三重県の竜蛇
門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より
話 名 | ヌシ(俗信) |
資 料 | なら 通巻4号 |
場 所 | 気仙沼市 亀山市 |
要 約 | 古池や淵には主がいる。土蔵などにも主がいる。水の主は大魚や鰻、そして亀などであり、蔵のほうの主は、蛇である。 |
話 名 | 一目連,一目龍,大蛇 |
資 料 | 民族 3巻1号 |
場 所 | 桑名郡 |
要 約 | 一目連は雨を賜う神である。大蛇であるため一目龍ともいう。火の玉となって遊行し、時として暴風雨を起こして陸海に災いを与える。 |
話 名 | 大蛇になった縄 |
資 料 | 民間伝承 5巻11号 |
場 所 | 河藝郡 高野尾村 |
要 約 | 昔、茶屋の主人が伊勢までの道程を尋ねられ「まだまだだ」と嘘を言うと、嘆いた旅人は賽銭を縄に結んで松の枝に掛け、神宮を遥拝して帰っていった。賽銭を取ろうとすると縄が大蛇に変じ、主人は狂い死にした。人々はこの松を「銭掛松」と呼んで祀り悪心を戒めた。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 旅と伝説 8巻3号通巻87号 |
場 所 | 熊野市 |
要 約 | 安珍という美男の修験者を、淸姫という娘が恋い慕って、女は大蛇と化し、逃げる安珍を追いかけ、安珍が道成寺の鐘の中に隠れると、大蛇は口から火を吐いて焼き殺してしまった。 |
話 名 | 白蛇 |
資 料 | 伊勢民俗 1巻1号 |
場 所 | 桑名市 |
要 約 | 土の輪に白蛇を祭った宮がある。この白蛇は鐘を揖斐川の底に引き込んだり、人をびっくりさせたりしたため、人々は渡船に乗るとき白布を被って渡った。 |
話 名 | 蛇,蛙 |
資 料 | 旅と伝説 8巻8号通巻92号 |
場 所 | 三重県 |
要 約 | 輿玉神社には数百の土蛙が奉納されている。その由来は、元来この地が御日神(皇大神)の拝所であり、御日の神にひき蛙を献じたからという。また皇大神がこの浦で金地の霊蛇のお姿を現したので蛙を献ずるようになったともいう。また往古海中の輿玉神石の現れた時代に、参宮者が旅行安全、航海安穏にかえるの願いより奉献するようになったともいう。一つを奉納し一つを持ち帰れば、身代わり蛙として霊験あらたかで、小児の痣や腫れ物などを蛙で撫でると全治は疑いないという。 |
話 名 | 蛇,雨乞 |
資 料 | あしなか 通巻40号 |
場 所 | 三重県 |
要 約 | 長徳寺の大器和尚が読経すると、一美女が参詣して読経の終わるや退出するのが続いた。女に問うと、門前の淵に潜む蛇が法力で姿を変えたのだった。女が礼に贈った竜鱗を持って錫杖ヶ岳へ登り雨乞いをすると旱天にも必ず雨が降った。 |
話 名 | 蛇,指,(俗信) |
資 料 | 郷土研究 3巻2号 |
場 所 | 多気郡 |
要 約 | 蛇を指差すと指が腐るといわれている。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民話 通巻24号 |
場 所 | 久居市 榊原村 |
要 約 | 村人たちは、虹が立つのは大蛇が淵や池の水を飲みに来ているのだと言っている。そして時雨が降るのは、大蛇が水を飲むときに小便をして行くからだと言っている。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民話 通巻24号 |
場 所 | 久居市 榊原村 |
要 約 | 柿の大木に、柿が実っていた。大暴風雨になっても柿は下に落ちてこない。けれども、いつしか柿の実は見えなくなっていった里人が見ていると天から大蛇が下りて来て、1つずつ柿をむしっていた。そのため庭の中に柿を植えるのを嫌うようになったという。 |
話 名 | 蛇,鎌 |
資 料 | フォクロア 通巻12号 |
場 所 | 多気郡 宮川村 |
要 約 | 蛇は人のような鼾をかいて寝る。鎌は魔物なので鎌を使ってマムシを殺してはならない。殺すとマムシは「キッ」と鳴いて仲間を呼ぶ。 |
