京都府の竜蛇
門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 郷土趣味 通巻6号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 『鞍馬寺縁起』/目は電の如く、舌は日の如くでおそろしい大蛇がやってきたが、和尚が心静かに毘沙門経をとなえていると、蛇は俄かに自ら切々に斬れてしまった。竹切法会の由来。 |
話 名 | 大蛇,天狗 |
資 料 | 郷土趣味 通巻10号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 11、2歳の腕白者が山中で迷っていると、緋の衣をまとう老僧に出会って菓子をもらった。翌日面白いものを見せてやると約束した場所へ行ってみると、大蛇がいびきをかきながら眠っているのを見せられたので驚いて逃げた。きっと天狗であったのだろう。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 郷土趣味 4巻5号/通巻41号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 雄の蛇谷というところに大蛇がいる。天気のよい日には日光浴をしているのが目撃されている。葬式がこの谷にさしかかるとき、棺おけが俄に重くなって進めなくなり打ち捨てて帰って翌日に行くと棺が跡形もなくなっていたという。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | おまつり 17号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 鞍馬の竹切りの行事は、寛平年間に京の北方の山にて峰延上人が雄の大蛇を呪縛し、切り捨てたという伝説に由来する。雌の大蛇もいたが、それは上人の説得を聞き入れ鞍馬山の泉の水を永遠に守護することを誓ったので許されたのみならず祀られた。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 郷土研究上方 4巻42号/通巻42号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 大蛇が、ある寺の和尚を呑み込もうと近づいたところ、和尚の呪文によって動きを封じ込められた。その後、命を助けられた大蛇は恩義を感じ、水不足の土地に豊富な水をもたらした。 |
話 名 | 槐の木,白蛇 |
資 料 | 郷土研究上方 6巻68号/通巻68号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 雷鳴の嫌いな嵯峨天皇が、落雷をなくすよう空海に命じた。空海が槐(えんじゅ)の木を植えると、落雷はすべて槐の木に落ちた。この木の主は白蛇で、一切刃物を当ててはならない。試しに、巡査が剣を当てると、刃が曲がり、けがをして寝込んだという。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 旅と伝説 9巻12号/通巻108号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 綱宮という小社には昔、大蛇が出て人畜を害したのを人見、中川両氏の祖が退治したという伝説がある。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 旅と伝説 10巻9号/通巻117号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 亀岡町の西地を流れる赤川の源に大きな池があり、そこに大蛇が住んでいて時々人を食った。近隣に住む勇士がそれを退治し、そのときの血が大きな湖水となり、波がたっていたので丹波と名づけられた。 |
話 名 | 大蛇,人身御供 |
資 料 | 旅と伝説 10巻9号/通巻117号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 河河神社は大昔人身御供の習慣があった。1人の武士が身代わりとして神社へ行ったら1匹の大蛇が襲ってきたので退治した。 |
話 名 | 怨霊,白蛇 |
