東京都の竜蛇

門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より

話 名 お岩の霊,蛇
資 料 郷土研究 3巻7号
場 所 東京都
要 約 お岩の家跡に住む者の家には、毎年の盆の精霊棚に必ず蛇が寄ってくる。この蛇はお岩の霊であると信じられていた。

話 名 大蛇
資 料 郷土趣味 通巻17号
場 所 台東区
要 約 禁丹屋の美しい娘が大蛇に見込まれて不忍池にひきこまれた。後に池が埋められて狭くなると、一人の美女が池からあらわれ、辻車で下総の湖に引っ越したという。

話 名
資 料 旅と伝説 3巻4号/通巻28号
場 所 練馬区
要 約 白山神社境内にある2本の欅のうち、1本が大正12年12月25日の夜、突然怪火を出した。昭和4年の夏には、2本の欅の間に大蛇が横たわっているのを見たものもいる。

話 名 崇り山
資 料 民間伝承 13巻9号
場 所 西多摩郡
要 約 イヤイ沢は祟り山で、材木ほどの大蛇を見た、頭が尾にもついている鳥が棲んでいる、などと言われ、炭焼きは入るのを嫌がる。地主に祟ると言われ、以前の持主は祖母が火傷が元で死に、続いて孫も死んだという。

話 名 崇り山
資 料 民間伝承 13巻9号
場 所 西多摩郡
要 約 ナカツパタという祟り山では、昔蛇を殺したら脂が流れ、川には紫色の血が流れ、川一面が染まったという。

話 名
資 料 あしなか 通巻30号
場 所 東京都
要 約 峠の道で大蛇に石を投げつけた男が熱病にかかり、巫女の占いで蛇の祟りとわかった後は手厚く蛇の供養をした。娘の話者は、巫女が拝む際にとぐろを巻く大小の蛇に見つめられたという。

話 名
資 料 旅と伝説 2巻2号通巻14号
場 所 保谷市
要 約 ある日、農家の小僧が井ノ頭辨天池の近くにある雑木林で草を刈っていると、小さい蛇が小僧の手指を噛もうとしたので、鎌で蛇の首の辺りを傷つけた。それから間もなく池の水面を覗くと、いつもは冷たく澄んでいる水が一面血に染まっていた。実は先に傷つけた蛇はこの池の主であった。

話 名 人喰松,蛇,法華経,白蛇
資 料 旅と伝説 8巻11号通巻95号
場 所 渋谷区
要 約 渋谷道玄坂には人喰松と称された松があるが、同地の区画整理の際にこの松の移転が問題になった。すると世田谷に住む姉妹の法華経信者に神のお告げがあり、かつてこの松の根元に埋められた人々の怨霊が、宇田川蛇の悪気に移り、この松が枯死寸前であるのでどうか助けてやってほしいという。そこで松を移築し、根元にいた蛇も法華経の功徳で白蛇となって天上に昇っていったという。

話 名 大蛇の骨
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 新宿区,中野区
要 約 円照寺と豊仙寺には、1匹の大蛇の骨が両寺に分けられて秘蔵されている。この骨に川水を注いで雨乞いをすると効果がある。豊仙寺の骨は井の頭の水を供えるとよいともいう。

話 名
資 料 日本随筆大成第1期 8巻
場 所 東京都
要 約 同じ頃一つ木でも、蛇が3,4才の子を呑んだ。子供の父が後を追って蛇に近づくと、蛇に悪風を吹きかけられて目を塞がれてしまい、それきりになったという。

話 名 大蛇
資 料 西郊民俗 通巻85号
場 所 西多摩郡 桧原村
要 約 明治初年、大きなクヨ(鉄砲水)で若妻が行方不明になった。ウカガイに祈祷してもらうと「嫁は長峰の池にいる」という。行ってみると嫁は大蛇に変じ、池に住んでいた。遺族は自宅裏に小祠を設け、嫁の霊を祀った。この祠は俗に蛇神様とか弁天様と呼ばれている。

話 名 蛇,蛙,(俗信)
資 料 郷土研究 3巻5号
場 所 八王子市
要 約 人のまわりを廻ると、まわった者が蛇になり、まわられたものが蛙になるといわれている。

