青森県の竜蛇

門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より

話 名 大蛇
資 料 旅と伝説 8巻8号通巻92号
場 所 弘前市
要 約 下川原には大蛇に座った八郎の人形笛がある。それは以下の伝説による。八郎は大蛇の化身であり、十和田湖の主であった。しかし霊夢のお告げにより、ここに禅杖をとどめた南祖坊の法力に敗れ、秋田に逃れて八郎潟の主になったという。

話 名
資 料 旅と伝説 9巻10号/通巻106号
場 所 上北郡 六ヶ所村
要 約 女が昼寝していると性器に蛇が入った。病院へ運ばれたが女は死んだ。そのような場合、昔は酒を3升飲ませて腰をもむと治るといった。また、蛇の入っている筋の尻のほうを鍋尻で叩くと蛇が2つに折れて下るといった。

話 名 大蛇
資 料 民間伝承 19巻2号
場 所 三戸市 五戸町
要 約 母子の家に美しい娘がきて嫁になり、子供ができる。ある日寝入った嫁が夫に蛇体の本性を見られてしまい、目の玉をオシャブリ代わりに置いて沼に去ってしまう。この玉が評判になり、殿様に取られてしまう。沼に行って相談すると、蛇がもう1つの目玉を与えてくれた。

話 名
資 料 民間伝承 19巻2号
場 所 三戸市 五戸町
要 約 和尚が蛇をかわいがっていた。ある夜、蛇が誤って和尚に噛み付いてしまう。傷が痛むので、薬はないかと聞くと、蛇はどこかへ行った。翌朝、土間に沢山の朝顔の蔓が置かれ、その脇で蛇が死んでいた。朝顔を煎じてつけると傷は快癒し、和尚は蛇に塚を建てて葬ってやった。

話 名 大蛇
資 料 民間伝承 19巻2号
場 所 三戸市 五戸町
要 約 ある娘が畑に行く途中で若い男に出会う。「待ってる」というので帰りによると大蛇がとぐろを巻いていた。家に逃げ帰り長持ちに隠れると、大蛇が追いかけてきて長持ちの上に載った。そこへ娘に飼われている大蟹が出てきて、大蛇をずたずたに鋏み切ってしまった。

話 名 大蛇
資 料 民間伝承 19巻2号
場 所 三戸市 五戸町
要 約 大蛇が長者の田に水を入れ、代わりに3人姉妹の末娘を嫁にもらう。末娘は栓をして針を刺した千成瓢箪を沼に投げ、水に沈めるよう言う。大蛇は沈めようとして針に刺され死んでしまう。その後、娘は長者の長男に見初められて結婚し、安楽に暮らす。

話 名 三途橋
資 料 あしなか 通巻55号
場 所 青森県
要 約 昔、悪業を積んだ三人が三途橋にさしかかると橋は糸のように細く見え、そばの枝垂れ柳は蛇のように見え、後方の巨岩の鬼石は蛇の眼のごとく輝き、橋下の水は罪を責めるごとく鳴り響いて渡れなかったという。

話 名 蛇聟入
資 料 四国民俗 通巻4号
場 所 青森県
要 約 青森県三戸郡五戸町における蛇聟入の昔話のモチーフ構成について。蛇は田に水を入れた見返りとして長者に娘を嫁にくれるよう要求するが、嫁入り道具の瓢(ふくべ)と一緒に持たせた針が河童に刺さって死に、娘は嫁に行かずにすむ。

話 名 龍,大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和37年度号
場 所 下北郡 東通村
要 約 幕末の頃、京都から三光院という別当(行者)が来た。妹沼に来たとき、別当が「いいものを見せてやる」といって唱え事をして、きれいなお姫様になり、竜(大蛇)になり、またもとの姿に戻った。

話 名 大蛇
資 料 常民 17号
場 所 三戸郡 南郷村
要 約 新井田川に大水が出て、川畑淵の大蛇が近くの家の床下に隠れた。数日後、その家に雷が落ちて全焼し、焼け跡から大蛇の骨が出た。

話 名 大蛇
資 料 常民 17号
場 所 三戸郡 南郷村
要 約 門前の小平治カマドという家には、川の向かいの水神様の大蛇が毎晩泊まりに来ていた。ある日、その家に雷が落ちて全焼し、大蛇は焼け死んだ。

話 名 大蛇
資 料 常民 17号
場 所 三戸郡 南郷村
要 約 蛇淵の大蛇が新山大権現の大福別当を飲もうとした。別当は一生に一度しか唱えられない唱え言をして、大蛇の首を落とした。帰宅すると大蛇の首が熊野の森にいて、「3年と世に置かない」と言った。大福別当は三年経たないうちに死んでしまった。

話 名 神様
資 料 常民 17号
場 所 三戸郡 南郷村
要 約 かげが淵は、昔、かげの馬に乗って蛇のたすきをかけた女が飛び込んだところ。淵の近くに立つと水面に神様の影がうつるという。