資 料 | 旅と伝説 10巻9号/通巻117号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 絲織姫という愛妾がその寵愛をねたんだ人々に謀られて殺された。その後、松平家に世嗣として生まれた子は皆不具者か、途中で頭がおかしくなったものばかりであった。その頃から大銀杏の樹に白蛇が住むようになり、怨念が固まったものといわれた。時折白蛇は美女に化ける。その銀杏を食うと腹痛を起こす。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 旅と伝説 10巻10号/通巻118号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 大昔、亀岡は湖で、大国主命が樫船神社から船を借りてこの湖を切り開くと、そこに大蛇が住んでいたので退治した。亀岡町の鍬山神社の山車のひとつはその伝説をあらわすものである。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 旅と伝説 10巻10号/通巻118号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 昔、帯取池には年経た大蛇が住んでいて、池から半身を出しているとちょうど美しい帯に見えるので、通りすがりの者が手をさしのべるとたちまちぐるぐる巻きにして池に沈んでしまう。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 旅と伝説 10巻11号/通巻119号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 曽我部村字南條の焼杉様という宮の森には白い蛇の住む水溜がある。川魚を持参してとこに話してからその水をくさや疣につけると直ちにあとかたもなく治ってしまう。その大蛇の目に触れると誰でも熱病になる。森の中へ悪事を働きに来たものも体の具合が悪くなる。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 旅と伝説 11巻2号/通巻122号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 千歳村の寺山な昔大きな城があったところである。当時城の主であった大蛇が棲んでいて、それを実際に目撃した百姓がいる。 |
話 名 | 蛇,祟り |
資 料 | 旅と伝説 11巻2号/通巻122号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 何時の頃からか石塚におおきな塚が2つあって、東の塚には大きさ約1尺ほどの大蛇が棲んでいて、蟇蛙が棲んでいて、西の塚には300年来の蛇が棲んでいる。5、6年前に塚に登って草を刈り、掃除した人がいたが、足腰が立たなくなった。塚の前に祠を建てて祀ったらまもなく治った。 |
話 名 | 蠎蛇の精 |
資 料 | 旅と伝説 11巻11号/通巻131号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | 稲荷山の洞穴には蠎蛇がいて、何百年か前には人身御供を毎年出していた。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 旅と伝説 11巻11号/通巻131号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | まだ園部町も園部村もない頃、園部の天神山には大きな蛇がたくさん棲んでいて、時折人に化けたという。 |
話 名 | 琉璃溪の千秋潭 |
資 料 | 旅と伝説 11巻12号/通巻132号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | 「大河内など怖い所ではない」と嘲っていた3人がいたが、瑠璃渓の千秋潭のほとりについたとき、下駄や笏や蛇の首が流れてきて、ひとりはそこで即死し、2人は逃げ帰ったもののすぐに死んだという。 |
話 名 | 蛇ヶ池,白糸の瀧,大蛇 |
資 料 | 旅と伝説 11巻12号/通巻132号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | 毎夜家を抜け出す娘の後をつけると、娘は瀧に入ろうとしていた。声をかけると娘は瀧に飛び込み、しばらくすると大蛇が現れて上の池へ入っていった。 |
話 名 | 蛇,大蛇,鱗塚 |
資 料 | 旅と伝説 12巻2号/通巻134号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | ある農家の娘が池に飛び込んで蛇に変わった。数日後、木戸源治という男が蛇に呑まれそうになって蛇を撃つと、池は真赤に染まり、大蛇の死体が浮かんだ。逃げる途中で男は3枚の鱗を拾い、屋敷に埋めて塚を立てたが、何かと祟りがあった。 |
話 名 | 蛇,若い娘 |
