福島県の竜蛇

門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より

話 名 観音様
資 料 旅と伝説 2巻6号通巻18号
場 所 郡山市日和田町
要 約 昔、毎年日和田の村人は安積沼の主の大蛇に、人身御供をしなければならなかった。長者の娘が当たった年、サヨという娘が「両親の残した彫りかけの観音様を完成させてくれたなら、身代わりになりましょう」と申し出た。観音様が完成し、観音経を誦して大蛇を待つと、経を聞いた大蛇は娘を捕らず天に昇った。

話 名 大蛇
資 料 旅と伝説 2巻6号通巻18号
場 所 郡山市日和田町
要 約 昔、毎年日和田の村人は安積沼の主の大蛇に、人身御供をしなければならなかった。長者の娘が当たった年、サヨという娘が「両親の残した彫りかけの観音様を完成させてくれたなら、身代わりになりましょう」と申し出た。観音様が完成し、観音経を誦して大蛇を待つと、経を聞いた大蛇は娘を捕らず天に昇った。

話 名 弘法大師
資 料 旅と伝説 3巻9号通巻33号
場 所 安達郡
要 約 ここには昔から井戸が無く、弘法大師が独鈷で掘ったといわれている独鈷水を村中で使っているが、この用水のあたりに蛇が出ると凶事があるといわれている。

話 名 蛇柳,大蛇
資 料 旅と伝説 9巻6号/通巻102号
場 所 いわき市
要 約 蛇柳の下を葬列が通ると棺が吊り上げられる。柳の周囲を片足で3回回ると、昔水中に引き込まれた少女の泣声が聞える。柳の二股になったところに生首があった。柳は大蛇のすみかであったという。

話 名
資 料 旅と伝説 9巻8号/通巻104号
場 所 磐城の水の伝説
要 約 洪水で家が流されないのなら娘を一人やってもよいと母親が言うのを聞いて、蛇が若侍の姿となって娘をもらいにきた。蛇のひげで織った織物を供えると、百人分の椀を借りられた。

話 名 大蛇
資 料 旅と伝説 9巻8号/通巻104号
場 所 磐城の水の伝説
要 約 大旱の時、水を引こうとすると、でぐちを大蛇がふさいでいたので、一人の若者が刀をくわえて飛び込んで大蛇を切った。その血しぶきのかかった桜は伐ると中から血が出るという。

話 名 大蛇
資 料 旅と伝説 10巻1号/通巻109号
場 所 相馬山中郷雑記―佐須を中心として―
要 約 澤で水を飲もうとすると2斗樽ほどの大蛇が現われ、逃げ帰ったが数日して死んだ。

話 名 牡鹿,蛇,百足
資 料 旅と伝説 11巻2号/通巻122号
場 所 南会津の民俗
要 約 昔、会津若松近くの小野嶽の麓の小野に猿丸太夫が住んでいた。雌鹿を矢で射ようとすると矢は当らず、尾が光っていた。後を追ったが鹿は消えた。日が暮れると、西から蛇体、東から百足が出てきて噛み合っていた。鹿は蛇体が姿を変えて助太刀を頼んだものだと理解し、百足を矢先に唾をつけて射ると退散してしまった。

話 名 蛇,沼の主
資 料 旅と伝説 11巻7号/通巻127号
場 所 鏡ヶ沼の怪と甲子温泉の発見
要 約 狩人が沼に現われた怪美人を銃で撃ったあと、いろりの自在鉤に蛇が何匹ももつれ合って現われた。美人は沼の主で、その子蛇が諦めかねて現われたものだという。

話 名 大蛇
資 料 旅と伝説 11巻8号/通巻128号
場 所 鏡ヶ沼の大蛇
要 約 若い呉服商人が若い女が峠にひとりで立っているのに出会い、道連れとして旅をし、やがて夫婦になった。子供が生まれたが、男が様子が変なのを疑って覗くと、大蛇が授乳していた。気付いた女は眼球を取り出し、子供が泣いたらしゃぶらせるように言って姿を消した。噂が広まり、眼球が役人に取り上げられたので男が峠へ行くと、大蛇がもう一方の眼球を渡した。

話 名 (俗信)
資 料 民間伝承 4巻6号
場 所 福島県
要 約 農民が履く草履の一種で、アシダカゾウリというものがある。普通の草履と違って、鼻緒の結び目をヨコヲの上に結んで房状に残しておく。これを履いていると、蛇にかまれないという。

話 名 美しい娘,大蛇
資 料 旅と伝説 13巻7号/通巻151号
場 所 福島県相馬地方の民謠その他
要 約 ある夏の終わり、猟師が蛇穴を見つけて入っていくと、そこに美しい娘がいた。娘は猟師に「私がここにいたことは誰にも言ってはならぬ」と言われて帰ったが、後日秘密を口にしてしまい、そのときからもう一度蛇穴に行きたくなった。初冬の暖かい日に猟師は蛇穴に向かい、それきり帰ってこない。

話 名 大蛇
資 料 南越民俗 3巻2・3合併号/通巻12号
場 所 坂井郡
要 約 川端で出会った美女と城主がいた。2人は夫婦となり、妻は出産を迎えた。産室に入るなという妻が気になって、覗いてみると大蛇が子供を抱えている姿があった。見られた妻は恥ずかしがって子供を莚に包んで逃げていった。

話 名 大蛇
資 料 民族文化 通巻6号
場 所 相馬郡小高町
要 約 娘が若者と恋に落ちたが、親たちに反対され、沼に身を投げて死んだ。2人の怨霊は大蛇になり、沼に潜むようになった。その後、大蛇がこの土地を泥海にしようとした。大蛇は秘曲を聞かせてくれた琵琶法師だけにそのことを告げた。琵琶法師は逃げようとしたが、大悲山薬師如来の諌めにより、殿様に知らせた。殿様は藩内の人を総動員して、大蛇を退治した。

話 名 (俗信)
資 料 民間伝承 8巻6号通巻84号
場 所 会津若松市
要 約 蛇、トカゲを指さすと、その指が腐る。指した場合は、他の子どもにユビキリ(手を斜めにして指を3回叩く)してもらうと良い。

話 名 大蛇
資 料 あしなか 通巻40号
場 所 福島県
要 約 川の端部落の沼に、大蛇が住んでいて、日照で水に困るとこの沼に木や石を投げ込んで荒らせば、主の大蛇が怒って雨を降らせるという。

話 名 オチカミ様,蛇の神
資 料 民俗採訪 昭和三十年度号
場 所 石城郡田人村
要 約 明治初年頃、子供が一人死んだので占ってもらうと、長虫の祟りと出た。卵を呑んだマムシを殺した心当たりがあったので、オチカミ様として祀った。この蛇神を馬鹿にして祠に登ると、体がきかなくなって、降りられなくなる。

