御嶽神社

索部:相模神社ノオト:2011.06.09

祭 神:日本武尊
    (宇迦之御魂命)
創 建:貞観九年(伝)等
例祭日:四月四日(以降の近い土曜)
社 殿:権現造/南南西向
住 所:秦野市堀西沼代

『神奈川県神社誌』神奈川県神社庁

御嶽神社
御嶽神社
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お堂のような特徴的な社殿を持つこの御嶽神社は、貞観九年(867)・正平二十年(1365)などの創建伝承があるようだが(社頭掲示による)、はっきりしているのは永正年間(十六世紀)の文書に初見となる。創建から江戸時代を通じてもっぱら「蔵王宮」として呼称されていた。「御嶽」神社となったのは明治六年の事である。

秦野を中心に広がる「相模御嶽神社」の一群に関しては別途論ずるが、多くはこのように丹沢大山修験蔵王信仰の拠点であったと思われる。この堀西の御嶽神社は文書記録上その変遷が追える貴重な神社であると言えよう。

この地域、堀西(堀沼代・堀斎藤)・堀山下・堀川はかつて堀之郷という一地域であり、ここ蔵王宮が鎮守であったそうな。今でも例大祭にはそれぞれの地域の代表が参列するという。

また、『神社誌』上は日本武尊一柱の祭神だが、社頭掲示によると明治末年に「大森稲荷神社」を合祀したとあり、宇迦之御魂命を併せ祀っている。

境内社:聖徳神社
境内社:聖徳神社
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『神社誌』には境内社として「菅原神社」一社が記載されているが、その後「秦野西建築組合の方が太子講を開き」聖徳神社を勧請したとある(社頭掲示)。聖徳太子は宮大工の祖として木地師・木工建築業の人々に祀られる。多く「太子堂」として境内社にあるものと同じである。

他に、天神社(菅原神社)、山神社の石祠などが境内社にある。

境内社:天神社(菅原神社)
境内社:天神社(菅原神社)
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また、秦野を中心にたくさんある「天社神」の石碑が社頭にある。今となっては実態のよく分からない神格なのだが、ここ御嶽神社の天社神さんには珍しくその由緒が記されているのであげておこう。

天社神
天社神
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天社神
春秋の社日(春分、秋分に最も近い前後の戌の日)に農事を休んで地神講を開き農家の方々が農作物の豊作や収穫の感謝をお祈りした。

御嶽神社社頭掲示

この様に多くは「社日」と「天赦日」を組み合わせた神格が「天社神」なのだろうと説明される。個人的には天社神は関東の第六天信仰と密接に関わっていたのではないかと考えているが、それはまたいずれ。

さて、最後に一目特徴的な俵のような大注連縄に関してその由来が掲示されていたので、全文を紹介しておこう。

奉献 大注連縄 中西正夫様を中心に役員
神話で、豊葦原の瑞穂の国と言われ、稲作中心の農業国で、良い稲を作る為に稲藁で注連縄を作り根元は太陽の昇る東側に置き、南側から太陽の光を受け、時には雷光(稲光・稲妻)[紙垂で表現]より雨水をもらい、太陽の沈む西側に穂先を置き、毎年暮れになると神社に奉納したものです。然し、最近は科学の進歩により機械で耕し、化学肥料を与え、収穫は稲刈機・コンバインとなり藁の丈は短く、或は細かくなり、注連縄も良いものが作れなくなりました。平成六年就任の中西正夫様は昔ながらに水田を万能鍬で掘起し枯草や古い藁を細かく切って堆肥として、藁の丈が一米位になる種(実採らず)を新潟から取り寄せ、良い苗を作り、秋には、早めに収穫し青い藁を日陰で干し丁寧に数本ずつ揃えて小さい束を作り、年末には根元十糎位長さ五米位に藁を足しながら、硬く縛り、さらに左に捩りながら一本の束を作り最後に数人で二本を一本に重ね合わせ、硬く縛り梃子を利用し左に捩りながら一本にまとめ、最後の一本を重ね合わせて三つ編みの縄を掛けて拝殿前に取り付け、紙垂・藁房を付け完成しました。鳥居のも同様に作りました。もう十五年も続いています。 平成二十年記

御嶽神社掲示

大注連縄
大注連縄
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参拝記

御嶽神社へは平成二十二年の六月二十一日に参拝している。秦野ではあるが、交通的には小田急線渋沢駅からが近い所である。ここで実態がよく分からないので本文ではあげなかった点を。

本殿真裏の石神
本殿真裏の石神
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社殿真裏の石垣の上に写真のような石が祀られている。自然石のようにも何かの像が朽ちたようにも見えるがなんだか分からない。上に頭がのったら弁天さんにある巳の像のようにも見えるが、記録上弁天が合祀されたという話しはない。

本殿真裏の石神
本殿真裏の石神
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見る角度によっては蛇のようにも?

神社は四十八瀬川に近く、この上流には大蛇・大鰻の伝説がある。そのような水神格が祀られていてもおかしくない所ではあるが、よく分からない。

御嶽神社(秦野市堀西沼代) 2011.06.09

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