資 料 | 旅と伝説 12巻2号/通巻134号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | 眉目秀麗な若者のところへ、若い娘が嫁に来た。2人は子をなすが、娘の正体が蛇であることが知れると、娘は山に帰ってしまった。そのときの約束を守り、若者は朝夕2回、山に鐘をつきに行った。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 旅と伝説 12巻2号/通巻134号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | 1870年ごろ、沼に棲む大蛇が横暴を働いていたが、目を矢で射られて行方をくらませた。その後、大蛇の祟りで里に熱病が流行した。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 旅と伝説 12巻2号/通巻134号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | ソロ葦の生い茂っている中で大蛇を見つけた人が、5日間頭が上がらなくなった。 |
話 名 | 大蛇,毒息 |
資 料 | 旅と伝説 12巻2号/通巻134号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | 山に胴回り2尺もある大蛇がいて、その毒息を吐きかけられると死ぬという。 |
話 名 | 大蛇,美女,怪獣 |
資 料 | 旅と伝説 12巻2号/通巻134号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | 妙見山の麓の池には大蛇が棲んでいて、美女や怪獣に化けて通る人を脅した。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 旅と伝説 12巻2号/通巻134号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | 蛇にお供えするために人身御供を差し出していたが、三平という人が蛇を退治したからは蛇のかわりに鳥居に綱をつけた。 |
話 名 | 天狗,大蛇 |
資 料 | 郷土研究上方 10巻116号/通巻116号 |
場 所 | 船井郡 園部町 |
要 約 | 榎か欅の老樹に、かつて天狗か大蛇が巣食っていたという。 |
話 名 | 打たれぬ鐘 |
資 料 | 俚俗と民譚 1巻6号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 昔、成相寺で鐘を鋳ったが、何度作っても、赤ん坊の形をした穴が空いてしまう。寄付集めの折、餓鬼ならいくらでも上げるが金は1文もない、と断った百姓家があったとわかり、村の者はその赤ん坊をさらい、鋳型に流し込んだ。鐘は無事完成したが、撞こうとするとオギャーと赤子の泣く声がし、両親が2匹の大蛇となって現れ、鐘に巻き付いて撞かせなかった。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 近畿民俗 通巻9号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | ワラガリ谷に炭を焼きに入っていた男が大蛇に会って逃げ戻り、そのまま床について死んだという話がある。 |
話 名 | 蟹 |
資 料 | 西郊民俗 通巻18号 |
場 所 | 相楽郡 棚倉村 |
要 約 | 7歳の少女が蟹を救う。後にその父は蛇に飲まれた蛙を救うため、娘を嫁にやる約束をする。蛇が祝言のため人間に化けて来る。だが娘に拒絶され、蛇体になって這い出す。報恩のため蟹たちが来て、蛇と相打ちになる。その蟹の冥福を祈って蟹満寺が建立された。 |
話 名 | 槌の子蛇 |
資 料 | あしなか 通巻96号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 山魚釣りに北山の武知谷に入ったところ、崖から太短い濃茶褐色の蛇が転がり落ちてきた。よく見ると背にワカン状の斑紋があった。 |
話 名 | 杵の子蛇 |
資 料 | あしなか 通巻96号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 今西錦司氏は槌の子蛇とは蛇が獲物を呑み込んでふくれた状態を言うとしている。森本次男氏は河童や天狗のごとき架空の生物だとしている。 |
話 名 | 槌の子蛇 |
資 料 | あしなか |
場 所 | 通巻96号 |
要 約 | 槌の子蛇を見たという報告は、洛北雲ケ畑の薬師峠付近、沢の池、山陰街道の老ノ坂峠付近の王子部落の人が、毎年見るという話。 |
話 名 | 鋤の床 |
資 料 | あしなか 通巻96号 |
場 所 | 丹波町 |
要 約 | 丹波町須知に、鋤の床という怪蛇がいて、太く短く斜面を転がり、人畜を襲い、専念惟に当たって死んだ人がある。 |
話 名 | 槌の子蛇 |
資 料 | あしなか 通巻96号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 山崎で槌の子蛇を見た人がいるという。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 郷土趣味 4巻11号/通巻47号 |