話 名 二本角のある蛇
資 料 民俗採訪 昭和三十年度号
場 所 石城郡田人村
要 約 2年程前、山の神の境内の岩から2本角の蛇が出た。山の神のお使いだと騒ぎになった。アルコール漬けにして、今もある。

話 名 丹波守の霊,蛇
資 料 民俗採訪 昭和三十年度号
場 所 石城郡田人村
要 約 丹波守の霊が蛇になって倉にいる屋敷がある。直径2寸、丈2間という。

話 名
資 料 民俗採訪 昭和三十年度号
場 所 石城郡田人村
要 約 男がアサガ山で知り合った女と一緒になったが、女は蛇だった。女は赤子を産むと、これを舐めさせろと眼を抜いて渡し、池へ帰った。その玉が盗まれた。もう一つの眼も抜いたが、それも盗まれた。親子三人で死のう、ただ、盗んだ者は勘弁できない、と言って、池の栓を抜いてあたり一面を海にしてしまった。アサガ山の下辺りに、その村が見えるという。

話 名
資 料 民俗採訪 昭和三十年度号
場 所 石城郡田人村
要 約 蛇が男に化けて娘の所に通った。不審に思って枕に針を刺しておくと、血が点々と続いている。追って行くと蛇が針に刺さって苦しんでいた。抜いてくれたら蛇の子を下ろしてやると言うから抜くと、菖蒲の酒を飲めと教えられた。だから五月節供には菖蒲の酒を飲む。

話 名
資 料 民俗採訪 昭和三十年度号
場 所 石城郡田人村
要 約 豊臣秀吉が蛇に追いかけられた時、菖蒲の藪に隠れて助かった。蛇は菖蒲に潜れない。これから5月5日には菖蒲を軒に挿す。

話 名
資 料 民俗採訪 昭和三十年度号
場 所 石城郡田人村
要 約 蛇が侍のような男に化けて大尽の娘の所に通った。不審に思ってつけると川に入ってしまった。川渕で話を聞くと、蛇が「人の腹に子をこしらえた」「菖蒲湯に入らなきゃいいが」と話していた。だから五月節供には菖蒲湯に入り、屋根と神様に菖蒲をつける。

話 名 カナ蛇,大蛇
資 料 民俗採訪 昭和三十年度号
場 所 石城郡田人村
要 約 大沼に夏草刈りに行ったら、小さいカナ蛇が頭をもたげていた。鎌で首を切ると大蛇になった。七つに切って留めを刺し、蛇塚と言う所で切ってしまった。その人は家に帰って死んだ。その家はタタナイという。

話 名 白蛇
資 料 民俗採訪 昭和三十年度号
場 所 石城郡田人村
要 約 峠で白蛇が歩いて旅人を困らせた。

話 名 蛇と馬の足跡
資 料 民俗採訪 昭和三十年度号
場 所 石城郡田人村
要 約 滝で蛇と馬とが喧嘩をした。岩にその足跡が残っている。

話 名 大蛇
資 料 あしなか 通巻80号
場 所 福島県
要 約 美しい娘のおせんは水をがぶがぶと飲むようになり、日に日にその量が増した。祈祷者に占ってもらうと大蛇に取り憑かれており、屋敷の中に灯籠を建てて「おせんが宮」と名付けて末長く祀った。

話 名 大きな蛇,白蛇
資 料 宇津峯山麓の民俗 通巻2号
場 所 須賀川市
要 約 4月1日は宇津峯の山開きで以前はかんぬしがおがんでから山に登りぞめをした。ここには大きな蛇が住んでいたという白蛇伝説がある。

話 名 (俗信)
資 料 宇津峯山麓の民俗 通巻2号
場 所 須賀川市
要 約 禁。大きな蛇がいるから、雲水峯には7月15日の山開き以前には登ってはいけない。旧4月8日のカミゴトの日や旧11月15日、油締めの日はあずきを食べないうちに外へ出てはならない。悪い神が飛んでくるから。火柱が立つから家を建てるのにヒノキを使ってはならない、など。

話 名 大蛇
資 料 伝承文芸 通巻2号
場 所 双葉郡浪江町
要 約 玉の井という目の見えない坊さんが、目が見えるようになるよう祈願し、満願の日を迎えた。池にいた大蛇が出てきて目をあけてくれようとしたが、そのときあたりを泥海にする計画を語る。坊さんは、自分の目が助かって何万の人が殺されるのはいられない、と言ってその計画を皆に話す。大蛇は雷様になって坊さんを八つ裂きにした。

話 名 大蛇
資 料 伝承文芸 通巻2号
場 所 相馬郡鹿島町
要 約 麦つきの手伝いをしにどこから来たかわからない若者が来るが、そうすると必ず臼がなくなる。若者が臼沼に住む大蛇であることがわかる。ある弓の名手がその大蛇を射止める。射止めた矢を持っていくと子供の夜泣きがやむとも言われていた。

話 名 大蛇
資 料 伝承文芸 通巻2号
場 所 相馬郡
要 約 徳一坊という坊さんが、目が見えるようになる祈願のために大悲山薬師におまいりしたが、満願の日に立派な鎧を来た若武者が現れ、自分が蛇であること、あたりを泥海にする計画であることを話した。徳一坊は、皆を助けるために蛇に口止めされたにもかかわらず、代官所でそのことを話して蛇に八つ裂きにされてしまった。

話 名 大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和37年度号
場 所 福島市飯坂町
要 約 平家の落人が白羽の矢で大蛇退治をした。その大蛇が苦しんで3日3晩のたうちまわった場所を、ミカズリという。

話 名 大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和37年度号
場 所 福島市飯坂町
要 約 摺上神社の主は大蛇。摺上川の源の渕に住んでいる。大蛇はやかんほどの太さで、とぐろを巻いていたという。

話 名 大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和37年度号
場 所 福島市飯坂町
要 約 小字名号・梨平・田畑にある3つの御岳神社は、菅沼の大蛇を退治した後に、尾・頭・胴をそれぞれ祀ったもの。順序を正しく埋めると大蛇が生き返るから、ばらばらに埋めた。使いはアオダイショウ。

話 名 大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和37年度号
場 所 福島市飯坂町
要 約 梨平の稲荷神社は矢取稲荷という。茂庭の姫様が人買文五郎にさらわれて大蛇の生贄にされそうになった。茂庭の家来が大蛇と戦ったときに、白鳥が矢を2本咥えてきて1本を落とし、その矢を稲荷様が拾ってきてくれたので大蛇を退治できた。農業の神様で蚕があたるので、今では金取り稲荷と呼んでいる。

話 名 オシラ神,大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和37年度号
場 所 福島市飯坂町
要 約 オシラ神は蚕の神様で大蛇である。