話 名 八郎太郎
資 料 常民 17号
場 所 三戸郡 南郷村
要 約 八郎太郎は父と弟と山に薪取りに行き、一人でヤマメ3匹を食べて蛇身になった。辺りを沼にしようとしたが48社の神々に追い出され、八戸の八太郎沼に行き、十和田湖に行った。十和田湖に棲んでいたが南租の坊という坊さんに負けて血を流して逃げ、八郎潟の主となった。

話 名 八郎太郎
資 料 常民 17号
場 所 三戸郡 南郷村
要 約 八郎太郎は友達2人と山にマダの木の皮剥ぎに行き、一人でヤマメ3匹を食べて蛇身になり、川に入った。辺りを沼にしようとしたが48社の神々に追い出され、十和田湖に棲んだ。十和田湖で南租坊という和尚に負けて逃げ、八郎潟の主となった。

話 名 大蛇
資 料 常民 17号
場 所 三戸郡 南郷村
要 約 ある青年がイワナを沢山食べて蛇身になった。島守盆地を沼にしようとしたが48社の神々に追い出され、血を流して逃げた。それがアカフジヌマの赤い岩である。大蛇になった青年は十和田湖に行った。

話 名 大蛇
資 料 常民 17号
場 所 三戸郡 南郷村
要 約 茅の箸でご飯を食べてはいけない。出羽三山では絶対にしない。弘法大師が高野山に登ったとき、茅の箸で昼飯を食べてから登った。帰り道で大蛇に遭った。呪文を唱えたら大蛇は消え、茅の箸になった。箸の間の飯一粒が大蛇になっていた。

話 名 神様,大蛇
資 料 常民 17号
場 所 三戸郡 南郷村
要 約 ある人が神様を馬鹿にしていた。あるときワラビトリに行ったら、樽のような大蛇に息を吹きかけられて具合が悪くなり、家に帰って死んだ。触らぬ神に祟りなしで、余計な事は言わないほうがいい。

話 名 稲荷,竜神,大麻,エビス,大黒,海神
資 料 国立民族学博物館研究報告別冊 3号
場 所 三沢市
要 約 家の神棚に、稲荷、竜神、伊勢神宮の大麻、エビス・大黒を小祠箱を設け、吊り棚に並置する。特に竜神は「竜神様」と敬われ、海南を免れるようにと代々祀ってきたという。船霊信仰はなく、竜神信仰が顕著で、舳にはいつも竜神様がいる気持ちだといい、小用などは絶対にしない。船上では蛇の話を忌む。また、産婦を持つ夫は、2週間は船に乗らない。

話 名 蛇,河童
資 料 昔話「研究と資料」 通巻28号
場 所 青森県
要 約 「蛇の敷き金、河童のもちまえ」「蛇のあと、河童のもちまえ」などということわざがある。蛇のいるところには金があるという俗信もある。

話 名 大蛇,龍,河童
資 料 昔話「研究と資料」 通巻28号
場 所 西津軽郡 木造町
要 約 木こりが山奥で休んでいると、山の大蛇が、「昇り龍になるためにじゃまな桂の大木を切れば宝物をみんなやる」と言ったので、15日かかって木を切った。木こりが大蛇のいたところへ言ってみると、河童が宝物を持っていこうとしていたが、大蛇の書きつけを見せると納得した。家に帰ると、木こりの21回忌をしていた。「蛇のあと、河童の持ち前」という。

話 名 明神様
資 料 青森県史 民俗編
場 所 三戸郡 新郷村
要 約 横田家では、屋敷にあるカツラの大木の根元に明神様を祀っており、その祠の中に神体として瀬戸物のとぐろを巻いた白蛇を納めている。遠い親戚に当たる人がモノシリ(民間宗教者)に言われて祀り始めたものだが、近年も見知らぬ人がモノシリに言われたといって拝みにきたという。

話 名 龍神様,蛇,家の神,宅地の神
資 料 青森県史 民俗編
場 所 三戸郡 階上町
要 約 蛇沼家では、屋敷地に蛇が現れてから家の者が度々蛇の夢を見る為、ベットウに見てもらったところ、それが龍神様だと分かったので祀ることとした。また、小松家では、家に病気になる者や若死にする者が出た為、ベットウに見てもらったところ、家の神を祀れと言われ、祠を建てた。

話 名 マトリ(魔とり)
資 料 青森県史 民俗編
場 所 青森県
要 約 豆類の莢を取る為の二股になっている自然の木の枝を道具としたものだが、それによって叩かれた雑穀は蛇や鼠などの害を逃れる為、その名がついた。神聖なものであるから、土間に無造作に置いたりすると馬や牛が病んだりしてしまう為、納屋や台所の清浄な場所へ丁寧にかけて収めておく。

