大阪府の竜蛇

門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より

話 名 大蛇
資 料 郷土研究上方 1巻1号/通巻1号
場 所 大阪市 北区
要 約 渡辺綱が自分の乗馬をつないでいたという樟の中には大蛇が棲むといわれ、みな恐れている。

話 名
資 料 郷土研究上方 1巻1号/通巻1号
場 所 大阪市 北区
要 約 昔より白蛇は棲むと伝えられている大樟があり、人々の耳目を集めている。

話 名 大蛇
資 料 郷土研究上方 1巻2号/通巻2号
場 所 枚方市
要 約 ある沼の淵に大蛇が棲んでいた。近くで蓮如上人が説法するというので、大蛇は美人に化けて熱心にそれを聞いたところ、功徳に感化されて昇天した。上人はその地に寺を建て、大蛇昇天の際に落とした金色の巨鱗3枚を蛇塔に納めた。

話 名 大蛇,人身御供
資 料 郷土研究上方 1巻4号/通巻4号
場 所 大阪市 西淀川区
要 約 岩見重太郎が大蛇を退治したという池があり、官女に扮した少女の人身御供の風習が、現在でも奇祭として残っている。

話 名 鹿,大蛇
資 料 郷土研究上方 1巻5号/通巻5号
場 所 泉佐野市
要 約 飼い犬を伴って出かけた猟師がいた。ところが、頻りに犬が吠えるので獲物を取り逃した。怒った猟師は犬の首を切り落とすが、犬の首が猟師を食わんとした大蛇に噛み付いたため、猟師は間一髪助かった。

話 名
資 料 郷土研究上方 3巻33号/通巻33号
場 所 茨木市
要 約 村一番の素封家の邸内で白蛇が見つかった。処分しようと火の中へくべたところ、1丈もある大蛇の姿に変わった。他所へ何度捨てに行っても生き返った大蛇が姿を現した。その後、一家の者が相次いで死に、屋敷も荒れ果てた。

話 名 駒右衛門屋敷の怪,蠎
資 料 郷土研究上方 3巻33号/通巻33号
場 所 茨木市
要 約 村一番の素封家の邸内にいた白蛇を処分したところ、一家の者が相次いで死に、屋敷も荒れ果てた。以後、人々の笑い声や鵞鳥(がちょう)の騒ぎ声等が邸内から聞こえた、部屋の灯りが見えたといった様々な怪異現象が起こったという。

話 名 大蛇
資 料 郷土研究上方 3巻33号/通巻33号
場 所 吹田市
要 約 毎年、人身御供として処女を氏神に供えていた地域があった。氏神社の神職が、絡み付いてくる小さな白蛇を斬り捨てたところ、近くの清浄な池が血の池と化し、水面に大蛇の死骸が浮かび上がった。以来、人身御供の風習は廃れ、神饌のみが行われるようになった。

話 名 大蛇
資 料 田舎 通巻3号
場 所 泉左野市
要 約 犬と共に猟に行くが獲物が獲れない。山奥に入ったところで大鹿に出会ったが、犬が吠えやまないので、獲物が逃げることを恐れた猟師が犬の首を切った。首は飛んでいき、大蛇の喉に噛み付いた。命を救われた猟師は、この犬を懇ろに祀った。

話 名 大蛇
資 料 田舎 通巻8号
場 所 堺市 甲斐町
要 約 大蛇が年に一度昇天する。その時に竜の姿が見え、井戸の周りには水煙が立ち上る。周囲の人家まで被害を受けるので、人々は恐れて何とか昇天しないようにと頼んだ。和尚は、天井に竜の絵を描いて竜を封じ込め、昇天を禁じるように祈願をしてもらった。

話 名 淀君,蛇
資 料 郷土研究上方 7巻76号/通巻76号
場 所 大阪市
要 約 夜中に屋敷で物音がしたり、馬蹄の響く音が喧しい程に聞こえたりする。また、淀君の妄念が蛇になって残っているため、石垣の塀の上から睨むのが見えるという。このように、大阪城には奇怪な噂が多い。

話 名 大蛇
資 料 郷土研究上方 9巻99号/通巻99号
場 所 大阪市
要 約 ある場所の木の空洞に棲んでいる大蛇を見た者は、必ず死んでしまうという言い伝えがある。

話 名 忠犬
資 料 旅と伝説 13巻5号/通巻149号
場 所 大阪府
要 約 狩人が鹿を追って山に入ったが、絶好の瞬間に犬が吠えたために鹿を逃がしてしまった。怒りにまかせてその犬を斬り殺したが、犬が吠えたのは狩人に迫っていた大蛇から狩人を守ろうとしたためであったことがわかり、後悔の末に出家した。

話 名 不動様のおつかいの犬
資 料 旅と伝説 13巻5号/通巻149号
場 所 大阪府
要 約 昔、夫婦2人で草刈をしていたところ、犬がしきりに吠えてなきやまない。とうとう2人は犬を斬り殺してしまうが、2人に迫っていた大蛇から2人を守るためにしたことだということがわかった。その犬は不動様の使いであった。

