栃木県の竜蛇

門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より

話 名 大蛇,親鸞上人
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 建保年間にある男の妻が妾を食い殺そうとしたが、夫に遮られたために夫の咽喉に食いつき、妾をも噛み殺した。全身鱗が逆立って、口は裂け、大蛇の姿になった。この世の女すべてを呪うようになって入水したといわれる。水に沈んだ女の一念が大蛇になって人々を困らせるので、毎年9月8日の夜に犠牲を捧げた。親鸞が大蛇を退治したとのことである。

話 名
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 国幣中社下野一の宮、二荒山神社の使姫は蛇であった。使いの帰りに百足虫のために片目を潰されて以来、宇都宮に生まれる人は目が小さいと伝えられている。

話 名 大蛇
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 明治初年の頃、月琴作りをなりわいにする男がいて、毎日蛇の皮を剥いで材料としていた。ある夜、月を眺めながら尺八を吹いていたら1匹の大蛇が下りてきて尺八に絡みついた。男はすぐにこれを殺してしまったが、それ以来気分が勝れず、悶々として死んでいったという。

話 名
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 狩人が道に迷って沼のほとりに泊まったとき、美人が現われて同棲するようになったが、女が蛇であることがわかったので逃げた。追い詰められて沼に飛び込んだが、蛇も入ってきた。蛇は沼の主であったと言われる。

話 名 白蛇,空海
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 寺に幅1間、長さ1尺くらいの石碑が建てられている。その下には白蛇が住んでいると言われる。空海の経塚であるという説もある。

話 名 大蛇,神様
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 ある夜、神社の前を通ると大蛇が御堂を7巻半も巻いて、鳥居まで10間位の距離があったのにその鳥居に頭をのせていたということだ。

話 名 夢,白蛇,毘沙門天
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 30年程前のある夜、白蛇が現われて、「土中に埋められているから掘り出してくれ。出してくれたら一生安楽に暮らさせる」と言う夢を何度も見るので権現山に行ってさがすと、毘沙門天の像が出てきた。

話 名
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 寛文年間、川向町御室の観音の別当に道閑坊という者がいて、子供らに恐れられていた。蛇の変化したものであろうと噂された。

話 名
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 弁天様のあるあたりは萱が茂っていて大きな蛇がいた。茸狩をしていると急に大風のようにガサガサと鳴り、神楽の獅子頭程もある蛇がいたので、びっくりして家に帰って1週間寝込んだ。夜11時ごろ、酒に酔った人が松の木と思って腰掛けたのは大蛇で、その人は口もきけず、10日あまりして死んだ。蛇は弁天様の乗り物とされている。

話 名
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 50年前、ある商家に大蛇があらわれたが、祟りを恐れて何もしなかった。5日くらいその家にいて、隣の物置に移った。隣の家ではすぐに殺して川へ流してしまった。翌日、その家の主人は体中がはれ上がり、高熱で非常に苦しんで死んだあと、一家が同じ病気で死んだ。

話 名 白蛇
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 昔、やまにしろが築かれたとき、敵に攻められ、城主の一人娘が追い詰められ、井戸に入って死んでしまった。その後、娘が白蛇に身を変えて出ると言われている。今もその井戸があるが、水はない。今も蛇が棲んでいて、時々悲しそうな声を聞くという。

話 名 大蛇
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 6、70年前、山に炭焼きの一家があった。谷間で水を飲もうとすると松の木があって、足をかけたが、それは大蛇であった。村人が蛇を探したが見つからず、主人は2,3日後に病気で死んだ。杉の朽木から蛇の死骸を発見し、墓を立てて供養したという。

話 名 蛇,神木
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 神社にある古い御神木にあるうつろには何か住んでいた。御神木が焼けたときに悲惨な無気味な声が3日3晩続いた。4日目に木の跡に白い蛇の骨がばらばらに残っていた。人々はこの神守りの蛇を葬った。

話 名 蛇,道
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 一面の広い畑の中に2間幅くらい、小石の多いところがある。毎年、麦が実るが、他よりも1尺近く短い。昔、高原山からこの村に通う蛇があって、その蛇が通った道であると伝えられている。

話 名 白蛇
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 娘が朝水汲みに行くと、社に白蛇が出る。娘には小さく見えるが、他の人には大きく見える。月に1度は娘の家に現われる。この後、娘の家は大金持ちになったが、娘が死ぬと蛇が現われなくなり、家没落した。