話 名 | 竜 |
資 料 | 近畿民俗 通巻49号 |
場 所 | 安濃郡 雲林院村 |
要 約 | 長徳寺は雨乞いの寺として有名である。8代目の早道和尚の時、竜が美女に化して参詣した。不審に思った和尚が跡をつけると、門前の渕に住む竜だった。竜は和尚の教化により蛇身を転じてもらった。その時竜は報謝のため鱗と竜王桜を残していったという。 |
話 名 | 大蛇の鱗 |
資 料 | 近畿民俗 通巻49号 |
場 所 | 河芸郡 安芸町 |
要 約 | 雨乞いにその鱗を出すと、それだけで雨が降るという大蛇の鱗がある。 |
話 名 | ヘビ(俗信) |
資 料 | 民間伝承 36巻3号 |
場 所 | 三重県 |
要 約 | 蛇を殺して捨てるときには草履を片方つけて捨てないと生き返ってくる。 |
話 名 | 白蛇 |
資 料 | 郷土志摩 通巻44号 |
場 所 | 鳥羽市 |
要 約 | 白長明神を祭る付近で町民が白蛇を見てからその家が衰えたと伝えられている。 |
話 名 | シロンゴ,ナガモノ |
資 料 | フォクロア 通巻28・29号 |
場 所 | 志摩郡 |
要 約 | 白髯神社の祭神は白蛇で、「白く長いもの」あるいは「ながいもの」といわれていたのだろう。 |
話 名 | 白蛇 |
資 料 | フォクロア 通巻28・29号 |
場 所 | 鳥羽市 |
要 約 | 加布良湖明神社の祭神は大きな白蛇である。山の池の白蛇と夫婦で、毎月晦日の深夜に会う。 |
話 名 | 蛇,長神 |
資 料 | 文化人類学研究会会報 通巻9号 |
場 所 | 志摩市 大王町 |
要 約 | 長神を祀る家は、蛇の祟りを受けたので祀るようになった。毎月14日におこもりをする。 |
話 名 | 蛇,池神 |
資 料 | 文化人類学研究会会報 通巻9号 |
場 所 | 志摩市 大王町 |
要 約 | 城山で畑仕事をしていた老夫婦が、お池には神さんがおるというが本当か、と話をしていたら、神様が怒って池が渦を巻いた。それ以来、その家では池神様を祀っている。池神様は蛇。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 文化人類学研究会会報 通巻9号 |
場 所 | 志摩市 大王町 |
要 約 | 家族に不幸が続いたので日蓮宗の人に見てもらったら、先祖が伐った三島山の松に棲んでいた蛇が祟っているといわれ、蛇を祀ることにした。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 文化人類学研究会会報 通巻9号 |
場 所 | 志摩市 大王町 |
要 約 | ブルドーザーで山を拓いた時に蛇のねぐらを壊してしまい、それ以来怪我人が増えたので蛇神を祀ったら、無事になった。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 文化人類学研究会会報 通巻10号 |
場 所 | 熊野市 神川町 |
要 約 | ある人が谷に正月の若水を汲みに行き、「福を授けてください」と祈ったら、白蛇が前掛けに飛び込んできた。その白蛇を倉庫に祀ったらその家は栄えたと言う。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 中京民俗 通巻26号 |
場 所 | 飯南郡 飯南町 |
要 約 | 大蛇が、白猪山で大崩れによる山津波で流され、火を吹きながら出ていった。そのだいじゃの岩穴を蛇穴と呼ぶ。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和47年度号 |
場 所 | 鈴鹿市 |
要 約 | 伊勢参りに来た京の公家さんが、人に道を尋ねるとまだ遠いと言われたので、松の木におひねりをかけて引き返した。騙した男が松の木のおひねりを盗ろうとしたところ、おひねりが大蛇になったという。以後、松の木のあった場所を銭かけというようになったという。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 中京民俗 通巻29号 |
