埼玉県の竜蛇
門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より
話 名 | 白蛇 |
資 料 | 旅と伝説 2巻6号/通巻18号 |
場 所 | 埼玉県 |
要 約 | 神木に白蛇が棲んでいる。この樹の周りをシッココン(片足飛び)で5回廻ると必ず姿を見せるという。 |
話 名 | 小蛇,老僧 |
資 料 | 旅と伝説 2巻8号通巻20号 |
場 所 | 埼玉県 |
要 約 | 銭瓶塚由来記/昔、旅人たちが庵で休息していると、庵主の老僧が昼寝を始めた。一人が小蛇を見つけてその頭に石をぶつけた。すると老僧が起きて、なぜ私の頭を石で打つのかと怒り出した。旅人たちが詫びると、老僧は、実は先年から金7両を小瓶に入れて埋めており、それを思う余り、蛇になってしまったと懺悔した。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 西郊民俗 通巻36号 |
場 所 | 秩父郡 皆野町 |
要 約 | 百姓の喜右ェ門が草刈り場で大蛇を鎌に引っ掛けてしまう。ところが大蛇には頭がなかった。その夜喜右ェ門宅に入った盗人が、光るものが草刈り籠から飛び出して水がめに入るのを目撃する。それは復讐しようとした大蛇の首で、盗人は喜右ェ門に感謝される。 |
話 名 | 大欅,蛇 |
資 料 | 旅と伝説 2巻9号通巻21号 |
場 所 | 入間郡 |
要 約 | 埼玉県入間郡には大欅がある。この樹には蛇が住んでおり、もし蛇を殺してしまうと、罰が当たると里人は言っている。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 秩父民俗 通巻8号 |
場 所 | 秩父郡 横瀬町 |
要 約 | 山仕事をしているとザワザワと音がして、胴回り3寸の大蛇が出た。持っていた草刈り釜で首を切り落とし、胴体を4つくらいに切断したが、2日ほどして見に行くと、影も形もなかった。 |
話 名 | おきのさん |
資 料 | 旅と伝説 8巻8号通巻92号 |
場 所 | 熊谷市 |
要 約 | 埼玉の熊谷地方一体にはおきのさんという紙の姉様人形を信仰する風俗がある。農家のお婆さんによれば、「おきのさんはよく働く。よく信心すれば蚕の手当てもしてくれる。嫁の働きが悪かったり子守が精を出さない時もおきのさんを信心すればよくなる。あるときおきのさんを勝手に借りて勝手に祭っておいたらその夜におきのさんがやって来た。弁天様のように蛇になってやってきた」という。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 民間伝承 38巻2号 |
場 所 | 川口市 安行 |
要 約 | 埼玉県川口市安行の原地区では5月24日に稲縄で大蛇を作る。この大蛇は疫病神を呑むといわれ、蛇作りを止めると疫病が流行し、禍が起きると言い伝えられている。かつて一度休んだ時はコレラが大発生したとも言う。 |
話 名 | ケヤマ,カケバタケ |
資 料 | 秩父民俗 通巻10号 |
場 所 | 秩父郡 東秩父村 |
要 約 | ケヤマとカケバタケと呼んでそこへ入ることを忌んでいる山や畑がある。昔その地で殺人が行われ、その時殺された人の怨霊が呪っている所といわれ、立入った者に不幸が招来するという。リュウホウの山で大蛇を殺すと死ぬと言われ、炭を焼くと不幸になるといわれる。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 秩父民俗 通巻10号 |
場 所 | 秩父郡 東秩父村 |