話 名
資 料 旅と伝説 6巻8号/通巻68号
場 所 栃木県
要 約 魚とりの好きな人が釣りをしていると、何時の間にか大きな蛇が籠の魚を狙っていた。家に帰って魚を煮ていると鉤ツルシを渡って降りてきたので庭に叩きつけた。夜中におなかが痛み出したので見てみると、蛇がお腹に絡み付いていた。今度は蛇を料理して食べたが、それから病気になった。行者に頼んで毎日供養して、ようやく助かったという。

話 名 白い蛇
資 料 民間伝承 22巻10号
場 所 白都賀郡 赤津村
要 約 正月の餅をついている時、刺さった木のとげを取り除いた妻を、つまみ食いしたものと勘違いして、婿が杵で打ち殺してしまった。嫁は死に際に「全員とり殺してやる」といい、その後、家の梁に白蛇が出るようになった。また不幸が続き、とうとう没落してしまった。

話 名 白蛇
資 料 旅と伝説 4巻1号通巻35号
場 所 那須郡 那須町
要 約 昔、身分卑しからぬ武者が落武者となり、家来とともにある家で一夜の宿を求めた。その晩、武者は白蛇が自分に向かってお辞儀をするという不思議な夢を見た。次の日、村はずれまで来たときに目の前に蛇の形をした丘があったので、ここに城を築いた。これが大田原城である。

話 名 蛇,親鸞上人
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 下都賀郡 国分寺村
要 約 親鸞上人が、嫉妬のために蛇体になった女を救済したという話が伝わっている。

話 名
資 料 旅と伝説 7巻12号通巻84号
場 所 芳賀郡 逆川村
要 約 百姓が蛇に、娘を嫁にやる約束をした。娘は知恵を絞って、蛇から逃げ、あるお婆さんに助けを求めたら、お婆さんは、娘が殿様の嫁になるようにした。そのお婆さんは、百姓が以前助けた蛙であった。

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話 名 岩嶽丸,怨霊,水の神,水口神
資 料 下野民俗 通巻12号
場 所 栃木県
要 約 岩嶽丸の悪霊が大蛇になって悪行を働いた。そこで社を建て、八竜神として崇めた。八龍神は、水の神・農業の神である。

話 名 (俗信)
資 料 旅と伝説 9巻2号通巻98号
場 所 那須郡
要 約 結婚、妊娠、出産、死、葬式、仏事、出生縁起、病気、火などに関する俗信多数。人が死んだ夢を見ると子が産まれる、風呂の中でお乳を飲ませるとカッパにひかれる。死人の上に猫が上ると生き返る。鼠が居なくなると不吉なことが起こる。北枕は縁起が悪い。夜に鶏の鳴きまねをすると火事になる。嘘を言うと鬼に舌を抜かれる、蛇を指差すとその指が腐る。など。

話 名 蛇,根渡権現
資 料 下野民俗 通巻24号
場 所 葛生町
要 約 若い男女が深い淵に身を投げた。親たちは悲しみ、山や谷に入って子供を捜したが見つからず、その一念が凝り固まり、ついには蛇になって峰を行きかい、農耕に害を及ぼすことが何度かあった。そのため人々は弁財として仰ぎ、根渡権現としても崇めて根渡神社を建てた。

話 名
資 料 下野民俗 通巻24号
場 所 馬頭町
要 約 昔、すがという娘が城内に住む琴姫様に使えていた。琴姫は悪家老のたくらみを暴くための密書をすがに届けるように命じた。けれどもすがは待ち伏せていた侍に斬られた。侍は密書を入れた文箱を取ろうとしたが、烏蛇に化したすがに咬み殺された。しかし結局密書は奪われてしまった。それから琴姫様には烏蛇に守られるようになったので、蛇姫様と呼ばれた。

話 名 小豆粥
資 料 成城大学民俗調査報告書 11号
場 所 河内郡 南河内町
要 約 1月14日に小豆粥を炊いた鍋釜を洗った水を、家の周囲に切れ目なくまくと蛇除けになる。

話 名 小豆をといだ水
資 料 成城大学民俗調査報告書 11号
場 所 河内郡 南河内町
要 約 1月14日に小豆をといだ水を家内周辺にまくと蛇除けになる。

話 名
資 料 下野民俗 通巻31号
場 所 小山市
要 約 約60年前、産後死んでしまった婦人を埋葬した墓の上に蛇が居座って動かなかったことがあった。それが噂となり、この蛇を見ようと行列ができ、祈願した人の願いが成就したという話も出た。しかし、その墓の家が供養をしたら、騒ぎも消滅してしまったという。