場 所 | 桑名郡 多度町 |
要 約 | 大淀というところに大きな松があり、その根元に大蛇がいた。人に悪さをすることはなかったが、見るだけで怖い。弘法大師が退治し、寺の本堂に頭だけ安置した。 |
話 名 | 白蛇 |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和47年度号 |
場 所 | 鈴鹿市 |
要 約 | 猟師が猟に出たところ、笹が一面に茂っているところで犬が吠えだして動かなくなった。すると笹がさっと両側に退いていった。神の使いである白蛇が通ったに違いないという。 |
話 名 | 蛇,五八寸 |
資 料 | 中京民俗 通巻29号 |
場 所 | 桑名郡 多度町 |
要 約 | 木槌のような蛇が、絶対に行ってはならないお亀さんの原に住んでいる。山を転げ落ちるように追っかけるそれに触れると死んでしまう。長さは8寸、太さは5寸ほどであるという。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和47年度号 |
場 所 | 鈴鹿市 小岐須町 |
要 約 | 山奥に池があり、そこの大蛇が美男子に化けてある娘の元に通っていた。あるとき娘が男を針で突き、男は池に戻ってから痛い痛いと転げ回っていた。蛇の親が「遊びに出るからだ」と子を諫めると、子は娘の腹に自分の子がいることを告げた。しかし、親は人間は5月5日に菖蒲湯にはいること、それが魔除けになるために蛇の子は産まれないことを告げたという。 |
話 名 | 巳さん |
資 料 | 伊賀黒田の民俗 通巻27号 |
場 所 | 名張市 |
要 約 | 話者が子どものころ、話者宅には1~2mほどの大きな蛇がよく見かけられた。話者の母が「巳さんのたたりが怖い」と言って、1940年ごろに巳さんの祠を祀ったら、蛇は出てこなくなった。 |
話 名 | (俗信) |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和56年度号 |
場 所 | 度会郡 |
要 約 | さまざまな俗信。仕事に行く時道の前を蛇やイタチに横ぎられると災難にあうといって帰ってくる。小倉姓の家は胡瓜を作ってはいけない、など。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 神島の民俗誌 通巻40号 |
場 所 | 鳥羽市 神島町 |
要 約 | 近所のお婆さんが畑仕事をしているとき、鍬で白蛇を切ってしまった。そのお婆さんは家に帰ってすぐ死んでしまい、白蛇の祟りということになって、白い石を積み重ねて墓を作って供養した。白蛇の墓は、現在は草に埋もれてわからなくなっている。 |
話 名 | 竜,雨乞 |
資 料 | あしなか 通巻40号 |
場 所 | 三重県 |
要 約 | お熊ヶ池に住む竜が美男子に惚れ、美男子の体は竜になった。夜になると竜は血を流して池に帰ってくるといい、池の一帯は今も赤土で、池に祀られているお熊が泣きながら池に通ったという。池では雨乞が行われる。 |
話 名 | 竜が池,人柱,お竜 |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和47年度号 |
場 所 | 鈴鹿市 |
要 約 | 昔、台風のたびに田が流れたので、堤防に人柱を埋めることになった。そして一番初めに弁当を持ってきた女性を埋めることにした。庄屋の女のお竜が人柱になり、それから堤防が切れなくなった。それから竜が池という名がついた。下を通るときに「お竜」と呼ぶと、「おう」と答える声がすると言われていて、恐れられている。 |
話 名 | 竜ヶ池,人身御供,お竜 |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和47年度号 |
場 所 | 鈴鹿市 |