要 約 | 沼の主の大蛇を火縄銃で撃ち殺すと、その人の子孫は背中や脇の下にうろこのようなあざがあり、毛の生えている子供が生まれる。大蛇が殺された時、沼が決壊して大水になった。死んでいる大蛇を見た人は病気になった。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 秩父民俗 通巻10号 |
場 所 | 東松山市 |
要 約 | 昔、高坂(現東松山市)に大蛇がいて住民を苦しめたことがあった。退治しようとすると大蛇はこの地まで逃げてきて大いに暴れ回ったが、不思議なことに麦の団子を食べた村人だけにはその災いが少しも降りかかることはなかった。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 西郊民俗 通巻96号 |
場 所 | 秩父市 小鹿野町 |
要 約 | 5月の忙しい時、オキヌという若い娘がお蚕の助っ人に来てくれたが、何時の間にか、またいなくなった。娘が寝ていた布団には蛇の抜け殻が残っており、蛇の化身と分かった。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 白石の民俗 通巻8号通巻8号 |
場 所 | 秩父郡 東秩父村 |
要 約 | 山の上の赤岩というところに沼があって、今は跡になっている。その沼には大蛇がいてその大蛇が退治されて殺された時、7日間都幾川には赤い水が流れた。 |
話 名 | 大蛇のたたり |
資 料 | 白石の民俗 通巻8号通巻8号 |
場 所 | 秩父郡 東秩父村 |
要 約 | ある沼の主は大蛇で、その大蛇を朝日根の猟師が撃ち殺したところ、たちまちその沼は崩れてなくなってしまった。そして、その大蛇のたたりで、その猟師の家の男の子の脇にはコケラがでるようになったといわれている。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 白石の民俗 通巻8号通巻8号 |
場 所 | 秩父郡 東秩父村 |
要 約 | 現在、峠でバーベキューガーデンを営んでいるいえのすぐ下あたりに、昔は池があり、そこにも大蛇がいたといわれている。 |
話 名 | 膳椀淵 |
資 料 | 新編埼玉県史 別編2 (民俗2) |
場 所 | 日高町 |
要 約 | 箕輪山霊巌寺近くの高麗川の淵には大蛇が住むと言い伝えられている。この辺りの住民は祝儀不祝儀があると、膳椀をこの淵に貸りに来ていた。淵に向かって「どうか十人前の膳椀をお貸し下され」と頼むといつの間にか浮かび上がってくる。終われば丁寧に礼を述べて返すのだが、ある時村の者が膳椀を返さなかったら、その後誰が行っても浮いてこなくなった。ある年大洪水があって淵が埋まってしまった。そしてそこから一匹の大蛇の頭骨が発見された。村人は膳椀淵の主として手厚く弔い、霊巌寺の宝物とした。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 新編埼玉県史 別編2 (民俗2) |
場 所 | 滑川町 |
要 約 | 昔、じいさんと娘がいた。その娘は不思議な力を持っていた。ある年日照りが続いたので村人が娘に雨を降らせて欲しいと頼みに行くと娘は「七日七晩は決してお堂に入らないように。」と言ってお堂に入った。一人の若者がお堂を覗いてしまった。するとそこには頭が二つの大蛇がおり、若者の顔を見ると天に駆け昇ってしまった。すると空から大雨が降りだし、三日三晩降り続いた。村人は娘を竜神様として沼のほとりに両頭庵というお堂を建ててお祀りした。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | あしなか 通巻201号 |
場 所 | 埼玉県 |