話 名 玄熊,大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和37年度号
場 所 福島市飯坂町
要 約 伊達郡・信夫郡は昔は大きな湖で、七頭の大蛇が主であり、3年に1度人身御供をとっていた。あるとき玄熊が現れて大蛇と7日7夜の噛みあいをして、大蛇が負けた。大蛇は人身御供をしていればおとなしかったが、玄熊は手に負えないので、日本武尊に退治を願った。日本武尊は掘割を作って湖水を抜き、玄熊を射殺した。

話 名 大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和37年度号
場 所 福島市飯坂町
要 約 茂庭の湖に大蛇が住み、人年貢をとった。建久3年の年に、金を集めて生贄の娘を那須野ヶ原に求めた。妹を売った人は斎藤実良の家臣今野図書で、主君の父の一周忌の追善のために妹・猿姫を売った。実良は不審に思い事情を聞いて大蛇退治に出かけた。9月19日に稲荷様からいただいた白羽の矢で大蛇を退治した。実良はその功により、伊達家の客として茂庭を頂き、移り住んだ。

話 名 大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和37年度号
場 所 福島市飯坂町
要 約 田原藤太秀郷は平将門の愛妾桔梗の前と恋仲になり、影武者の見分け方を聞き出して将門を滅ぼした。桔梗の前は秀郷を恨み、生国伊達郡藤田村を訪ねたが、秀郷の行方はわからず、蛇身になって菅沼の主となった。人身御供をよこさないと村を泥海に変えるというので、村人は金を集めて娘を買いに行く。下総の周防という浪人が主君の年忌供養のために娘を売った。周防の耳にも人身御供の話が聞こえ、大蛇退治に出かけ、白鳥明神の神通のかぶら矢で大蛇を退治した。この噂を湯野村の阿部道学親子が聞き、武名を上げようと襲ってきたので返り討ちにした。周防は茂庭の領主となり、大蛇と阿部親子の首を祀ったのが三社権現。

話 名 大蛇
資 料 西郊民俗 通巻35号
場 所 久之浜町
要 約 絹谷にあった貯水池で大蛇が尾を突っ込んだため栓が抜けずにいた。そこで潜りの名人金ヶ沢の勘太郎が依頼を受け、見事大蛇を仕留めた。その大蛇を埋めた上に桜を植え、その木は今も残っている。

話 名 大蛇
資 料 伝承文学研究 通巻7号
場 所 福島県
要 約 父を殺された菖蒲は大蛇になって生贄を求めるが、松浦佐世姫が法華経を誦すと教化されて仏心を得る。(『東山志』巻上・安積一日和田)

話 名 大蛇
資 料 伝承文化 通巻5号
場 所 東白川郡塙町
要 約 江戸末期、山幸神社の前に洞のある大杉が立っていて、恐ろしい唸り声がしていたが、山幸神社の神様である老婆が杉葉を洞に投げ入れると、雷が落ちて三日三晩燃えつづけた。焼け跡からはシオビキのナカツプシ位の蛇の骨があった。

話 名 大蛇
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 石城郡好間村
要 約 ある百姓が淵の大蛇に家が洪水で流れないようにしてくれたら娘をやると約束した。娘は大蛇の嫁になり、形見に下駄と1枚の鱗を残したという。大蛇が僧形になって娘を連れに来たとも伝えられている。

話 名 お菅,蛇
資 料 猪苗代湖南の民俗:福島県郡山市湖南町三代 通巻8号
場 所 郡山市湖南町
要 約 お菅が殿様に懸想して追いかけてきたが、何ともしかたなく蛇になってしまった。そして柳の木の上に登っていたが、「見苦しいから引っ越せ」といわれて福良の馬入神社に移ってしまった。お菅さまが来ると沼がいっぱいになり、いないと雨が降っても水がたまらないという。

話 名 蛇,お菅さま
資 料 猪苗代湖南の民俗:福島県郡山市湖南町三代 通巻8号
場 所 郡山市湖南町
要 約 参勤交代のとき柳の木の上に蛇がいたが、見苦しいからと追い払われ、福良へ移った。その柳の木は折ると血が出るといわれていたが、切ってしまった。お菅さまに参ると蚕があたるという。

話 名
資 料 猪苗代湖南の民俗:福島県郡山市湖南町三代 通巻8号
場 所 郡山市湖南町
要 約 蛇がいつも大きな柳の木に登っていたが、殿様に見苦しいと言われて清水堀に移ろうとしたが、百姓が難儀するからひっこんでくれといわれて、福良の馬入にいってしまった。

話 名 布引山の蛇
資 料 猪苗代湖南の民俗:福島県郡山市湖南町三代 通巻8号
場 所 郡山市湖南町
要 約 昔、今の湖南町に雨ばかり降って稲が実らないことがあった。これは布引山の蛇が雨を降らせているということで弘法大師が山頂で何日も祈って蛇を穴へもどした。

話 名
資 料 猪苗代湖南の民俗:福島県郡山市湖南町三代 通巻8号
場 所 郡山市湖南町
要 約 高井原山を蛇が飲もうとしていたが、弘法大師が護摩をたいて追い出した。その蛇が福良のコエタ坂にのべっていた。殿様がそれを見苦しいといったら、穴に入って尻尾だけ出して死んでいた。そこを穴尾という。

話 名 (俗信)
資 料 奥州東白川の民俗:福島県東白川郡塙町大字川上 通巻10号
場 所 東白川郡塙町
要 約 6月1日はムケの朔日。この日は人間の皮がむけて新しくなる日。皮がむけやすくなるようにうどんをたべる。また、ぬけ殻がひっかかるため、桑畑に入ってはいけないとか、蛇に笑われるという。

話 名 (俗信)
資 料 奥州東白川の民俗:福島県東白川郡塙町大字川上 通巻10号
場 所 東白川郡塙町
要 約 予兆。夜烏が鳴くと火事が起きる。蛇に会うと縁起がよい。蛇の夢を見るとお金が入る、など。

話 名 (俗信)
資 料 奥州東白川の民俗:福島県東白川郡塙町大字川上 通巻10号
場 所 東白川郡塙町
要 約 禁忌。夜口笛を吹くと蛇が出てくる。夜に口笛を吹くと親に死に別れる。猿の話をした日には山へ行かない、など。

話 名 大蛇
資 料 奥州東白川の民俗:福島県東白川郡塙町大字川上 通巻10号
場 所 東白川郡塙町
要 約 八幡太郎義家が今の塙町を通りかかると1人の男が崖を掘っていた。理由を尋ねると、男の父が湖の大蛇にのまれ、その敵を討つために崖を掘って水を干上がらせようとしていると答えた。義家がそれを手伝わせて水がひくと大蛇が現れた。そこで義家は弓張堂から大蛇を射殺した。このときの弓が矢祭山に置いてある。そして、大蛇の骨は源八山竜沢寺にあって、薬になるといって人々が削っていく。