場 所 | 京都市 寺町 |
要 約 | ぼろぼろの着物を身につけ子供を抱いた女が家々の前に立ち、笛の音や琴の音をきいているといううわさが流れた。添田斎宮という立琴を弾く男は、それを聞いて昔契った大蛇のことを思い出し、方丈に相談した。それでほっとした斎宮は帰宅して思わず立琴をひいてしまい、女とともに行方不明になった。 |
話 名 | 槌の子蛇 |
資 料 | あしなか 通巻96号 |
場 所 | 多紀町 |
要 約 | 丹波の多紀町で槌の子蛇が輪になって転がってくるとかいう荒唐無稽な話を聞いた。 |
話 名 | 槌の子蛇 |
資 料 | あしなか 通巻96号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 昭和36年8月、握り飯状の三角頭で太く短い棒状に鼠のような尻尾が生えた黒色の蛇が現れた記事がある。 |
話 名 | 大蛇,鱗 |
資 料 | 近畿民俗 通巻49号 |
場 所 | 船井郡 和知町 |
要 約 | ある家の娘が、毎晩草履を濡らして帰ってきた。親が不思議に思って跡をつけると、娘は大池に飛び込んで大蛇の姿になった。この大蛇を退治したとき、3枚の鱗が残った。塚を築いてこの鱗を祀ったのが鱗塚だという。 |
話 名 | 槌の子蛇 |
資 料 | あしなか 通巻140号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 丹後の三岳山に登っての帰り路、三岳食堂の主人に、付近の山で槌の子蛇が毎年出る所があり、来年捕らえるつもりだとの話を聞いたが、その後音沙汰はない。 |
話 名 | 槌の子蛇 |
資 料 | あしなか 通巻140号 |
場 所 | 瑞穂町 |
要 約 | 京都第二日赤に入院した際、同室の丹波瑞穂町の老人から、同町で昔、槌の子蛇を見た人があり、いまでも一部に居るはずとの話を聞いた。 |
話 名 | 槌の子蛇 |
資 料 | あしなか 通巻140号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 京都清滝不動院の朝の青龍住職から、かねて槌の子蛇らしきものが境内に出没し、参詣人も見ているとの情報を受け、境内の藪や草の根を分けて急斜面を探したが見つからなかった。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 季刊民話 通巻1号 |
場 所 | 竹野郡 |
要 約 | 安永の頃、竹野郡の百姓がソバの畑を荒らした大蛇を殺した。それ以来家中に小蛇があらわれるようになり、百姓は六部姿で廻国の旅に出て、供養塔をたてたが、次の代まで不幸が続き、大蛇の死汁が流れた川の水は三年ばかり牛馬さえ口をつけなかった。 |
話 名 | 蛇,雹 |
資 料 | 日本随筆大成第1期 1巻 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 東六条善久寺の妻女の頭痛がひどく、その髪際から這い出た小虫はみるみるうちに小蛇となり、戸外へ掃き出したところ、たちまち黒雲が降りて蛇を乗せ天へ昇っていった。妻女の頭痛はすぐに治ったという。その時に降った雹で、田畑のものは全滅してしまったという。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | あしなか 通巻158号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 昔、大原の里のおつうという美しい娘が殿様の寵愛を受けた。殿様に見限られた後もおつうは殿様を思い、行列を待っていたが、うるさがられ、埋められてしまった。恋に狂ったおつうは蛇体となって再び現れたが、頭・胴・尻尾に切り分けて埋められてしまった。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | あしなか 通巻158号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | ヒウチイシの近くに馬まくれという所がある。おつうが蛇体になってここに上がって来たので馬が驚いて立ち上がり、殿様が落馬した場所という。大蛇の頭を埋めた草生の子は頭がよいと言われる。 |
話 名 | 大蛇,池の主,弁天さん |
資 料 | あしなか 通巻158号 |
場 所 | 京都市 北区 |