要 約 | 大高取りには金の鱗の大蛇がいて、この蛇に出会った人は毒気に当てられて必ず寝込むと言われる。昔大高取山頂の岩の下に入ってゆく大蛇を見た人がいて、蛇の尾が落日に金色に輝いていたという。 |
話 名 | (俗信) |
資 料 | 新編埼玉県史 別編2 (民俗2) |
場 所 | 大滝村 |
要 約 | 天気雨は人死が出る。鼠が神棚の注連縄をかじると火事になる。ノボリヘビ(山道を登る方向に進んでいる蛇)は吉、特にヤマカガシのそれは大吉、その年に初めて見る蛇をハツヘビといい、対面するように出会うと一年運が良く、同方向に出会うとよくない。また初夢が青大将で、しかも蛙を飲んでいる夢なら、その年は食うに困らない。からすが柿の木で鳴くと付近の家で不幸がある。朝蜘は恵比寿様にあげる。夜ぐもは泥「仇を取りにやってきたのだから、親と見えても殺せ」という。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 昔話伝説研究 17号/通巻17号 |
場 所 | 秩父郡 吉田町 |
要 約 | 子供がいない夫婦が、お諏訪様にお参りをして、女の子を授かった。15歳になった時、その子は諏訪に行くと言い出した。夫婦は不思議に思いながらお祝いをして送り出すと、女の子は池の所で大蛇になった。 |
話 名 | (俗信) |
資 料 | 新編埼玉県史 別編2 (民俗2) |
場 所 | 秩父郡 |
要 約 | 犬の遠吠えは誰かが死ぬ。狸や兎、蛇などが目前を横切るとミチキリといって不吉。夜がらすが二声だけ寂しそうに鳴くと不幸があり、それは大抵心中などの女騒動である。うぐいすの声を左方から聞くと一年ひもじいが、右から聞くと縁起がよい。 |
話 名 | 魔物,蛇 |
資 料 | 昔話伝説研究 17号/通巻17号 |
場 所 | 秩父郡 吉田町 |
要 約 | 葬式をしようとしたら、雲がさがって暗くなったので、棺桶を置いてみんなで逃げた。明るくなってから戻ると、棺桶に穴が開いていて軽くなっていた。そしてお寺でまた暗くなった。みんな逃げたが法正様は拝んでいた。すると法正様が頭を何かに引っかかれたので、数珠を頭上で振った。後で見てみたら、魔物の足なのか、蛇の足のようなものが落ちていた。 |
話 名 | 竜 |
資 料 | 近畿民俗 通巻49号 |
場 所 | 秩父郡 |
要 約 | 大渕は竜が棲むという伝説の渕である。近くの竜泉寺の坊さんが雨乞にこの渕に血脈を投げ入れる。竜神の感応があれば、血脈は水中深く吸いこまれ、必ず雨が降るという。 |
話 名 | 竜 |
資 料 | 民具マンスリー 34巻6号 |
場 所 | 桶川市 |
要 約 | 泉福寺の、左甚五郎の彫刻の竜が洪水を起こしたので、針金で縛った。 |
話 名 | 竜 |
資 料 | 民具マンスリー 34巻6号 |
場 所 | 秩父市 |
要 約 | 大源寺の幕の絵の竜が田畑を荒らしたので、書き直した。 |
話 名 | 竜 |
資 料 | 民具マンスリー 34巻6号 |
場 所 | 秩父市 |
要 約 | 秩父神社の、左甚五郎の彫刻の竜が池の水を飲み、田畑を荒らしたので、鎖で縛った。 |
話 名 | 竜 |
資 料 | 民具マンスリー 34巻6号 |
場 所 | 比企郡 川島町 |
要 約 | 比企家の位牌の、狩野法眼の天井画の竜が田畑を荒らしたので、喉を切り、天蓋をとりつけた。 |
話 名 | 竜 |
資 料 | 民具マンスリー 34巻6号 |
場 所 | 入間郡 越生町 |
要 約 | 最勝寺の、左甚五郎の彫刻の竜が田畑を荒らしたので、金網をかぶせた。 |
話 名 | 竜 |
資 料 | 民具マンスリー 34巻6号 |
場 所 | 与野市 |
要 約 | 長伝寺の彫刻の竜が川の水を飲んだ。 |
話 名 | 竜燈 |
