HUNTER's LOG
MONSTER HUNTER 0

鍛冶とハンターと


極寒の雪山から、舞台は一転して灼熱の火山に移る。ここの話は根本の部分が他と違う。主人公は生粋のハンターではない。火の国の工房村に生まれ育った鍛冶のルーキーである。その彼が(専門には敵わぬまでも)狩猟も行っているのだ。

これは彼が鍛冶師として、自分の作る武具が使われる現場を体験せずして鎚が振るえるか、と考えていることによる。自身の手がける武器系統全ての扱いに通じるべく、ハンターとしてギルドの依頼も受け、各地に狩に出かけている。故に、MH0の中でも比較的幅広い活動を行う話になる。

ハンマーの村

そのような鍛冶ハンターも、普段使いはまずハンマーである。そもそもハンマーは火の国の鍛冶の振るう鎚からの転用に始まったのじゃないかという疑いがある。MH4Gから登場のハンマー・オオナグリは、以前からあちこちに登場する「伝説の職人」(MHXXでは龍識船にいる)が工房と狩場で振るっていたものだ(彼は鍛冶ハンターだった)。このハンマーを再現したベルナ村工房の親方はそのものの鬼鉄(アイアンハンマー)を手にしている。このハンマーの由来は、まだハンターにハンマーという武器が広まっていなかった頃、ひとりの老ハンターがこれを振るっていた、ということによる。その老ハンターは鍛冶師でもあったのじゃないか。

歴代の親方

MH4系の火山の鍛冶の村・ナグリ村の土竜族の親方(村長)は、アンヴィル(鉄床)ハンマーを手にしていた。モガ村の親方やユクモ村の親方の手にする鎚もアイアンハンマーから棘を除いた、オオナグリのようなものである。ここではハンマー発祥の地は火の国の鍛冶村であるとし、ここのハンターはハンマーを好むものとしたい。

なお、この背景には一応もっともらしい話もあって、主人公が狩場で用いるアイアンハンマーは、工房で振るう鎚と同重量・同バランスに作られている、ということになっている。どちらで振るっても、今一方の現場の腕に通じるというわけだ。このようなわけで、下のような出で立ちで火山を駆け回ることになる。

また、防具の方も普段使いの定番がある。見ての通りだが、手足はイーオスシリーズ。MHXXになって火の国が実用に成功したというウロコトル防具であるので、是非ともこれは若手の定番としたいところだ(現状は胴と腰しかないが)。有用なスキルが発動するというのでもないが(5スロの確保もできない)、護石を使って暑さ無効あたりは発動させたい。

鍛冶ときたら頭には角である

地底火山と渓流と

MHXXには火山と地底火山のフィールドがある。この地底火山の方は上位からとなるが、セカンドフィールドというより、ふたつめのホームとなる。ではセカンドフィールドはというと、渓流をこれにあてている。しかしこれも「実際主人公が暮らしているのはこういう環境だろう」ということで、ココット村やポッケ村の話とは少し違う。火山の村といってもナグリ村のようなのは土竜族であってこそで、人族がああいう村を営むのは考え難い。古来鍛冶は名水を求めるものだ。渓流の環境はうってつけだろう(ユクモ村ではないが、同じような村という感じで)。

プレイヤーとしては地底火山が非常に重要になる。いわずと知れた護石採掘の無限ループの話である。個人的には所謂「神おま(レアだが有用な高スキルポイントを持つ護石)」など特に必要とも思わなかったのだが、この火の国の鍛冶ハンターの試みを始めて気が変わった。

火山地域の人が採掘に火山に行くのは、鉱物のためばかりではなく、トレジャーハントの側面も強いだろうと思う。彼らは日々、さびた塊や太古の塊をもとめてピッケルを振るう(実際MH4系では発掘武器というのがあって、その精錬技術を持つのがナグリ村であった)。高性能の護石もその対象だろう。