話 名 九頭の大蛇
資 料 郷土研究上方 3巻29号/通巻29号
場 所 大阪府
要 約 『多田神社由来記』/源満仲が夢の告げに従って空に矢を放つと、それは雷のように轟き光って飛び去った。夜が明け、老人の案内で、先年俵藤太秀卿が射とった百足の霊が9頭の大蛇となって棲むという池に行くと、大蛇は頭に鏑矢が当たって死んでいた。

話 名 大蛇
資 料 郷土研究上方 10巻127号/通巻127号
場 所 吹田市
要 約 昔、池に大蛇が棲んでいて、毎年村の娘が人身御供の犠牲になっていた。これを見かねた村の男が、神仏の加護を味方に付けて、大蛇を退治した。それ以後、人身御供の犠牲者は出なくなった。

話 名 白蛇
資 料 郷土研究上方 6巻68号/通巻68号
場 所 大阪市 北区
要 約 北區野崎の小路内にある大銀杏の主は白蛇で、近所の人々は稲荷さんを祀って朝夕拝んでいる。

話 名 娘,蛇
資 料 郷土研究上方 10巻128号/通巻128号
場 所 高槻市
要 約 娘が嫁入りの途中、最後の名残に池の側まで行ったが、水中に没してしまって浮かんではこなかった。両親は嘆き悲しんだ。すると、その夜、蛇体となった娘が母親の前に現れ、今までの感謝の言葉を告げると共に、今生の別れを遂げて去って行った。

話 名 槌の子蛇
資 料 あしなか 通巻122号
場 所 大阪府
要 約 昭和44年、葛城山麓弘川寺からの林道の奥、四合目付近で2回に渡り槌の子蛇を目撃したとの情報を得て、厳重な装備のもと徹底した現地調査を行ったが出現せず、新聞には「幻の毒蛇」と報じられた。

話 名 竜女,竜王,竜神
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 寝屋川市
要 約 光善寺にある竜女池は、この池の主であった竜女が蓮如上人に献じた池だと伝えられている。池の中には、竜女が残した鱗を祀る蛇塔がある。

話 名 大蛇
資 料 近畿民俗 通巻58号
場 所 大阪市 東住吉区
要 約 池の中に鉄類を投げ入れられていた。水神である大蛇が女に化けて、通行人に鉄類を取り上げることを頼んだという話がある。

話 名 (俗信)
資 料 民間伝承 5巻1号
場 所 大阪府
要 約 半夏至〔ママ〕から旧8月9日の千日詣でまで、ヒルネがあった。女性は高いところに寝て、筵を敷いて直には寝なかった。直に寝ると、蛇があるものに入るといわれていたという。

話 名 大蛇
資 料 近畿民俗 通巻58号
場 所 高槻市
要 約 サレが渕という深い渕がある。雨乞いをする際には、上流を堰き止めて、水をかえ出し、石を放りこむ。すると、主の大蛇がこの石を流し去るために雨を降らすという。

話 名 霊泉,逆浪,鳥,蛇
資 料 日本随筆大成第三期 2巻
場 所 大阪府
要 約 この地にある亀井の霊泉は、1300余年経っても涸れることがない。かつてこの地に四天王寺が創立されていた時、逆浪があふれ鳥蛇が集まって堂宇を破壊した。そこで25年後、今の地に移転して、再び伽藍を建立したという。

話 名 (石中の小蛇)
資 料 続日本随筆大成 10巻
場 所 大阪府
要 約 元和年中、大坂城の御普請の際に、大石を割ったら中から小蛇が走り出たという。龍は形を潜めて木や石の中に隠れるというが、かの小蛇も龍であろうか。

話 名 ヌシ,ガタロ
資 料 大阪民俗談話会会報 通巻7号
場 所 大阪府
要 約 池にはヌシが住んでいる。これらの主は綺麗な着物を着た人が好きで、呼び込む。池床のどこかに深い穴があって、池が空になると竜宮へ帰る。だから池が空でも無暗に池床を歩いてはいけない。

話 名 竜の骨
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 茨木市
要 約 宝池庵という寺の寺宝として竜の骨を蔵している。生物学者の話では、実は鯨の骨だという。

話 名
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 東住吉区
要 約 依羅池の竜神が、百章に池の中の金物を取り除いてくれるように頼んだ。竜神はお礼に、井戸に願えば必ず雨を降らせることを約束して井戸に飛び込んだ。この井戸を竜神井と言い、井戸蓋を取れば必ず雨が降ると伝えている。

話 名 竜の頭の骨
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 豊中市
要 約 藤井寺には竜の頭の骨がある。この寺が以前大阪市内にあったとき、安政年間に何人かが寄付したという。この骨を外に出すと雨が降ると信じられていた。実は日本鹿の頭蓋骨である。

話 名 竜の尾
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 四条畷市
要 約 竜尾寺には竜の尾が寺宝として秘蔵されている。天平年間、旱魃に苦しんでいる人民を行基菩薩が憐れみ、雨を祈った。するとたちまちに大雨が降り、竜の尾が落ちてきた。これを祀ったのが竜尾寺であるという。