話 名 火の玉,大蛇
資 料 西郊民俗 通巻85号
場 所 西多摩郡 桧原村
要 約 ウカガイのS氏は15歳のとき、火の玉が山から凄い速さで飛んで来るのを見た。鉄砲水の折で、逃げようと思い外に出たら家の中からも2つの光の玉が飛んでいき、直後に土砂崩れが起こった。山中の池に住む大蛇の霊と神様が放たれたものだとS氏は言った。

話 名 酸漿,蛇,(俗信)
資 料 郷土研究 3巻5号
場 所 八王子市
要 約 夜に酸漿を鳴らすと蛇がくるといわれている。

話 名
資 料 西郊民俗 通巻85号
場 所 西多摩郡 桧原村
要 約 1人前のウカガイになると神の姿が見えるようになる。和田の山の神は蛇の姿、大沢の山の神は小さい蛇、もう1つの山の神は嫁いだ身で大きな腹をしている。村境の道睦神は火の神でもあり、後光が差している。オズスナ様(産土神)は不動の姿をしている。

話 名 龍骨
資 料 民間伝承 5巻12号
場 所 東京都
要 約 昔、小僧が草を刈っているときに、誤って小蛇の頭を口からまっぷたつにしてしまった。この小蛇は井の頭の龍だったので、たちまち真体になり、川には三日間血が流れた。小僧はその祟りで死に、頭の上部は中野の寺まで流れて祀られているが、下部は井の頭弁天にある。これが龍骨で、雨乞いしても雨が降らないとき、これを持ち出すと必ず雨が降るという。

話 名
資 料 昔話―研究と資料― 通巻10号
場 所 八王子市
要 約 昔、里にたくさん蛇がいて困っていた。そこで1人の若者が遠くの神様のもとに行き、一心不乱に拝んだ。帰りに1人のお坊さんがついてきた。宿を請うので泊めると、翌朝布団の中には1枚のお札が残っていただけだった。若者がこの御札を懐中にして田に行くと蛇に襲われたが、蛇はお札があるので呑み込めなかった。そして大勢の村人によって蛇は退治された。

話 名 (俗信)
資 料 民間伝承 6巻8号
場 所 東京都
要 約 動物に関する俗信。蛇の足を見た人は、長者になるという。鼠が家からいなくなると、火事が出るという。鳥の影がさすと、珍客が来るという。ヤモリにかまれると、くさるという。蛇や百足の類は、切った数だけ増えるので、むやみに切るものではないという、など。

話 名 竜,白蛇
資 料 昔話―研究と資料― 通巻10号
場 所 八王子市
要 約 大谷弁天は夫人にご利益があると言われていた。ある婦人が願をかけて、満願の日にお礼参りにいくと、にわかに天が曇って暗闇になり、弁天様の横の池から竜が天に昇った。その竜が雷鳴となって落ちてきて、大松に落雷した。大松は3つに裂けて、その中に胴回りが2尺もある白蛇が粉々に切れて死んでいたという。

話 名 (俗信)
資 料 民間伝承 8巻7号通巻85号
場 所 東京都
要 約 苦手の人を見ると、蛇が動けなくなり、容易に捕まる。苦手は、手の指がすべてまむし指なので、誰にでも分かる。

話 名
資 料 常民文化研究 通巻6号
場 所 東京都
要 約 大きな頭の蛇が出てきた所から水が湧き出して、蛇が歩いて行った通りにそこが川になった。

話 名 両頭蛇
資 料 日本随筆大成第二期 1巻
場 所 墨田区
要 約 文政7年11月24日の7時頃、本所竪川通り町方掛り浚場所で、卯之助という男が両頭の蛇を捕まえた。長さは3尺あったという。

話 名 大蛇
資 料 常民文化研究 通巻6号
場 所 東京都
要 約 17,8の娘が川で蚕の綱を洗っていると急に眠くなり、草むらに寝てしまった。すると大蛇がやってきて娘のお腹に入って行こうとするので、若者がこれを引き出した。蛇は怒って若者の首に巻きついたが、天神様の力で退けられ、松の枝の上で息絶えた。

話 名 蛇,密符
資 料 日本随筆大成第二期 5巻
場 所 東京都
要 約 上杉弾正大弼の家来である静田彦兵衛の先祖の話。ある時、子供等が集まって白蛇を殺そうとしていたのを貰いうけ放してた。するとその後に、娘を連れた夫婦と出向かい、この娘を助けて貰ったお礼を言われた。本人は覚えが無かったが、実はこれが助けた蛇の事だということがわかり、蛇は蛇除けの呪文を教えたという。