これで生活するハンターもいるはず

そのようなことで、ただ高性能の護石が欲しい、というプレイヤー視点の話だった採掘マラソンが、MH世界の日常業務として組み込めるようになった、という話である。まだまだ高位のハンターの武具作成の依頼などこないルーキー鍛冶にとっては、そのへんが重要な収入源になっていそうだ。そして、この作業に関しては、またちょっと独自の試みをしてもいる。いくつかのフィールドを組み合わせて最終的に地底火山で採掘を行う、という話が後で出てくる。このためには、雪山のような「ルーキー時代相当に見立てた上位装備」が必要になる。

一方、ハンターとしての日常的なフィールドは渓流となる。よろず基本必要なものが得られるフィールドなので、そこは良いだろう。ここでは「特産」の方に注目したい。歴代でも、渓流は特産物の色々あるフィールドだ。ユクモの木を嚆矢として、特産タケノコ、ドスマツタケ、花香石、ロイヤルハニーなどがある。交易のためのこれらの採集は必須業務としたい。

ロイヤルハニー競合

取り立てては、ユクモの木とカクサンデメキン(砂漠)との交易というのが基本ルーチンになっている。砂漠に樹木は乏しいが、ロックラック地方では砂上船が発達しており、強靭な木材の需要は高い。片や爆弾の扱いに長けていそうな火山のハンターではあるが、火山・渓流ではカクサンデメキンが釣れない。この交換というのが気に入っている。

と、普通ならそんなところなのだが、鍛冶ハンターのフィールドとして、ここでは上とは別に、ごくありふれたアイテムを特産の中でも目玉としている。それは砥石だ。

砥石なんてどこでも採れるのだが、この「渓流の砥石」は格別の品質があるものだとしている。この村がここに構えられた大きな理由であるほどに。採ってくるのも本業は鍛冶であるハンターなので、そこは目が効くのだ。エリア8の洞窟には、上質な砥石の得られそうな雰囲気がある。

ここからはこのサイト全体の背景となる物語上のことなのだが、実はこの「鍛冶ハンター」というのは、わが主人公リオ・ホワイトロックの物語に実際登場する人物、ローグ・タンバという人がモデルである(村はデーダ村という)。リオよりは十歳くらい年上で、今や四十代半ばの人間の男なのだが、MH0の火山の話は、その彼が今ルーキーだったら、というもの(もっとも、ローグその人はもと生粋のハンターであり、火の国のデーダ村に落ち着いて鍛冶となった、という経歴なので少々筋は異なるが)。

もともと色々の武器系統を使うという好みのなかったリオは、十年ほど前にローグの影響で(というか彼に無理やり色々の武器の試用をさせられて)オールラウンダーとなった。それは黒龍の一件の後、リオが再起するときのお話……ということなのだが、それがどうしたというと、砥石である。

デーダ印の砥石

特産とはいったが、この砥石は広く売られているものではない。砥石というのもかなり限りのあるものなので、鍛冶の村としては、まず自分たちのために秘匿しておきたいものなのだ。しかし、リオやローグと縁のあったハンターには、ローグがこの知る人ぞ知る「デーダ印(☆印)の砥石」を融通しているという話なのであります。

ラングロシリーズのこと

ともあれ、こうしたわれらがルーキー鍛冶ハンターが武器を作ったり、その実際の使用を試したりするのだが、その前にもう一点小ネタを挟んでおきたい。ゲーム内に、ラングロトラの防具は、火の国のハンターが成人に際して着用するものだ、という記述がある。これは見逃せない。

こちらの話では成人は十五歳で、そこでハンターとしては本格的に狩場に出るとしているので、その時点でラングロシリーズを揃えているのはどうなのだという感じではある(実力はともかく、ラングロトラは危険度★4モンスターである)。しかし、魅力的な話ではあるので、火山におけるラングロシリーズの出番というのは確保しておきたい。