話 名 大蛇
資 料 奥州東白川の民俗:福島県東白川郡塙町大字川上 通巻10号
場 所 東白川郡塙町
要 約 常豊村に孫四郎淵がある。孫四郎という人が葛藤の根を掘りに行って、遅くなったので淵のそばで寝ていると、大蛇が来て孫四郎をのもうとしたが、刀がひとりでに抜けて蛇と闘った。偶然それを人が見かけ、孫四郎にその刀を売ってくれるように頼んだ。その刀を売ってしまった孫四郎は、翌日は蛇に対抗できず、のまれてしまった。

話 名
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 昔、やまへいって眠たくなった田んぼで昼寝したら、蛇に見込まれて蛇の子ができた。それならば菖蒲湯へ入れと言われて蛇の子どもが盥にいっぱい出てきた。だから五月節句には菖蒲湯に入る。女は必ず入るものである。また、悪い蛇などが入らないように軒のところに菖蒲をさす。

話 名
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 蛇は菖蒲湯が嫌いである。蛇が女の股へ入ってしまった。蛇は酒の1升も飲まないと出ないという。それで菖蒲の中へ入ったら蛇はまわってあるいて、女の命をとることはできなかった。それなので、5月の節句には女のいわれで菖蒲湯へ入る。

話 名
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 蛇が女の裾から入っていたづらをしたので、そういうことがないように菖蒲湯をたててはいる。

話 名 竜,蛇
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 男性が山へ行ったら竜に馬鹿にされ、家へ帰ってきたらきれいな嫁様になっていた。そしておむすびをいつつもむつつも食べてしまう。夜になって山へ帰っていくのであとを追っかけてみたら、大きな蛇だった。それで追われて菖蒲の中に隠れて命が助かった。こういうことがあるから気をつけろという。

話 名
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 きれいな嫁さんをある人がもらった。五月節句になって聟さんと2人で泊まりに行ったらうんと山へ行った。その嫁さんは蛇だったのだ。それで怖くて逃げたが逃げ切れず、菖蒲と蓬の所へ身を隠した。そうしたら蛇は隠れたことが分からなくて帰っていった。それで蓬と菖蒲は五月節句にさす。

話 名
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 蛇が吊鐘のぐるりにからみついた。だが、そのお姫様は蓬と菖蒲のところへ入ったので、蛇はお姫様にかかることができなかった。それで五月節句には菖蒲と蓬をさし、菖蒲湯をたてて入る。

話 名
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 昔、農家の人がたいした山へ入った。すると大沼があってたいした大蛇がいて逃げたが、逃げられない人は大蛇に飲まれたが、餅草と菖蒲の中へ隠れた人は助かった。それで五月節句には軒端へ菖蒲と蓬をさす。つまり魔除けである。そしてお湯へ入って体を清める。

話 名
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 蛇に追いかけられていたときに田の畔に生えていた菖蒲の中へ隠れて姿を隠した。五月節句には田の畔には行ってはいけない。また、菖蒲を屋根に葺いて菖蒲屋根にすると蛇が来ないという。

話 名
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 蛇は菖蒲の臭いがいやなのである。ある昔の人が山へ木こりに行ったら蛇に追われて谷底まで下りてきた。そこに沼みたいなヤチッタレがあって、そこに菖蒲があったので中へ隠れた。すると蛇がぐるぐるまわってとうとう見つからないで行ってしまった。

話 名 化け蛇,大蛇
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 蛇がきれいな男に化けて娘と遊んだが、時間が来ると決してこの部屋はのぞくなという部屋があった。それを娘の親が見てしまった。すると男はものすごい大蛇みたいになっていた。娘は大蛇の胴で締められて殺されてしまった。

話 名 大蛇
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 蛇が人に化けてきれいな女の人を集めて、結局それを飲んでしまう。そのそばに木こりがいて女の悲鳴を聞いた。木こりがそおーっといってみると蛇の主というか、大蛇がいて、女の人が助けを求めていた。木こりは恐ろしさに腰を抜かしてしまい、蛇に見つけられた。木こりまでやられてしまったのかはわからない。

話 名 蛇の崇
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 石川郡畑田の浅川というところで、亭主が肺病になって縞蛇の生血を飲んだ。すると肺病は治ったが、できた子どもは蛇の子であった。それをみた嫁様はたまげて死んでしまった。蛇の崇の話である。

話 名
資 料 東白川の昔話 通巻11号
場 所 東白川郡塙町
要 約 昔、大きい土蔵の中には蛇がいた。子どもがあまり泣くので倉へ入れてやまへ行ってしまった。帰ってきたら、蛇が口から入って子どもが真黒になって死んでいた。

話 名 大蛇
資 料 近畿民俗 通巻58号
場 所 南会津郡檜枝岐村
要 約 雨乞いの時は、大根オロシ池に男たちだけが集まり、鉄類や棒や杭を投げ込む。すると池の主の大蛇が怒って雨を降らせるという。

話 名 白龍権現,白蛇
資 料 小平の民俗―福島県石川郡平田村旧小平村―
場 所 石川郡平田村
要 約 小平集落の子供が館跡で白蛇を殺したらその家に病人が続けて出たので住職に見てもらったところ、館の守り神を殺した祟りだと言われたので、白龍権現として祀った。

話 名 大蛇
資 料 小平の民俗―福島県石川郡平田村旧小平村―
場 所 石川郡平田村
要 約 西山の山にダンブリ石という、大蛇が這ったようにえぐれた石がある。

話 名
資 料 小平の民俗―福島県石川郡平田村旧小平村―
場 所 石川郡平田村
要 約 若い女が山道を通ると男が出てきて、帰りも必ずここを通れ、何か物を置いていけというのでハンカチを渡した。戻ってみると男はおらず、ハンカチで鉢巻をした蛇がいたので、女は化かされたと思って逃げてきた。

話 名
資 料 小平の民俗―福島県石川郡平田村旧小平村―
場 所 石川郡平田村
要 約 中倉集落の大きな屋敷が、蛇のために潰れたことがある。その屋敷跡には蛇神様が祀られ、古井戸が残っている。

話 名 赤城明神,大蛇,日光山大権現
資 料 福島県史 第23巻 民俗1
場 所 南会津郡檜枝岐村
要 約 万三郎為信という弓矢の名人が、赤城明神と日光山大権現の争いの中に入り、18丈の大蛇になってあらわれた赤城大明神を射ちとめて、日光大権現から狩りをしてよいという免許をもらった。

話 名
資 料 小平の民俗―福島県石川郡平田村旧小平村―
場 所 石川郡平田村
要 約 ある猟師が兎を撃ったら蛇が出てきた。蛇に鉄砲を撃ったら睨みつけてきて、猟師は病気になってしまった。