話 名 清姫,蛇
資 料 粕尾の民俗 昭和48年度号
場 所 鹿沼市 粟野町
要 約 安珍という僧が熊野参りの途中の宿で入浴していると、清姫に化けた蛇が入りに来た。安珍は風呂の湯に映った姿を見て蛇と覚り、夜中に逃げ出した。安珍がシタテ川を船で渡っていると清姫が追ってきて、蛇になって川を泳いできた。安珍は寺に逃げ込んで鐘の中に隠れたが、清姫は蛇の体で鐘を7巻き巻いた。

話 名 大蛇
資 料 下野民俗 通巻32号
場 所 藤原町
要 約 カミカブセの沢で穴に入ろうとしていた大蛇を殺してしまった。その後、大蛇が夢に出て、「お前の家に祟ってやる」と言った。それ以来、その家では子々孫々までカミカブセの沢の水を飲まないよう申し伝えているという。

話 名
資 料 粕尾の民俗 昭和48年度号
場 所 鹿沼市 粟野町
要 約 警官が、蛇の目傘をさした娘が山に入っていくのを見かけてついて行ったが、娘の姿はなく狐の足跡があった。狐が化けていた。

話 名 大蛇
資 料 下野民俗 通巻32号
場 所 藤原町
要 約 タケノ沢で大鼾をかいて寝ていた9尺あまりの大蛇を殺した。翌年、桑の根元に生えていた茸を食べたら原因不明の高熱を発して死んでしまった。家人が占ってみたら、その茸は大蛇がたたるために茸に化したものだった。その家では、大蛇の霊を蛇神さまとして祀った。

話 名 蛇,山鳥
資 料 民俗採訪 ―巻-号通巻昭和41年度号
場 所 安蘇郡 田沼町
要 約 山鳥と蛇はたびたび争う。山鳥の巣に蛇が子を呑みに行き、蛇が親山鳥に巻きついた。山鳥が殺されるかと思ってみていたら、山鳥は急に羽を広げ、蛇を切ってしまった。1950年頃に見たこと。

話 名 夢の中,青い蛙,白い蛇,一生ものの病気
資 料 下野民俗 通巻39号
場 所 宇都宮市 西刑部町
要 約 夢の中に青い蛙が出てきたら、17日以内に夢で白い蛇を見ないと、一生ものの病気にかかるという。

話 名 菖蒲,蛇の子,カエル
資 料 民俗採訪 通巻昭和55年度号
場 所 鹿沼市
要 約 昔、蛇の子を宿した女性がいた。カエルの使者が「子を堕ろすには、菖蒲湯に入れ」と教えた。だから5月節供には菖蒲湯に入るのだという。

話 名 蛇,死,女の人
資 料 下野民俗 通巻39号
場 所 宇都宮市
要 約 女の人がバスに乗っている時にトイレに行きたくなった。バスを止めて林の中でおしっこをしていたら、蛇が下から体の中に入ってきてしまい、とれなくなって死んでしまった。だから女の人は林でトイレをしてはいけない。

話 名 竜灯
資 料 日本随筆大成第一期 19巻
場 所 栃木県
要 約 雷電山の麓に池があり、小雨が降る夜にはこの池からかならず竜灯が数多く出て、松の枝に上がる。これを竜の燈松という。

話 名 竜,鱗
資 料 高志路 通巻305号
場 所 栃木市
要 約 井戸を掘ったときに、竜宮から招いた竜の子孫であると言われる家があり、そこでは代々腋の下に鱗の生えた子供が生まれる。

話 名
資 料 民俗採訪 ―巻-号通巻昭和41年度号
場 所 安蘇郡 田沼町
要 約 5月の辰の日には田植をしてはいけない。この日に田植をすると、竜に巻き上げられて、上って上って死んでしまうといわれている。

話 名 白竜
資 料 下野民俗 通巻39号
場 所 河内郡 上三川町
要 約 小学校からの帰りに白竜に追いかけられた。怖かった。

話 名 龍,(盥に浮く画)
資 料 旅と伝説 2巻6号通巻18号
場 所 那須郡
要 約 源翕寺の幾代目かの住職が、唐の金山時の炎上を鎮める為に龍の画を描き盥(タライ)に浮かせて水を吹かせ消火につとめたという。

栃木県の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)

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