話 名 小蛇
資 料 近畿民俗 通巻50号
場 所 岸和田市
要 約 正直者の男が、取石池から現れた男に、久米田池の女に手紙を渡してくれるように頼まれた。それは男を呑めという手紙だったが、弘法大師が手紙を書き換えてくれた。男は池から現れた女に歓迎され、竜宮に連れて行ってもらい、3日過ごした。女は土産に酢が湧き出る酢壷をくれた。家に帰ってみると、3年が過ぎていた。

話 名
資 料 近畿民俗 通巻58号
場 所 泉南郡 岬町
要 約 竜が棲むという淵がある。雨乞いの時は、この淵に牛の糞を投げこむという。

話 名 青竜池
資 料 日本随筆大成第三期 2巻
場 所 大阪府
要 約 昔は荒陵池という広大な池で、青竜が棲んでいたが、伽藍建立の時に埋め、青竜を鎮め祀って、僅かに池を残した。これが亀井の水の源となっていて、清水が常に湧き出る。

話 名
資 料 近畿民俗 通巻121号
場 所 大阪府
要 約 大和川をつくったのは徳川幕府ではなく、大和の竜である。大和の竜が堺へ向かって走った後である。だからくねくねと曲がっている。その跡を幕府が川にした。人間がつくったのならばまっすぐになっている。

話 名
資 料 日本随筆大成第三期 6巻
場 所 大阪府
要 約 寛政13年5月中旬に、海辺から怪風が吹いて、市中を荒らした。これは竜が昇天したためだという。

話 名
資 料 民具マンスリー 34巻6号
場 所 池田市 綾羽
要 約 大広寺の彫刻の竜が池の水を飲んだので、眼を潰した。

話 名 四天王寺の七不思議
資 料 土の鈴 通巻13号
場 所 大阪市
要 約 大阪の四天王寺には七不思議がある。龍の井、亀の水、二股竹、梅ケ枝の手水鉢、石橋、虎の門の猫、樋がない、がそれである。

話 名 七不思議
資 料 郷土研究上方 1巻3号/通巻3号
場 所 大阪市
要 約 大坂落語の「天王寺詣」に出てくる七不思議のひとつで、龍の姿が浮かび出る底なしの井戸があるという。

話 名 悪魔,龍
資 料 民族 3巻4号
場 所 大阪府
要 約 天王寺の龍が井戸は、昔、太子が仏法の邪魔をする龍を封じ込めたと伝えられている。中ごろ、一舎利上人が龍の姿を見たいと念ずると龍が現われた。眼が潰れたが、一方の眼を手で押さえていたために片目だけですんだ。

話 名 悪龍
資 料 郷土研究上方 1巻9号/通巻9号
場 所 富田林市
要 約 推古天皇2年、蘇我馬子らが神呪を誦して悪龍を封じた。ところが、悪龍の執念は深く、その後も度々旱天をもたらしては人々を困らせた。弘法大師がこの地を踏んだ際、龍王を祀ったため悪龍も感じ入り、地下から清水が湧き出して周辺の土地は元通り潤った。

話 名 七不思議
資 料 郷土研究上方 1巻3号
場 所 大阪市
要 約 大阪落語の「天王寺詣」に七不思議が出てくる。それは、二股竹、猫の門の猫、龍の井、引導鐘、ぼんぼん石、亀井の水、西門石の鳥居、に関するものである。

話 名 金龍
資 料 郷土研究上方 3巻29号/通巻29号
場 所 高槻市
要 約 邂逅山紫雲院金龍寺は開山当時は安満寺と呼ばれていたが、応和三年三井寺の僧千観がここに隠棲し名を改めた。これは邂逅池から金龍が昇天したという伝説に基づくという。

話 名
資 料 郷土研究上方 7巻76号/通巻76号
場 所 大阪市
要 約 榎の木から龍が昇天した。

話 名 雲龍
資 料 郷土研究上方 10巻128号/通巻128号
場 所 豊中市
要 約 池に棲む龍が長じて雲龍となり、毎年盆踊りに化けて出ては踊りの輪に加わった。

話 名
資 料 郷土研究上方 10巻128号/通巻128号
場 所 箕面市
要 約 伝説によれば、豊能郡箕面村大字瀬川の天兒尾根命神社の境内にある古井戸には、龍が棲んでいたという。龍はここから昇天したということである。

話 名 霊夢,神龍
資 料 続日本随筆大成別巻 11巻
場 所 大阪府
要 約 聖武天皇が、平城京の西に救世観音象がおわす霊夢を見、行基に命じてこれを求めさせた。行基が誓いを立て深山に分け入ると、十六童子に導かれてある場所へ至った。その時山川震動して神龍が現れ、観音と自らの掌を行基に与え、仏法守護を誓った。話を聞いた天皇は尊崇し、寺を建てて像を安置した。

話 名 天龍
資 料 近畿民俗 通巻121号
場 所 松原市
要 約 ある男が小墓というところで畑仕事をしていると、天龍が降りてきた。それ以来代々ものを言えない者ばかり生まれる家系になった。

大阪府の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)

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