役行者(竜蛇と鐘)
門部:日本の竜蛇:関東:2012.01.05
場所:千葉県印旛沼周辺
収録されているシリーズ:
『日本伝説大系5』(みずうみ書房):「役行者」
タグ:竜蛇と鐘/竜蛇と地勢の変化
伝説の場所
ロード:Googleマップ
安房一宮洲崎神社は言わずと知れた阿波忌部氏の東進を物語る古社だが、ここの社伝に「鐘を守る竜」の話がある。活躍するのが役小角なのでタイトルが「役行者」だが、「竜蛇と鐘」のテーマの一環として覚えておきたい話である。
役行者:引用
むかし、ここには鐘池という池があり、水底には鐘が沈んでいたが、その鐘を大蛇がいつも守っていた。ある時、突然、山が崩れて池が埋まり、それからというもの、大蛇は人々を悩まし続け、どうすることもできなかった。
そこで役行者にたのみ、七日七夜のお祭りをしたところ神様が影向した。この神にお告げを請うと、「私は蛭児尊である。お前たちの恐れる大蛇を退治して、皆を守ってやろう」といわれた。そこで託宣によって新たに社を建てて崇めたのがこの神社である。
『洲崎大明神縁起』はこう伝えている。洲崎神社そのものに関してはこちらを。
沈鐘と竜蛇が一体化している良い例である。また、竜蛇譚では棲み家(竜蛇に対応する地形)が失われる=竜蛇が暴れる、というモチーフがままあるが、その点も良く表しているだろう。
小角の活躍の話であり、また洲崎神社が修験勢力の拠点として重要な地であったこともあり、この話がどのような流れの上に来るものなのかにわかには分からない。しかし、太平洋黒潮ルートがダイレクトに洗う土地の話だ。「竜蛇と鐘」のテーマの大きな流れを追う際の大切な指標となるだろう。
memo
役行者(竜蛇と鐘) 2012.01.05