要 約 | 深沢池の主である大蛇は太さが大人の両手を丸く回したくらいで、池に手をつけると主のたたりがあるという。かつて干拓の計画をした京都府の部課長は相次いで死んだ。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | あしなか 通巻158号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 若狭の領主と恋に落ちた娘が失恋の挙句半狂乱になり、行列を妨げ、村中言暴れまわったと伝えられ、大蛇は村人の手により退治されたことになっている。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | あしなか 通巻158号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 娘は病気で足が動かず、家の前を流れる高野川に飛び込むと大蛇に姿が変わり、花尻橋下流の淵に住んでいたが、殿様が通りかかった時現れて切られた。 |
話 名 | 山鳴り,ひかるもの,大蛇 |
資 料 | 御影史学論集 通巻5号 |
場 所 | 船井郡 和知町 |
要 約 | 昔、山鳴りやひかるものが絶え間なくあった谷があり、ある人が原因を探ると、奥にあるほら穴が鳴っていた。ここにいた大蛇を竜王として権現をまつったところ、山鳴りが止んだ。祭日は7月9日である。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 続日本随筆大成 10巻 |
場 所 | 京都市 右京区 |
要 約 | ある人が月見をしに広沢池に行ったところ、水上に光る物が2つ見えた。周囲のある人が確かめようと水中に入ったらそれは大蛇の目だった。大蛇は男の肩に頭を数度打ちかけてきたが、無事逃げることが出来た。しかし帰宅後に、蛇の頭が当たった所が痛み、数日して腐りだし、ついに死んでしまった。 |
話 名 | 小蛇 |
資 料 | 続日本随筆大成別巻 3巻 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 享保7年、西陣の者1人、中京の者2人が申し合わせて上賀茂蟻が池へ釣りに行った。すると竿に小蛇が掛かったので打ち殺そうとすると、たちまち3人は幻覚に襲われ逃げ帰った。西陣の者は即座に死亡し、中京の者たちは高熱で人事不省に陥り、未だ生死が定まらない。 |
話 名 | 大蛇,持念,閼伽水 |
資 料 | 続日本随筆大成別巻 11巻 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 鑑真僧正が鞍馬山に分け入った折、雌雄の大蛇が前を遮った。そこで僧正が持念すると、1匹の蛇がたちまち滅した。もう1匹の蛇は、この山に用水を絶やすなと言って助けられた。それ以降、本堂の北にある閼伽水が湧き出て、どんな旱魃の時にも絶えることはなかったという。 |
話 名 | 大蛇,大威徳明王,毘沙門 |
資 料 | 続日本随筆大成別巻 12巻 |
場 所 | 京都市 鞍馬本町 |
要 約 | 鞍馬寺の寺記によると、延喜年中に寺主だった峯延和尚が或る年の5月に、目が雷のようで、火炎のような舌を出した大蛇に遭遇した。和尚を呑もうとしたので、大威徳明王の法や毘沙門の呪を唱えると、蛇は自ら倒れた。3日後に人夫50人で大蛇を切り、静原山の奥に捨てたという。 |
話 名 | 大蛇,閼伽井 |
資 料 | 続日本随筆大成別巻 12巻 |
場 所 | 京都市 鞍馬本町 |
要 約 | 鞍馬寺の寺記によると、延喜年中に寺主だった峯延和尚が或る年の5月に、大蛇に遭遇した。和尚を呑もうとしたので、大威徳明王の法や毘沙門の呪を唱えると、蛇は自ら倒れたが、雌の大蛇は助けた。そこで和尚が言うには、この山は水が欠乏するので水を施せと。蛇は誓って去ると、忽然として清らかな泉がわき出た。それが閼伽井である。 |
話 名 | 片目盲ある蛇 |
資 料 | 日本随筆大成第一期 18巻 |
場 所 | 宇治市 |
要 約 | 一病僧が宇治に安居していたところに、ある日、いつも出入りしている芋売りの男が行ったところ、門から片目盲ある蛇が入っていった。男は何となく恐ろしく思い、近くの家に入った。その時病僧は死んだ。その因縁とは、この僧が某国で醜い眇めの女と馴染んだが、僧はその内女が疎ましくなりその地を去った。しかし、その後も尼になり付きまとった。その後に僧は宇治に来たのだと言うことだった。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 近畿民俗 通巻110号 |
場 所 | 北桑田郡 美山町 |
要 約 | 大蛇が人里近くに出て人畜に被害を与えるので、猟師が退治しようと決心した。愛犬2頭を連れて山に入ると、突然犬が吠え出した。前を見ると大蛇が寝ていたので、鉄砲で撃った。退治して帰る途中、大蛇の毒気で猟師は倒れてしまった。 |
話 名 | 銀杏,白蛇,怨霊,崇り |
資 料 | 日本民俗学 通巻181号 |
場 所 | 亀岡市 |
要 約 | 昔、殿様が糸織り姫を愛するのに嫉妬した者が、姫は他の男と約束を言い交わしたと言ったので、殿様が立腹して姫を殺した。この姫は松平家7代まで祟り、そのため子供が生まれなかった。姫が殺された日から銀杏の木に大きな白蛇が棲むようになったので、これは姫の怨霊が蛇になったものだといわれている。銀杏を食べると腹痛になるともいう。 |