話 名
資 料 常民文化研究 通巻6号
場 所 東京都
要 約 明治のはじめ頃、草刈に行って蛇にからまれた人がいた。どうしてもほぐれないので、口で蛇を食い切ったら、蛇はみるみるうちに大蛇になって、そこへのたうちまわって、その血が3日3晩流れたあとがザンボリ川である。

話 名
資 料 日本随筆大成第二期 5巻
場 所 東京都
要 約 武州板橋から1里ほどいった処の西戸田村に、2人の娘を持つ寡婦がいた。その姉の方も不孝者で、母に食事を与えなかった。姉の夫が隠れて食物を与えたが姉に見つかり、食物を奪い取って蹴散らした。それもあって母が病気にかかり、泣く泣く寝屋から出て井戸に身を投げた。姉の夫は驚いてハシゴを降ろそうとたところに姉がやってきて、誤って井戸に落ちた。すると母は半身が蛇となって姉に巻き付いたが、夫の優しさに免じて許し、母は死んだという。姉もしばらくして死んだ。

話 名
資 料 常民文化研究 通巻6号
場 所 東京都
要 約 18,9才の娘が青年と出会い、やがて妊娠する。しかし生まれたのは蛇の子で、それを見た娘は恐ろしくて死んでしまった。そこへ親蛇が毎日毎日やってきて、飲まず食わずでいたのでやがて死んでしまった。

話 名 蛇,珠玉
資 料 日本随筆大成第二期 3巻
場 所 東京都
要 約 文政9年頃、小石川三百坂に住む高橋千吉という14歳の子供が遊んでいるとき、15匹ほどの蛇が折り重なってわだかまっているのを見つけた。その中には古銭一文があり光っていた。千吉は腕をさしいれてそれを取った。周囲の者が殺せと言うが、仙吉は人に害をなしていないのにどうして殺すのか、と人々をいさめた。これは彼の祖母が蛇がたくさんわだかまっている時はその中に珠玉があり、それを得ると生涯金持ちだといっていたからである。

話 名 シャカ,オバケ
資 料 常民文化研究 通巻7号
場 所 東京都
要 約 5月の節にはオバケの来ないように茅の葉や蓬で屋根を葺いた。里なら川ぶちにあるヨシと菖蒲である。オバケは蛇か何かわからないが、菖蒲が嫌いで入れない。シャカというオバケをよけるために菖蒲酒を飲む。

話 名 へびこしき
資 料 日本随筆大成第二期 3巻
場 所 東京都
要 約 文政9年の6月25日の昼過ぎ、小石川三百坂の道路上に、蛇が15匹ほど集まり、つるべ縄をわがねたように折り重なっていた。頭を揃えて真ん中に空間を作り、三方から頭を向かい合わせて中をのぞき込んでいたという。それはへびこしきと呼ばれる。

話 名
資 料 常民文化研究 通巻7号
場 所 東京都
要 約 雨のシトシト降る時、蛇の目のかさをかぶったいい娘がいたので追いついてみると消えてしまった。その人に限って何度も出るので、とうとう首を吊って死んでしまった。その後、狸をとったらそれからが出なくなった。

話 名 蛇,名玉
資 料 日本随筆大成第二期 3巻
場 所 東京都
要 約 文政9年の6月25日の昼過ぎ、小石川三百坂の道路上に、蛇が15匹ほど集まり、つるべ縄をわがねたように折り重なっていた。そこに高橋千吉という子供が空間に腕を入れると、中には古銭があった。彼は蛇がこのように集まっている中には名玉があり、それを得ると生涯金持ちだと言われていたからだという。

話 名
資 料 常民文化研究 通巻7号
場 所 東京都
要 約 娘と2人で畑に行くと、太い蛇がいたので土を投げた。そうすると蛇のたたりでおばあちゃんの目が痛くてあかなくなった。井戸に卵と酒をあげてお詫びするとなおったそうである。

話 名 竜女
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 文京区
要 約 了誉上人が宗慶寺にいた時、竜女が現れ、上人は菩薩戒の脈譜を授けた。竜女が報恩として授けたのが今の極楽井だという。