ラングロシリーズ

この防具の初見の印象は「爆弾処理班」だった。それでMHP3の頃はボマーをやるならこの防具で、という感じであったのだが、上のような「火の国ならでは」という話になってきて役割が変わった。今では、この防具を「火薬岩運搬」の専用防具としている。落とせば爆発する火薬岩であるので、爆弾処理班のイメージのあるこの防具は最適だろう(例によって特に役に立つスキルがつくわけではない、というか、逆に運搬には致命的なスタミナ回復遅延のマイナススキルが出てしまうので調整しないといけないが)。

森丘では一般の成人の後、数年経験を積んだ後にハンターとしてのイニシエーションがまたあり、竜の卵を運んでいた。火の国でもこれと同じ枠組みで火薬岩運びがあり、そのための防具としてラングロシリーズを準備しておかないといけない、というのはどうか。それなら上のギャップは解消されそうだ。

火薬岩は鍛冶仕事に必要なものというわけではない(必要なのは燃石炭)。しかし、ロックラックやドンドルマなどの街・ギルドの本部が重用するものであるので、火薬岩の採集も火山地域のハンターの重要な仕事ではある。この納品能力を持っていればひとまず食いっぱぐれることはない、くらいの位置付けだとすると、実利のあるイニシエーションであるといえる。そのような背景も、また後で再見されることになるだろう。

火薬岩は熱い!

▶︎ 関連記事

概要
MHシリーズの基盤にはどのような構成があるべきか、ここでは「MONSTER HUNTER 0」のタイトルでそれを考えてみたい。

▼ 火の国の村

初期武器とギルドと
ルーキーの鍛冶がいきなりハンター個人の依頼など受けることはない。まずは先輩・親方の助手を務め、自身の製作としては広くルーキーハンターのために店売りされている初期武器を鍛えてギルドに納品することが目標となる(多分あの流通はギルドが管轄している)。火山の鍛冶としては、やはり鉄武器を鍛えることになるだろう。

太古の戦と結晶武器と
どうも火山というフィールドは、われわれの世界でいう活火山とは異なるらしい。曰く、あそこは太古に巨龍との大戦があった土地である。曰く、禁忌の龍の出現した土地である。それらのことにより、大地が火を吹いてかくなったのである……と囁かれる。そこに出土する風化したいにしえの武器どもが、大戦の残滓であるのだ、と。

「探窟」と模倣と
今回はこれまでと全く異なり、ゲームプレイヤーとしての「私」視点からの話としたい。十年前にもやったが、要は私が「おお、これは」と膝を叩いた漫画などゲーム外の要素をゲーム内で模倣してみるという話だ。地底火山を舞台にしたその一例をあげ、あとここ数年でMHの世界を考える上で影響を受けたいくつかの作品を紹介したい。

溶岩竜ヴォルガノス
鍛冶を本業としながら、ハンターとしても日々狩猟を行うという話なのだが、双方の関門にうってつけのモンスターがいる。火山の〝兄貴〟こと、溶岩竜ヴォルガノスだ。MH3・MH4系列には登場しなかったので、MHX以降で初めて対面したというプレイヤーも少なくないかもしれない。

補:武器の背景
「この武器をとことん使いこなしたい」という武器を持つハンター(プレイヤー)はさいわいである。武器種ではなく、特定のひとつの武器ということだ。それがあって、本当に「とことん」だったら、それだけで1シリーズ1000時間の狩猟経験となるだろう。MHにおける武器への愛着というのは、本来そのくらいのものであるはずだ。

▼ その他

キレアジと骨武器と
色々なアイテムの解釈というものがアイテムの数だけあるわけだが、特にキレアジのこと。その背びれが非常に硬いので、砥石がわりになるという魚である。

ハレの日と竜の巣あさりと
採集クエストはゲーム内にたくさんあるが、あれしきで済むものとは思われないので、自分でクエストを作ってしまおう。MH0においては、基本クエストとは自分で作るものである。