものな状態がある。瀕死のガノトトスはエリア8の洞窟に逃げ込んで寝るのだが、当然そこには深い水場などない。どうするのかというと、ドスガレオスのように立って寝る。砂漠のガンナーは、なるほどこれはガレオスどもの大親分だと思うことだろう。昔は水中で寝るものだったガノトトスだが(今でも渓流以外ではそうだが)、設定ではエラはなく肺呼吸と皮膚呼吸をしているモンスターなので、寝方としてはこの方が理にかなってはいる。例によって針15から針25は夜として、ハンターも寝るものとするが、このタイミングではこの光景を一目見てから休憩に入りたい。

古参がたまげる寝姿

針25を過ぎたら二日目ということで、決着をつけよう。ガノトトスはどこでも決まった数エリアしか移動しないので、順に辿ればすぐ見つかる。また、瀕死に持ち込んでいるなら、少し攻撃すればまたすぐ洞窟に逃げる。ここまでくれば無理に危険を犯さなくても、適当に撃っていれば討伐となる。

かくして砂漠のルーキーは関門を経て砂漠に帰還し、メイルシュトロームを手にすることになる。多彩な弾種への対応に加え、LV2睡眠弾速射というモンスターにしてみれば悪夢のような性能を持つ軽弩だ。砂漠での狩も、ボマーなど発揮して、序盤に睡眠爆破で畳み掛けるというような、これまでと違った狩模様を試すようになるだろう。こうしてバーディヤのガンナーは、広く状況を見渡せるベテランへの道を歩みはじめるわけである。

睡眠爆破仕様

▶︎ 関連記事

概要
MHシリーズの基盤にはどのような構成があるべきか、ここでは「MONSTER HUNTER 0」のタイトルでそれを考えてみたい。

▼ 砂漠の村

砂漠と軽弩と
砂漠にも独自の村の話がある。女傑に率いられるそのバーディヤという村は、ガレオスの狩猟を生業とし、ガレオスの群れを追って暮らしている、所在の定まらぬ村だ。ここでは、そこのハンターの狩の日々も見ておきたい。バーディヤの村のことはすでに十年前にも書いたわけだが、当時から「生業」という側面が強く意識された話であった。

特産交易とガレオスと
砂漠で得られる物資は限られている。ゆえに、各地との交易が必須である。特に、生命線となる耐暑アイテムの素材たる氷結晶の安定した入手経路は重要だ。すなわち雪山ポッケ村との交易が盛んという話になる。

ハプルボッカ特需
砂漠のお宝というのは世間によく共有されたイメージだが、MH1・MH2の頃の砂漠にはそういう面はなかった。これが色濃くなったのは、一攫千金を狙ってジエン・モーランに群がった、ロックラックの連中の活躍以降だろう。しかし、確かにあの連中のバイタリティには魅力があるわけで、MHXXの砂漠にもその気風を少し分けてもらいたい。

▼ その他

激闘リオレイア
ココット村のルーキーハンターは、三年ほど村と直轄の森丘の狩場で基礎を培う。そして、関門とされるモンスターを狩猟してのけたならば、ものになる者として街へ送り出される。イャンクックを狩れればまずまず、リオレイアを狩ってのけたならば期待の新人と見做されるだろう。

補:武器の背景
「この武器をとことん使いこなしたい」という武器を持つハンター(プレイヤー)はさいわいである。武器種ではなく、特定のひとつの武器ということだ。それがあって、本当に「とことん」だったら、それだけで1シリーズ1000時間の狩猟経験となるだろう。MHにおける武器への愛着というのは、本来そのくらいのものであるはずだ。