話 名 ホドロ沼の主,大蛇
資 料 青森県史 民俗編
場 所 三戸郡 階上町
要 約 ホドロ沼の主は非常に大きな大蛇であったが、これが村の人々によって退治された際の様子が今の階上における各地名の起こりになったと言われている。他にも、ホドロ沼の主と関連のある地名が多い。

話 名 ホドロ沼の主,大蛇
資 料 青森県史 民俗編
場 所 三戸郡 階上町
要 約 昔、とてもかわいい娘が嫁にもらわれていった先から戻ってきてしまったところ、両親に叱られてホドロ沼に身投げしてしまった。しかし実際は、沼の主である大蛇に捕らわれてしまったのであった。それを知った親は、法の修行をし、大蛇を退治した。このときの様子に因んで各小字名がつけられた。

話 名 白座,白蛇,大蛇の祟り
資 料 青森県史 民俗編
場 所 青森県
要 約 唐松天神堂という小さな祠の境内に現れる大蛇を退治したところ、その祟りで蔦林家は途絶えてしまった。

話 名 蛇の嫁,三種の宝物
資 料 青森県史 民俗編
場 所 青森県
要 約 昔、あるところの百姓が、自分の娘を嫁にやると蛇に約束した。嫁に行くことになった末娘は三種の宝物のお蔭で助かり、長者の嫁となった。

話 名 ハト
資 料 青森県史 民俗編
場 所 青森県
要 約 昔、1匹のハトをかわいがっていた人がそれを懐に入れて山へ出掛けた。途中、咽喉が渇いて沢の水を飲もうとしたところ、懐からハトが出てきて水を濁して止めなかった。恩知らずと思って殺してしまったが、ふと川上を見やると、腐乱した大蛇の死体が流れに浮いていた。ハトが悪い水を主人に飲ませまいとしたのだとしたのだときづいた主人は、ハトを丁重に祀った。

話 名 ヲロチ,八頭の蛇
資 料 青森県史 民俗編
場 所 上北郡 十和田湖町
要 約 難蔵という法師が常陸国と出羽国に間にある湖に至った際、自ら九頭の蛇へと姿を変えて、湖に住む八頭の蛇と戦った。八頭の蛇は傷を負い、齶田の湖に退いたと伝えられている。

話 名 ヲロチ,八頭の蛇
資 料 青森県史 民俗編
場 所 上北郡 十和田湖町
要 約 難蔵という法師が常陸国と出羽国に間にある湖に至ると、見目良い姫が現れた。法師が怪しんでいると、姫は自らそのをろちとしての正体を明かし、自分を長い間妾としているその湖の八頭の蛇を追い払って欲しいと頼んだ。

話 名 ヲロチ,八頭の蛇
資 料 青森県史 民俗編
場 所 上北郡 十和田湖町
要 約 法師は姫の願いを聞き入れ、自ら九頭のをろちとなって八頭の蛇と戦い、これを退けた。

話 名
資 料 民間伝承 19巻2号
場 所 三戸市 五戸町
要 約 老夫婦が願を掛け、一寸太郎を授かる。「竜王になるので船をくれ」というので椀の蓋に針を添え、川に流した。漁師に拾われた後、長者の依頼で鬼退治をする。両目をつぶして鬼退治を果たし、沢山の褒美を爺婆のところに持ち帰り、一生安楽に暮らした。

話 名 神,夢,イタコ
資 料 常民 34号
場 所 西津軽郡 車力村
要 約 イタコの話者(1929年生)は、6,7歳の頃から夢で神様にいろいろ教えてもらった。真っ白い十二単のような衣裳で髪が膝よりも長い女の人が馬で迎えに来て、竜宮や四国の金毘羅様のような所に連れて行ってくれて、拝み方を教えてくれた。

話 名 雲竜
資 料 民具マンスリー 34巻6号
場 所 弘前市
要 約 革秀寺の、狩野法眼が描いた絵の雲竜が池の水を飲んだので、釘で打ちつけた。

話 名 蒼前神社
資 料 青森県史 民俗編
場 所 三戸郡 階上町
要 約 階上に馬の守護神として祀られている蒼前神社にまつわる伝説に、「藤原有家卿物語」というものがある。源平合戦の昔、壇ノ浦の戦いに敗れた平家の大将・藤原有家卿は、名馬「白馬龍」に跨ったまま海に飛び込み、岩手県種市町の有家に辿り着いた。そこで観音様を拝んだところ、西の方へ行くようにとのお告げがあり、それに従って旅立った。だが、妙野(今の蒼前平)まで来たところで馬がとうとう倒れてしまった。藤原卿は悲しみ、愛馬を手厚く葬り、槻の木を植えた。その後、村人達がそこにお堂を建て、蒼前神社として祀った。

青森県の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)

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