寺山神社
索部:相模神社ノオト:2011.06.15
祭 神:武甕槌命
創 建:不詳
例祭日:七月第三日曜(もと十五日)
社 殿:流造桧皮葺/南南東向
住 所:小田原市根府川
JR東海道線根府川駅のすぐ側に鎮座されている。もとはその根府川駅近くに鎮座していたのだが、「元社地は熱海線開設により鉄道用地となったため大正九年移転。」と『神社誌』にある。
創建沿革は不詳。「寺山権現」と称されていたのを明治元年に「寺山神社」に改めたという。
西相模から東伊豆の沿岸にかけて「鹿島踊り」という祭祀が分布し、いずれ項を改めて詳細をまとめるが、ここ寺山神社もその鹿島踊りを行う。アクセスしやすいこともあってか有名で、鹿島踊りの例としてよく引かれているのがここ根府川寺山神社のものである(神奈川県指定無形民俗文化財)。
「鹿島踊り」と言うものの、これを行う神社で「鹿島神社」であるのは私の知る限り伊豆賀茂郡東伊豆町北川の鹿島神社だけだ。ここ寺山神社は社名こそ土地のものだが、祭神は武甕槌命であり、北川鹿島神社に次いで鹿島との繋がりの見える鹿島踊りの神社である。
境内社は『神社誌』に「山神社」、社頭掲示に「山神社・浅間神社」とあるが、現在実際の境内社(拝殿向って右側)には「天王社・姥社」の額が掛かっている。上写真の一棟の両脇に天王社・姥社の額がある。どのような変遷の次第があったのかは分からない。
また、境内拝殿向って左側には庚申塔と道祖神が祀られている。この道祖神像は小田原西部から相模湾に沿って伊豆賀茂郡東伊豆町稲取まで分布している「単座丸彫り型」と称される独特なもの(私は単に「伊豆型」とも言っている)。おそらく漁師の信仰と密接に関わる成り立ちをしたもので、同範囲が一連の漁師の文化圏であったことを示しているだろう。
参拝記
寺山神社へは平成二十二年の五月四・五日に参拝している。二日かけてここ根府川と隣りの浦の江之浦周辺を回った。先に述べたように寺山神社はもと根府川駅近くにあったと言うが、「熱海線」の位置は今のホームの位置ではなく、駅舎のある高台側にあったと言うので、その辺だろう。
根府川駅
フリー:画像使用
ちなみにJR東海道線の根府川駅は相模湾を望んで崖上にある名物駅で、駅目的で立ち寄る方も多いそうな。また、関東大震災時は地滑りで駅もろともに海中に没した経緯があり、当時のホームは今でも根府川の海中にあるという。
さらに近くには西相模住人には「荒天で東海道線がすぐ止まる原因」として有名な(笑)「白糸川橋梁」がある。いずれにしても海からすぐ山になる「浦」の地形がとてもよく分かる土地である。
「伊豆型道祖神」が「僧形」なのか「姫形」なのかという問題があるのだけれど(一般には「僧形」と言われ、私が「姫形」を主張している)、ここの道祖神さんは「姫形」の特色をよく持っている。一番手前はお地蔵さんのようだが、この像は首が取れてしまって別の頭をのせているものである。
寺山神社(小田原市根府川) 2011.06.15