話 名 | 怪瓜 |
資 料 | 日本随筆大成第一期 19巻 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 御堂関白が物忌みの時、解脱寺の僧正観修、陰陽師清明、医師忠明、武士義家朝臣が傍らに侍っていた。5月1日、南都から瓜の献上があったが、物忌み中であるからと清明に占わせた。すると1つの瓜に毒があるという。僧正が念誦加持したら瓜が動き出した。忠明が瓜に針を2本刺すと瓜は止まり、義家が刀で瓜を割ったら中に小さな蛇がいて、両目に針が刺さり首が切れていた。 |
話 名 | 蟹,蛇 |
資 料 | 加能民俗研究 21号 |
場 所 | 相楽郡 山城町 |
要 約 | ある娘が毒蛇に飲まれそうなかえるを助けるために、蛇に嫁入りする約束をしたが、観音の加護と蟹の報恩で難を逃れた。 |
話 名 | 口より便を出す病 |
資 料 | 日本随筆大成第一期 15巻 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 元禄初年、口より大便を出す病にかかった子がいた。主主の医薬を与え、神仏に祈っても効果がなかったが、葱の白根を煎じて飲ませたところ、一月ほど後に蛇のような虫を下して病は治った。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 伝承文学研究 通巻43号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 蛇谷というところには昔から大蛇がすみ、近在の山人や往来の者を食っていたが、内海浪介影忠という大剛の強兵に射殺される。その後浪介影忠は大蛇の麟毒にあてられるが、近所の老医と名乗る老翁の調合した薬で回復する。 |
話 名 | くちなわ |
資 料 | 日本随筆大成第二期 8巻 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 凝華洞の地は東山天皇が死んだ後は洞中に使用される事はなかった。それは東山天皇が死んだ年に、ある雨が降り続いた日に御庭を歩いていると、みみずほどの大きさの数万匹の蛇が見渡す限りにいたからだという。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 伝承文学研究 通巻43号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 法厳寺の参詣者を悩ませていた大蛇は、内海山城の守浪介影忠によって退治される。 |
話 名 | 一目連 |
資 料 | 日本随筆大成第一期 18巻 |
場 所 | 京都市 上京区 |
要 約 | 過ぎし壬戌の7月晦日、一筋の暴風が吹いて屋を破って天井床畳までも吹き上げた。風の通り道以外は被害が無かった。田中村から叡山の西麓に至って止まったという。蛇が登るのなら雨が降るはずだが一滴も降らなかった。これは羊角風というものだろうか。北国では折々あることで、一目連と称する。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 伝承文学研究 通巻43号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 淵にすみついて人民を悩ませていた大蛇は、伊賀守影綱に警告される。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和50年度号 |
場 所 | 天田郡 三和町 |
要 約 | 大蔵神社のあたりのことを橋ヶ谷という。橋ヶ谷の池の端には大蛇がいた。大蛇が音を立てるので、人々が怖がったという。 |
話 名 | 大じゃ |
資 料 | 伝承文学研究 通巻43号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 山科様金屑丸本家の由来/大蛇が往来の人をなやましていたところ、粟津の祖何某が射殺する。 |
話 名 | 西本願寺の七不思議 |
資 料 | 郷土趣味 通巻15号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 西本願寺の七不思議は二種類ある。天狗岩・鶴亀の松・唐門・中雀門・見残石。躑躅胴の太鼓・三俵の大黒・木造龍頭吊・水噴の銀杏・行儀の富士・見えがくれの月・木造の土台。 |
話 名 | 七不思議 |
資 料 | 郷土趣味 通巻17号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 京都清水寺の七不思議。門前馬繋・山門の横木・龍吐水・右腰に刀をさした絵馬の人物・北向きの雪隠・子安の塔。また一説には山門・虎灯篭・轟橋・足形石・権現拝殿の龍・是清の観世音・人形灯篭。 |