話 名 大かに,大蛇
資 料 福島県史 第23巻 民俗1
場 所 福島市松川町
要 約 1021(治安元)年、黒沼神社の南700メートルほどの蟹沢という部落に径8尺以上の大かにがすんで被害をもたらしていたが、在家7軒が黒沼神社におこもりし退治した。また、1121(保安2)年にも、あゆ滝という川原にすむ大蛇を在家の人々が黒沼神社におこもりすることで退治した。これが羽山ごもりの起源といわれる。

話 名 (俗信)
資 料 民俗採訪 通巻昭和51年度号
場 所 耶麻郡高郷村
要 約 年中行事に関する俗信。元旦の早朝に餅つきをして食べたら腹を病んだので、元旦には餅つきをしない家があるという。2月8日はお八日様で、餅をついて厄神様にあんこ餅をあげる。厄神様はあんこ餅が大嫌いだからだという。5月の節供には、家族みんなショウブ湯に入るが、特に女性は入らないと蛇の子が産まれるという。12月8日はお八日様で、朝早く家の前を悪い神が通るので、もみどおしなど目の多いものを入り口にかけておくと、悪い神が入らないという。

話 名 大蛇
資 料 福島県史 第23巻 民俗1
場 所 福島市松川町
要 約 1121(保安2)年、あゆ滝という阿武隈川沿岸の川原に大蛇がすみつき、害を与えた。在家の人々が黒沼神社におこもりして退治した。羽山ごもりの由来譚。

話 名 稲荷様
資 料 民俗採訪 通巻昭和51年度号
場 所 耶麻郡高郷村
要 約 稲荷様は犬に蹴られたり、ベコの糞で転んだので、村では犬もベコも扱わないという。蛇に祟られた人が、蛇の絵を奉納したりする。

話 名 大権現,赤城明神,白鹿,大蛇,老翁
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 福島県
要 約 人皇五六代清和帝のころ、下野国(栃木県)日光山ふもとに万三郎という弓の名人がいた。このころ、上野国(群馬県)赤城明神と日光山の大権現が亜呂阿蘇意、日光山大権現が白鹿となり、さらに老翁となって万三郎に助けを求めた。万三郎は赤城明神が18丈の大蛇となって攻めてくるのをうちやぶった。その勇が禁裏に聞こえ、以降日本国中の山について山立御免となり、そのご朱印をいただいた。

話 名
資 料 民俗採訪 通巻昭和51年度号
場 所 耶麻郡高郷村
要 約 ある男が飯を食わない嫁をもらったが、その正体は大蛇だった。大蛇は後に美しい男の姿でその家の娘のところに婿に来た。娘はそっと着物に糸のついた針を刺しておいた。それを辿っていくと、沢に大蛇の親子がいた。子は「子どもが産まれる」と言ったが、親は「人間は五月節句に菖蒲湯にはいるから、子は流れる」と言った。大蛇は死んでしまった。

話 名 血桜
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 いわき市
要 約 平絹谷の青滝の堤に大蛇がすみ、灌漑用水を止めてしまったので、ある若者がこれを切り殺し、死骸を池畔に埋めた。ここにある桜の木はどこを切っても地のようなものが吹き出るので血桜という。年に3回花が咲くが、その都度花の色が異なるという。

話 名 むぎわらの蛇
資 料 続日本随筆大成6巻
場 所 白河市
要 約 夏に起こる、激しい下痢や嘔吐を伴う病気である霍乱には、麦わらで作った蛇を黒焼きにしたものを飲ませれば忽ちにして効果がある。

話 名 蛇体の松
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 双葉郡広野町
要 約 海岸に蛇体の松と呼ばれる二股の老木がある。昔、慶長の頃、与吉という百姓がおり、お松という娘があった。ある時、殿様が与吉の家で休んだ際に、お松を侍女にすると城へ連れ帰った。ところがお松は家に帰りたがって言うことを聞かないので、小船に乗せて竜神の淵に捨ててしまった。お松は海岸に泳ぎ着いたが、力尽きて女面蛇体の死体となって海岸に打ち上げられて。親たちはこれを見て悲しみ、娘の名にちなんで松を植えた。この松が大きくなったものが蛇体の松である。この松は霊験があるという。

話 名
資 料 会津の民俗 通巻12号
場 所 北会津村
要 約 五月の節供に菖蒲湯に入らなかった娘の元を、夜な夜な男が訪ねてきた。ある夜、男が帰ったあとをたどると裏の蛇の穴に入っていた。その夜娘の腹が痛くなり、はんぞを持って来て産ませたところ、蛇の卵を産んだ。

話 名 石,南洋の蛇
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 相馬市
要 約 昔、伊勢参りの帰途、下駄に小さな石が挟まったが、どこまで来ても取れないので不思議なこともあるものだと思いながら、お伊勢参りからついてきたのだからと、家に持ち帰り神棚に上げておいた。ところが石はだんだん大きくなり、やがて一抱えもある大石となった。不気味に思い、紫の布に包み、柏神社と名づけお祀りした。この石の正体は南洋の蛇が変わったものだということで、この石がたくさん子を産んで、その1つが新沼に祀られているという。柏神社の祭りでは、罪ある者がみこしを担ぐと必ず身が縮まり、罪ない者が担ぐと、どんな大石でも楽に担げるという。

話 名 大蛇,河童
資 料 福島の民俗 通巻10号
場 所 双葉郡浪江町
要 約 河童は魔性と言われ、馬に悪戯して捕らえられ、人間と相撲を取って負けたので骨接ぎの秘薬を教えた。大蛇は河童よりも執念深いく、北の室原川に越境して河童の領内に拠点を設けて棲息していた。

話 名
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 相馬市
要 約 昔、釣り好きの殿様が共を連れ太田川の真ん中の大きな石に立って釣りをしていると、川向こうから大きな蛇が現れ殿様を飲もうとした。共の者たちが驚いていると、殿様は懐中から毒薬のようなものを取り出し蛇に振りかけた。すると蛇はみるまに石に化してしまった。今なお川の真ん中にはその石があり、蛇のような形をしているのでこの付近一帯の字名を蛇石といっている。

話 名 (俗信)
資 料 むさしの 通巻9号
場 所 二本松市東和町
要 約 蛇や馬の夢をみると金が入る、などの俗信5件。

話 名 大蛇
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 伊達市月館町
要 約 狸石とも蛇塚石とも呼ばれているものがある。昔、大蛇を殺してこの地に埋めたのだろうといっている。

話 名 大蛇
資 料 むさしの 通巻9号
場 所 二本松市東和町
要 約 口太山の夏無し沼の主の大蛇が度々暴風雨や山崩れを起こして田畑を駄目にするので、恵知之丞という若者の指導で沼の堤土手を壊して、沼を干すことになった。大蛇は風雨を起こして抵抗したが、やがて土手は壊れ沼は狭くなった。その日の夕刻に、恵知之丞の家に蛇の目傘をさした美女が来て「長々お世話になりました」と挨拶をし、消え去った。その夜、大蛇は黒雲に乗って夏無し沼から吾妻山の女沼に移ったという。