要 約 | 昔、竜ヶ池の堤がよく切れるので、人身御供を出すことになった。ところが誰が人身御供になるかでもめた。継ぎ物をして縞模様を反対につけた者にしようということになり、お竜が人身御供になった。それ以来、継ぎ物をするときは縞模様を反対につけてはいけないという。また、夜、竜ヶ池に釣りに行ってなかなかあがらないと、お竜が引っ張っているのだという。 |
話 名 | 一目竜 |
資 料 | 日本随筆大成第二期 12巻 |
場 所 | 桑名市 |
要 約 | 伊勢国桑名の東に多度山権現があり、その摂社に一目竜の社がある。とても小さい社だが、この神が出る時は激しい雷雨が降るという。住民はそれを多度権現の出現とし、外に出て上空を見ると一筋の黒雲が登っていくといい、神が出た後は天気が平穏になるので喜ぶ。此上は毎月18日には楫取の清泉寺という寺に入るが、やはり一筋の黒雲が寺に入り、堂内一面に雲が集まって、夕方には社に帰るという。 |
話 名 | カンコロボシ |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和56年度号 |
場 所 | 度会郡 |
要 約 | 5月28日は、浅間さんをまつる。その祭が済むまでは川で泳いだらいけないというが、その日は、年に1回、竜宮の乙姫様にこどものキモを供えなければならず、乙姫様の使いのカンコロボシが子供の尻からキモをとるといい、とられて川が血で染まったことがあるという。祭が終わると泳いでもかまわない。 |
話 名 | 天白 |
資 料 | みなみ 通巻40号 |
場 所 | 三重県 |
要 約 | 愛知県の名古屋や三重県に天白という地名が多くあり、神社名や姓氏として名のる人もいる。その由来が謎となり、色々な説があるが、これは神名がもとで恐らく天白は、水神昇天白竜ではないかと考えられる。そして、たたる神、みそぎの神とも言われる。 |
話 名 | 画龍 |
資 料 | 伊勢民俗 1巻1号 |
場 所 | 桑名市 |
要 約 | 観音堂の天井の画龍は時々抜け出て水を飲んだので、今は眼に釘を刺してある。 |
話 名 | 七不思議 |
資 料 | フォクロア 通巻2号 |
場 所 | 三重県 |
要 約 | 仏舎利が灯篭から現れた。灯篭の火が夜自然に着く事。蓮池の片目の魚。境内近くの川に海水が逆流しないこと。龍の腹から梵鐘が出たこと。寺に異変があると木が泣くこと。天石の窪みに水がいつも溜まっていて目薬になること。 |
話 名 | 池の主,龍 |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和47年度号 |
場 所 | 鈴鹿市 |
要 約 | 池の主の龍が若い男に化けて娘遊びをしていた。龍の親は「いつまでも娘遊びをしていると、いたずらされてダメになる」と言い、息子は「娘の腹には自分の子がいる」と言った。しかし親は「人間は菖蒲湯に入るから、子供がいてもどうにもならない」と言った。池の主はそれでも遊び回り、あるとき娘に針で突かれてのたうち回った。娘は菖蒲湯に入ったので子どもは産まれず、龍は親の言ったとおり、ダメになってしまったという。 |
話 名 | 龍ヶ池,(人柱),お龍 |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和47年度号 |
場 所 | 鈴鹿市 小岐須町 |
要 約 | どうしても堤が切れてしょうがなかった。そこで皆でその堤に行き、最初に弁当を持ってきたものを生き埋めにしようということになった。お龍という女中が弁当を持ってきたので、生き埋めにして生き柱にした。それ以後、堤は切れなくなったという。 |
話 名 | 牛鬼 |
資 料 | 中京文化 2号/通巻2号 |
場 所 | 度会郡 南勢町 |
要 約 | 山で日向ぼっこをしていた牛鬼を一矢で射殺した。川は血に染まり、牛鬼は滅んだ。その後、牛鬼を射た男は祟りで奥方に嫌気がさし、京都から来た白拍子を愛するようになり、北畠氏と仲が悪くなった。奥方は夜を儚んで死んだという。 |
三重県の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)