話 名 慈覚大師,瑞雲,青竜,竜燈
資 料 日本随筆大成第二期 17巻
場 所 葛飾区
要 約 慈覚大師が東方を行脚していた時に浅草寺でしばし逗留した。ある日白髪の翁がやって来て、東に霊地があるので自分の霊像を安置するよう伝える。その像は伝教大師が造ったもので、言い終わると姿を消したという。そこで慈覚大師が東北に向かったところ突然瑞雲が立ち、青竜が雲から現れた。慈覚大師は青竜に対して、ここに寺を造るので加護してほしいと告げる。それを聞いた青竜は姿を消した。その後は時々竜燈の奇瑞が起きるという。

話 名 竜燈
資 料 日本随筆大成第二期 17巻
場 所 葛飾区
要 約 木下川浄光寺では、毎月8日と正月3日に、必ず本尊の前に竜燈と呼ばれる火光が生じるという。

話 名 竜燈
資 料 日本随筆大成第二期 17巻
場 所 江東区
要 約 寛永5年に弘法大師の霊示があり、永代島にて高野山の両門主をはじめとする東国一派の真言僧が集まって法談が開かれた。また別に弘法大師の御影堂を建てて真言三密の秘講を行ったところ、神前に竜燈と呼ばれる火光が現れるという。

話 名 竜,絵馬
資 料 日本随筆大成第一期 16巻
場 所 東京都
要 約 上野の鐘楼堂の彫り物の竜が夜な夜な出てきて池の水を飲むということ、浅草の絵馬が出てきて田圃の草を食うという事は、昔語りであるが、偽りではないだろう。

話 名 天瑆,霊石
資 料 日本随筆大成第一期 16巻
場 所 東京都
要 約 隣家のものが珍しい石を得て、宮を造り勧請した。来歴を聞くと、35年前の文政7年に川掛役人が遠州天竜川御用のときに丸い石を見つけたので持って来たと言う。当時は差し渡し6寸5分であったのが、差し渡し1尺4寸8分、回り4尺1寸8分に成長した。ある人がいうには、これは生きた石であり、竜石であるという。

話 名 竜,白蛇
資 料 昔話―研究と資料― 通巻10号
場 所 八王子市
要 約 大谷弁天は夫人にご利益があると言われていた。ある婦人が願をかけて、満願の日にお礼参りにいくと、にわかに天が曇って暗闇になり、弁天様の横の池から竜が天に昇った。その竜が雷鳴となって落ちてきて、大松に落雷した。大松は3つに裂けて、その中に胴回りが2尺もある白蛇が粉々に切れて死んでいたという。

話 名
資 料 日本随筆大成第一期 16巻
場 所 東京都
要 約 寛政の頃、小日向大曲で竜の昇天があった。その前に小日向あたりの家々を老僧が回って、竜が昇天するので気を付けるように注意を促した。旗本土屋某が、その老僧を座敷に上げて話をすると、老僧は実は竜であり、水がないために昇天を待っている事がわかった。そこで土屋氏は硯の水を神酒徳利に入れて与えると、老僧は喜んでそれを請け、数日後に晴天だったのが急に大風雨になったので、老僧が昇天したのだろうと土屋氏は思った。雨の水は墨水であったという。

話 名
資 料 民具マンスリー 34巻6号
場 所 八王子市
要 約 西蓮寺の彫刻の竜が池の水を飲んだので、クサビを突き刺した。

話 名 龍骨
資 料 民間伝承 5巻12号
場 所 東京都
要 約 昔、小僧が草を刈っているときに、誤って小蛇の頭を口からまっぷたつにしてしまった。この小蛇は井の頭の龍だったので、たちまち真体になり、川には三日間血が流れた。小僧はその祟りで死に、頭の上部は中野の寺まで流れて祀られているが、下部は井の頭弁天にある。これが龍骨で、雨乞いしても雨が降らないとき、これを持ち出すと必ず雨が降るという。

話 名 しやちほこ,たつ,つんじかぜ
資 料 続日本随筆大成 8巻
場 所 千代田区
要 約 江戸城の虎御門から小石川御門まで、御門の上に置いてある銅製のしゃちほこを全部取り去った。すると風も吹かず、雨も降らなかったという。これは龍の仕業とも、つんじかぜともいう。

東京都の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)

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