資 料 | 日本随筆大成第二期 17巻 |
場 所 | 川越市 |
要 約 | 寛永20年に仙波喜多院で法事が行われていた時、明星水から竜燈と呼ばれる火光が、客殿南面にあった杉の枝にあがった。人々は驚いて礼拝したという。 |
話 名 | 竜 |
資 料 | 民具マンスリー 34巻6号 |
場 所 | 浦和市 |
要 約 | 大門神社の、左甚五郎の彫刻の竜が田畑を荒らしたので、目に釘を打ちつけた。 |
話 名 | 西金野井の獅子舞 |
資 料 | 新編埼玉県史 別編2 (民俗2) |
場 所 | 北葛飾郡 庄和町 |
要 約 | 突然の突風とともに三体の竜神の面が天から降ってきた。それを村人が舞い始めたのが獅子舞の始まり。また、江戸川上流から流されてきた龍神の面を被って旱魃の時に舞ったたところ、降雨があり、以後毎年舞うようになった。また、荒神と恐れられていた獅子が上流から流されて香取神社に着いた。七日七夜とどまって神の使いとなることを望んだ。氏子たちはこれを救い上げて獅子舞を舞うようになった。 |
話 名 | 竜 |
資 料 | 民具マンスリー 34巻6号 |
場 所 | 浦和市 |
要 約 | 国昌寺の、左甚五郎の彫刻の竜が葬列の死体を食べ、沼でのたうちまわったので、頭に釘を打ちつけた。 |
話 名 | 太鼓坂 |
資 料 | 新編埼玉県史 別編2 (民俗2) |
場 所 | 菖蒲町 |
要 約 | 昔、幸福寺の近くに一匹の竜が住んでいた。この竜は寺の鐘つき堂の主だといわれていた。ある時竜が近くの沼まで出掛けて帰ってくると何者かに鐘を盗まれていた。怒り狂った竜は、寺で大事にしていた太鼓を持ち出し、「これを借りていくぞ、鐘が戻ったら返す」と叫ぶや、どこかへ行ってしまった。その後その太鼓を見たものはいない。今、寺の前にある坂を歩くと「ポン、ポン」と音がするのは、この時竜が隠そうとして埋めたからだと伝えている。さて、この鐘を盗んだ者はなんと筑波山に住む竜であった。今でも筑波山のお寺の鐘をつくと「栢間恋し」と鳴るそうだ。 |
話 名 | 竜 |
資 料 | 民具マンスリー 34巻6号 |
場 所 | 越谷市 |
要 約 | 清蔵院の、左甚五郎の彫刻の竜が葬列の死体を食べたので、網を張り、釘で止めた。 |
話 名 | 生けにえ |
資 料 | 新編埼玉県史 別編2 (民俗2) |
場 所 | 加須市 |
要 約 | ある年、うち続く雨に利根川の水かさが増え、今にも村を飲み込もうとしていたので、村人は竜神のたたりと考え、生娘を生けにえにするしかないということになった。そこに巡礼の母娘が通りかかったので、村人は娘を利根川に投げ込んでしまった。母親もそれを追って川に身を投じた。すると水は減り始めたが、数年後疫病が流行り、農作物が不作となった。旅の僧が、これは巡礼の母娘の魂がさまよっているためであるから、社を建てて祀るのがよいというので建てたのが、加須の川圦神社である。 |
話 名 | 不動 |
資 料 | 民具マンスリー 34巻6号 |
場 所 | 岩槻市 渋江町 |
要 約 | 竜門寺の不動は毎夜、大入道になって街道を行く人を驚かし、武士に片腕を落とされた。 |
話 名 | 竜の彫り物 |
資 料 | 新編埼玉県史 別編2 (民俗2) |
場 所 | 秩父市 番場町 |
要 約 | 左甚五郎作といわれる秩父神社の竜の彫り物は、毎夜水を飲みに出ては田畑を荒らすので鎖でつながれた。 |
話 名 | 龍 |
資 料 | 民具マンスリー 34巻6号 |
場 所 | 入間郡 越生町 |
要 約 | 雲崗和尚が湖に棲む悪竜を善竜に変え、寺を建てた。 |
埼玉県の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)