話 名 大蛇
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 いわき市好間町
要 約 川が二股に分かれているうちの、低いほうの川原に家が一軒あり、どんな洪水にも水は家に上がらないが、昔は水が出るたび流されていた。母親は嘆息し、家が流されずに済むなら、3人娘の1人を淵の主にやってもよいとつぶやいた。その後、毎日のように若侍が尋ねてくるようになり、水難はまぬがれるようにするから娘を欲しいといった。それから、娘が時々いなくなるので不審に思い、ある時娘をつけてみると、淵の傍に大蛇が巻いている中に座っていた。母親は驚き帰ったが、若侍の訪問は止まないので娘をくれてやった。幾日か後娘たちが泊まりに来た夜、私の姿を見ないでくれという。恐る恐る見てみると2匹の蛇がいたので肝を潰した。娘は姿を見られたことを悲しみ、再びお目にかかれないと、形見に片方の下駄と鱗を一片残して去った。

話 名
資 料 民俗採訪 通巻昭和59年度号
場 所 福島市
要 約 昔、きれいな娘の所に男が通い、娘のおっかさまがあとをつけて行くと、立派な男は蛇だった。そこでおっかさまは娘に今度男が来たら衣装に針をさせといい、娘がその通りにすると、蛇はうなった。蛇のおっかさまがそんなとこに通っているからこんなことになったんだというと、蛇は子供を作りこんできたから大丈夫だ、そして、菖蒲湯をつけると子は流れてしまうのだという。娘のおっかさまがさっそく菖蒲湯に娘をいれると蛇の子供が出ていった。そのために5月の節供の夜には菖蒲湯をたてる。

話 名 大蛇
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 いわき市好間町
要 約 川が二股に分かれているうちの、低いほうの川原に家が一軒あり、どんな洪水にも水は家に上がらないが、昔は水が出るたび流されていた。母親は嘆息し、家が流されずに済むなら、3人娘の2人を淵の主にやってもよいとつぶやいた。その後、毎日のように若侍が尋ねてくるようになり、水難はまぬがれるようにするから娘を欲しいといった。娘をくれてやった後、父親は娘が淵の傍で髪を洗っている夢を見た。目が覚めると枕元に3反の大蛇の髭で織った毛織物があった。この家に祝い事があるたびにこの織物を淵に供えると、100人前の椀を借りることができるようになった。3度目に借りたとき、椀の蓋を流してなくしたので、それからは反物を供えても効果は無かった。反物を見るのも恐ろしいので、占ってみると反物の祭りをしていないからだとわかった。近くの竜門寺に納めて祭った竜門寺の井戸とこの淵は続いているという。

話 名 大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和59年度号
場 所 福島市
要 約 梨平の氏神、御岳神社は御岳さんと呼ばれている。御岳神社は名号・梨平・田畑にあり、昔、大蛇を退治したときに3つに切った大蛇が生き返らぬように、それぞれにバラバラに埋めたからであるという。

話 名 大蛇
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 双葉郡浪江町
要 約 和久沼、赤宇木沼、新田沼には昔、それぞれに共通する大蛇が住んでいた。1つの沼に糠をまくと必ず他の沼にも糠が浮いたといわれ、今は2つになっが、田植えの時には雨が降るといっている。

話 名 清姫,蛇
資 料 番沢の民俗 通巻24号
場 所 白河市表郷村
要 約 清姫というお姫さまが安珍という坊様に恋したが捨てられ、その恨みで蛇になって追いかけた。安珍は鐘の下に隠れたが、蛇はその鐘に巻きついて溶かしてしまった。

話 名 大蛇
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 大沼郡金山町
要 約 沼沢には昔、雌雄の大蛇が住んでおり、霞が窪と呼ばれていた。建久の頃、領主佐原十郎義連はこの地を開き人民の安定を図ろうと、従者を従えこの霞が窪に向かった。すると水が逆行して雷がとどろき、忽然と小山のような怪物が水上に現れた。主従力を合わせ立ち向かったが、乗っていた筏は水中に引き込まれた。しかしまもなく大波が逆立ち、波間に大蛇が横たわり、義連はその上にまたがっていた。義連の兜にはえんぷだこんの観音様をいただいていたので大蛇の腹を割くことができた。

話 名
資 料 番沢の民俗 通巻24号
場 所 白河市表郷村
要 約 アンデンボウが鐘の下に隠れたが、蛇がその鐘に巻きついて溶かしてしまった。

話 名 大蛇
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 福島市飯坂町
要 約 菅沼平というところがあり、今は水が無くなり谷地になっている。承平年中、平将門の女弟がこの国に来たのだが、藤原秀郷のために嫉妬の恨みにより自害した。その魂は大蛇になり菅沼に住み、建久年中になり、人身御供をとるなどして村人を苦しめた。ところが白鳥大明神の霊験により大蛇を射殺することができた。大蛇を退治して帰ってきたところを来の原といっているが、今は北の原ともいっている。

話 名 大蛇
資 料 常民 26号
場 所 大沼郡金山町
要 約 鹿島神社の「お池」には枝振りのいい柳があり、その水は神の水とされていた。あるとき、邪悪な人がお池で汚れた服を洗ったら、柳に大蛇が現れた。その年は災難や病気で村が全滅するかと思われるくらい人が死んだ。それ以来、汚い格好の時にはお池をさけるほど敬っている。

話 名 白蛇
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 二本松市
要 約 ある盲人が、小浜川に橋を掛けたいと水垢離をし、塩松慈現大明神に祈願をした。満願の日、神のお告げがあり、汝の死なんときこそ望みはかのうべし、といい1匹の白蛇が盲人の体を回り消えた。翌日、川に盲人が現れ、川の中に入った。浮かんできたので人々が駆け寄り引き上げたが着物だけであった。その着物を振ると一匹の盲目の白蛇が出てきて川向こうの土手へ這い上がり、人々を一瞥すると明神山へ消えた。盲人の息子が着物を受け取り、遺志を継ぎ10年後に架橋が実現した。渡橋式の日、盲目の白蛇が欄干を行き来していた。

話 名 大蛇
資 料 常民 26号
場 所 大沼郡金山町
要 約 鹿島神社の「お池」の水は、神社から流れてくるという。心掛けの悪い人が水を飲みに行くと、側の蛇柳という柳に大蛇がいるのが水に映って見えるという。

話 名 大蛇
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 伊達郡川俣町
要 約 昔この地に大蛇が住んでおり、人々を悩ませていた。ある時1人の僧が法力により大蛇を封じ込め塚を築いたという。これは薬師の霊感によるものだといわれ、西には首塚、東には尾塚があり、その間は200歩あまりだという。