話 名 | 龍 |
資 料 | 郷土趣味 4巻5号/通巻41号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 尾越の一の瀧二の瀧には龍が住んでいる。龍がいる方の瀧は水がにごって底が見えなくなるという。穢物や瀬戸物の破片を投げ入れると雨降り続きとなる。 |
話 名 | 龍,唸り |
資 料 | 旅と伝説 10巻10号/通巻118号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | かつて龍が住んでいたといわれる湖は1人、2人で行くと必ず行方不明になった。現在は谷となっていて龍は昇天したが、唸りが遠くまで聞えることがあって怖がられている。 |
話 名 | 龍 |
資 料 | 旅と伝説 10巻10号/通巻118号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 今から100余年前の夏、黒くもが下り、水を巻き上げて砂を降らした淵は、龍が天上したといわれている。 |
話 名 | 龍神 |
資 料 | 旅と伝説 10巻10号/通巻118号 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 南桑民譚/龍神ヶ淵の龍神に雨乞いをすると必ずたちどころに雨が降る。 |
話 名 | (雨乞い) |
資 料 | 旅と伝説 7巻5号通巻77号 |
場 所 | 京都市 南区 |
要 約 | 東寺の灌頂院というお堂に井戸があり、絵馬を掲げる。天正10年6月に、稀有な旱害があった時、應其上人が、この井戸を浄めて、水天龍王を祈って慈雨を得たという。 |
話 名 | 蛇谷川,薬師堂の鐘 |
資 料 | 旅と伝説 11巻12号/通巻132号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | 河の上龍の淵になっているところへ薬師堂の鐘を静めると、たちまちにして雨が降る。 |
話 名 | 龍 |
資 料 | 旅と伝説 12巻2号/通巻134号 |
場 所 | 船井郡 |
要 約 | 人が通ると美女に化けて出る龍がいたが、お坊さんが拝むとピカピカ光りながら、ウネウネと天へ昇っていった。 |
話 名 | 書る絵に奇妙ある事 |
資 料 | 続日本随筆大成別巻 11巻 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 涅槃図を書いた兆殿司は、書く絵に様々な奇妙が起こった。龍を書けば天に飛び、不動を描けば火焔が燃えた。ある時、龍を描くのに生身を見たいと仏神に祈った所、寺内の池に水が漲り、生身の大龍が目前に出現した。使う絵の具は神感を得て稲荷山より掘り出したが、世にない彩色が多かったという。 |
話 名 | 七不思議 |
資 料 | 郷土趣味 通巻18号 |
場 所 | 京都市 |
要 約 | 京都祇園八坂神社七不思議。駕門・猿・竜宮まで届く底無し井戸・雉・油取りの燈籠・二見石・衣掛岩。 |
話 名 | 龍神,龍宮 |
資 料 | 民俗と文献 通巻1号 |
場 所 | 伊根町 |
要 約 | 天橋立には竜燈の松がある。也須良という猟師を巡り、千軒長者の娘香久女と文殊の松の下にいる乙姫が竜神に変じて争った。乙姫が勝ち、也須良の魂を竜宮に運び去った。村人は也須良と香久女の霊をこの松の根元に祭ったという。 |
話 名 | ババメ |
資 料 | 季刊民話 通巻1号 |
場 所 | 竹野郡 網野町 |
要 約 | 勇敢な若者が網野町にすむババメ(恐竜の一種らしい)退治を志願し、呑まれながら鎌で喉を切り裂いて退治した。若者はすぐ元気になったが頭髪だけは再生しなかった。後に若者の夢枕でババメはこれから生き物の命を守護することを誓った。 |
話 名 | 竜神 |
資 料 | 加能民俗研究 通巻10号 |
場 所 | 天田郡 夜久野町 |
要 約 | 大旱魃の時、長者屋敷の竜神井戸にもし水を授けてくれたら娘を嫁に差し上げますと祈ったところ、田畑に水が満ち、娘は竜神に嫁に行った。娘は夜井戸に来て頼めば欲しいものは何でも出してあげようといい、ある年皿を借りて一枚割れたまま返すと井戸からすすり泣きが聞こえ以後願いは聞き入れられなくなった。 |
話 名 | 腫物 |
資 料 | 続日本随筆大成別巻 5巻 |
場 所 | 京都府 |
要 約 | 元禄16年5月、12歳の男児が甚だ発熱し、腹中に腫れ物ができた。それに口が開き、その口が本人の言葉に従って喋った。その口は何でも食べ、食いすぎはよくないだろうと口を押さえたら高熱が出て罵った。ある医者が5,6種の薬を配合し本人に与えたところ、一両日でその口は無くなり、10日ほどして肛門より長さ1尺1寸、頭に角が1本ある雨竜のような物が出てきた。 |
京都府の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)