話 名 大蛇
資 料 常民 26号
場 所 大沼郡金山町
要 約 沼沢湖に大蛇がいた。蘆名家の家来の佐原十郎義連が退治に行き、大蛇に呑まれたものの刀が刺さったか、兜につけた観音様の威光かで大蛇の腹が裂け、退治することができた。その時ついた地名がキリドオシに蛇ぬき。大蛇の頭か骨を祀ったのが沼御前神社。

話 名
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 相馬郡鹿島町
要 約 文政のころ、八沢村の阿弥陀寺に大変な数の蛇がいた。中には3メートルばかりのものもおり、子供が近づいても逃げない。寺の小僧がこのことを坊さんに話すと、坊さんは追い払わなくても蛇が好きなものをやればよいという。好きなものは何かと小僧が聞いたところ、坊さんは冗談に煙草のやにだといった。小僧が蛇に煙草のやにを食わせたら、蛇は苦しみどこかへ行った。小僧が寺に帰り掃除をしていると突然発狂したように苦しみ、蛇が腹を巻いているという。坊さんが阿弥陀に祈ると小僧の苦しむのが止んだ。そこで蛇のために卒塔婆を建てたのが八沢の蛇塚だという。

話 名 大蛇
資 料 常民 26号
場 所 大沼郡金山町
要 約 沼沢湖の大蛇は只見川から沼に上がった。そのときの大蛇の尻尾の跡が残っている岩がある。その大蛇の尻尾の跡には苔が生えている。

話 名
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 いわき市江名町
要 約 昔、1人の若者が沼のほとりで休んでいたら、1匹の蛇が現れ若者の歌を聞いているようだった。若者が鎌で蛇を切り殺したところ、蛇は2匹の大蛇になり若者に襲いかかった。鎌で切るほど蛇は増えたが、沼に蛇を投げ込むことができた。すると沼はたちまち大海のように荒れ始めた。家に帰った若者は、まもなく身体中に鱗のようなものができ死んだ。沼はその後田になったが、耕す人は皆身体に鱗のようなものができ死んでしまうので、耕す人もいなくなり、今は蛇塚として残っている。

話 名 大蛇
資 料 常民 26号
場 所 大沼郡金山町
要 約 魔がっ淵には大蛇がいた。

話 名 大蛇
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 川俣町
要 約 蛇塚という場所には昔大蛇が住んでいて人民を悩ましたので、僧都が塚に埋め封じたという。西に首塚、東に尾塚がある。農夫が水を通そうとこの塚付近を掘ったところ不思議のことがあったのでやめたという。

話 名 大蛇
資 料 民具マンスリー 34巻6号
場 所 郡山市湖南町
要 約 空海が大蛇を降伏させ、そこにお堂を建てた。

話 名 大蛇
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 福島市
要 約 黒岩村の岸に大蛇が住んでおり、人民を悩ましていた。景光天皇の御宇大蛇のことを奏聞したところ御帝様が33人の官女を連れたて御下向あり、村岸に官女軍勢御堅紫の旗を建て船を出し管弦を始めた頃にいさめにあって大蛇は波に浮かんだ。この時、日本武之尊が自ら射殺した。

話 名 (俗信)
資 料 磐城民俗 通巻32号
場 所 いわき市
要 約 いわき市草野の字絹谷にある諏訪神社には、蛇が描かれた小絵馬が奉納されている。蛇は蚕の天敵である鼠を退治してくれるので、蚕の安全を願ったものであろう。

話 名 蛇神
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 双葉郡
要 約 安永年中、自在院の住僧が禁戒を犯し、ある女と契りを結んだ。恋の敵の院主は深く恨み、蛇塚の神に呪詛をして女に災いがあらんことを祈った。女は懐妊したが、蛇の子を100匹あまり産んだという。

話 名 白狐,大蛇
資 料 磐城民俗 通巻33号
場 所 福島市
要 約 福島市鎌田の石森神社の北には古き穴に白狐が住み、社の左には白藤があり大蛇が住むという。

話 名 うわばみ
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 双葉郡
要 約 鷹の巣という淵は昔大沼で、うわばみが室原草掃き山より通ってきていたという。安永年中に自在院の僧が、その大蛇が水上に全身を現しているところを見たという。実に恐ろしい姿で、僧は即時に病気になり、100日あまり苦しんだという。

話 名 人身御供,大蛇
資 料 磐城民俗 通巻33号
場 所 いわき市
要 約 磐城地方では、12月1日はカワペリノツイタチである。この日は川辺に餅を供えたり、川中に投げ込んだりする。この由来には、この日朝早く白羽の立った家では沼の大蛇に娘を捧げなければならない。そこで、毎年娘の代わりに餅を沼に入れることにあるという。

話 名 長虫おくり,金神
資 料 福島県史 第23巻 民俗1
場 所 南会津郡檜枝岐村
要 約 1月14日にだんごをゆでた汁を家や板倉のまわりにまくことを、長虫をする、あるいは長虫おくりという。これは男の仕事で、「長虫くんな、金神ござれ」などと唱える。つつんぼすりといって、わらを打つ鎚をひきずって家のまわりを歩いたりする。長虫とはへびのことだという。

話 名
資 料 福島県史 第23巻 民俗1
場 所 南会津郡檜枝岐村
要 約 富士山の夢がもっともよく、2番目はたか、3番目はなす、4番目は葬式、5番目は雪隠の夢がよい。馬・あけびの夢も吉。かぐら・神もうで・火事・へびの夢は凶。魚の夢をみると天気が悪くなり、食べ物の夢をみると風邪をひく。

話 名 へびよけのまじない
資 料 福島県史 第23巻 民俗1
場 所 南会津郡檜枝岐村
要 約 女が山畑へ行くときは、頭髪の中に針をさしていく。へびには針が毒だという。

話 名 大へび
資 料 福島県史 第23巻 民俗1
場 所 相馬郡飯館村
要 約 縫い糸代わりのふじを採っていたら、竹の中で音がした。見ると大きなへびがこちらをねらっていた。驚いてかまを振り上げて2、30分にらみあいをしていたら、へびのほうで根負けして頭を下げて逃げていった。

話 名 大へび
資 料 福島県史 第23巻 民俗1
場 所 相馬郡飯館村
要 約 霊山の北の沢で水を飲もうとしたら、大へびがきた。二斗だるほどの太さであった。驚いて逃げ帰ったが、その人は数日で死んだ。

話 名 後産
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 岩瀬郡
要 約 後産は縁の下、あるいは荒神さまの下に埋める。そこを長虫(へび)が通ると子どもが長虫をこわがるようになるので、埋めた上には石を載せておく。

話 名 (俗信)
資 料 猪苗代湖南の民俗:福島県郡山市湖南町三代 通巻8号
場 所 郡山市湖南町
要 約 俗信。へびの夢をみるとお金が入る。馬の夢を見ると損が見えよくない。月のそばにチカボシ(近星)さまが出ると大事な人が死ぬ、など。

話 名
資 料 奥州東白川の民俗 通巻10号
場 所 東白川郡塙町
要 約 昔、川上一帯は湖で、主の竜が住んでいた。この竜に八幡太郎義家の家来の源八がのまれてしまったので、義家は弓張堂にある石に腰を下ろして、この竜を射殺した。その竜があばれて九つ山と羽黒山ができ、湖水が久慈川になって流れ、他の一帯は丘や平野ができた。

話 名 フカ
資 料 奥州東白川の民俗 通巻10号
場 所 東白川郡塙町
要 約 八幡太郎義家の家来の源八がフカに飲まれて死んでしまった。そこで義家はフカを退治した。その骨が西河内の竜沢寺にある。

話 名 かしゃ
資 料 福島県史 第23巻 民俗1
場 所 南会津郡檜枝岐村
要 約 葬式の行列には、必ずりゅうたつという木彫りの竜頭を5尺ほどの棒の先につけたものを加える。死体を山犬や、かしゃという魔物にうばわれるのを防ぐためである。

話 名 竜燈
資 料 福島県史 第23巻 民俗1
場 所 いわき市遠野町
要 約 往生山には毎年6月24日に竜燈があがるという。

話 名 竜女,竜宮姫
資 料 常民 15号
場 所 西白河郡表郷村
要 約 楢木淵の竜女が常在院の源翁和尚に説法を頼み、救われた。お礼に寺の殺生石の下に水を引いた。竜女がその後お産のときに温めて抱いた石も寺にある。

話 名
資 料 常民 15号
場 所 西白河郡表郷村
要 約 大雨が降り、社川から竜が昇ったり降りたりして暴れていた。通りかかった坊さまがお経を唱えてやると、コケラ(うろこ)3枚を残して昇天した。そのうろこを収めて作った不動明王が天竜山法泉寺の本尊。

話 名 竜宮
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 二本松市
要 約 川に鍬を落として、水底に探しに入ると、とうとう竜宮まできてしまった。そこでは美しいお姫様がひとりで機を織っていた。久しく待っていると、たいそうなもてなしを受けたが、家のことが心配になり、3日でいとまごいをして腰元に道まで送ってもらって村に帰ったら、5年もたっていた。それから記念のために機織り御前の社を建てたという。

話 名 竜燈
資 料 日本随筆大成第三期 8巻
場 所 いわき市
要 約 黄昏時に、海面から提灯ほどの灯りが出現した。火の色は赤いがぼんやりとしていた。出るときは必ず2つづつ並んで出るが、進むうちに、片方は消えたりもする。7つ8つ出現した。これを竜燈という。数はまちまちだが、出ない夜はないという。

話 名 トボ作
資 料 磐城民俗 通巻25号
場 所 会津若松市
要 約 湖水から流された鳥貝が竜宮城まで流され、出世する。偉くなると不潔な暮らしをするようになり、竜宮城から追い出される。不潔の貝は大波で打ち上げられ、舟宿港屋のじいさまに見つけられ、ちょうど庚申さまのまわり宿で料理される。その料理をトボ作が食べ、八千年の寿命を得て、貧乏ななりで日本中を回る。

話 名 淵の主,機織り姫
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 いわき市好間町
要 約 日照りのとき、淵の主に、雨を降らせてくれたら娘を1人やると祈ったところ、雨が降り、淵の主が現れ娘を連れて行った。後になり娘は行者の姿となり現れたり、竜宮の使いで機織り姫であるといったりしたとも言われている。

話 名 八百比丘尼
資 料 磐城民俗 通巻25号
場 所 猪苗代町
要 約 話者の先祖の家に現れ身の上話をする。もとは沼底の竜宮城に住む者でふけつの貝を食べ長生きしたと語った。話者宅では八百比丘尼を守護神とする。

話 名 竜灯
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 双葉郡浪江町
要 約 竜雲寺は以前、当村の西南にあったが今の地に移した。以前からこの寺では竜灯が揚っていたが、この地に移した後も相変わらず南角の大杉に竜灯が揚るという。

話 名
資 料 民具マンスリー 34巻6号
場 所 いわき市平区
要 約 専称寺の彫刻の竜が田畑を荒らしたので、目玉を抜いた。

話 名 女の龍神
資 料 旅と伝説 11巻3号/通巻123号
場 所 南会津の民俗
要 約 田代山の南にある岩窟に、昔、狩人が連れの者と入り、出てきたときには散髪になっていた。家に帰ってからも何も言わなかったが、死に際になって、岩穴に美しい女の龍神に遇ったことを語った。5、6人で探しに行ったが、中を覗き込むとそれだけで頭が痛くなった。

話 名 紫石
資 料 続日本随筆大成 6巻
場 所 白河市
要 約 寛政8年(1796)の春に、ある人が紫色の石を持ってきて、これは昔から龍の都の石として伝わってきたもので、触れると痘患を治すという。

話 名 龍の都
資 料 続日本随筆大成 6巻
場 所 白河市
要 約 寛政8年(1796)の春に、ある人が紫色の石を持ってきて、これは昔から龍の都の石として伝わってきたものという。

話 名
資 料 続日本随筆大成 6巻
場 所 白河市
要 約 寛政8年(1796)の春に、ある人が紫色の石を持ってきて、これは昔から龍の都の石として伝わってきたもので、触れると痘患を治すという。翌年それを買い取って硯にしたところ、擦った墨は漆のように密であり、水は数日たっても一向に減らないという。

話 名 鰻の油
資 料 続日本随筆大成 6巻
場 所 白河市
要 約 頭が禿げたときは、鰻からとった油を塗れば良い。

話 名 うなぎ
資 料 福島県史 24 民俗2
場 所 いわき市好間町
要 約 好間川下流、今新田に夏淵と言われるところがある。多くのうなぎが住んでいて、耳のあるうなぎもいたという。近くに寺があり、その住職は僧でありながら魚釣りを好み、ある時耳のある大うなぎを釣り、囲炉裏で焼いていると、焼かれたうなぎは尻尾で火をかき回し寺を焼いた。それが平市まで広がり、平市が全焼するような火事になった。これを平のうなぎ大火という。

話 名 田の祟り
資 料 東北民俗 通巻4号
場 所 小川町
要 約 田の真ん中に弁天様が祀ってあったものが、いつのまにか埋まってしまった弁天谷地という田は、祟りをおこすといわれていた。大正期学校で耕作したこともあったが、校長がポックリ死んでしまった。権兵衛という大工が作り始めたが、妻と子を亡くし、気味悪がって手放してしまった。ある人が草を刈ったら大きなうなぎがでてきたともいう。

福島県の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)

「怪異・妖怪伝承データベース」サイトへ

「怪異・妖怪伝承データベース」より抽出:

「日本の竜蛇譚」(地域一覧)