秋田県の竜蛇

門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より

話 名 大蛇
資 料 郷土趣味 通巻17号
場 所 秋田県
要 約 八郎潟は以前は山林であった。樵夫の八郎が魚を3尾つかまえた。仲間とわけて食おうと焼き始めたが、つい3尾とも食ってしまった。すると八郎は咽喉が渇き、澤の水を飲み始めた。八郎は仲間に早く帰れと告げると巨大な大蛇になり潟を作って主となった。

話 名 蛇体,辰子
資 料 旅と伝説 2号
場 所 仙北郡
要 約 永遠の美しさを求める少女が、神に言われた岩清水の場所を探していた。途中の川で奇妙な魚を見つけ、おいしいので全て食べると、喉が異常に渇いた。見つけた岩清水の水を飲んでいると、身体がむくみはじめて蛇体となった。同時に大きな湖水が現れ、蛇体となった少女はその中に入って主となった。

話 名 蛇体,娘
資 料 旅と伝説 2号
場 所 仙北郡
要 約 永遠の美しさを得るため岩清水の水を飲んだ少女は蛇体となり、湖の主となった。悲しんだ母が湖に行くと蛇体となった娘が現われ、毎日魚を届けると言い残して波の中に消えた。母は怖くなって逃げ帰った。

話 名 蛇体,娘,松火,魚
資 料 旅と伝説 2号
場 所 仙北郡
要 約 岩清水の水を飲んだ少女は蛇体となり、湖の主となった。母が湖に行くと蛇体となった娘が現われ、毎日魚を届けると言い残して波の中に消えた。母が娘を探す時に持っていた松火は魚となり、家の水槽にはいつも魚がたくさん入っていた。

話 名 婆々淵の主,大蛇
資 料 旅と伝説 12巻7号/通巻139号
場 所 平鹿郡浅舞町
要 約 草刈鎌で探し物をしていたとき、大蛇を傷つけてしまった。家に逃げ帰ったが恨みで死んでしまった。同じころ、湯治場で老女が大傷を養生していたが、見かけないものであったので、婆々淵の主であろうと噂された。

話 名 蛇体,八太郎,岩魚
資 料 旅と伝説 2号
場 所 鹿角郡
要 約 八太郎という樵夫が、食事のために岩魚を釣った。焼いて食べるとあまりにおいしいので、全て食べてしまった。すると喉が異常に渇き、川の水を浴びるほど飲んだ。八太郎の姿は蛇体となり、周辺も震動して湖水が現われた。これが十和田湖で、蛇体となった八太郎はその主となった。

話 名 雨乞ひ
資 料 旅と伝説 12巻7号/通巻139号
場 所 平鹿郡浅舞町
要 約 胴回り1尺5寸、長さ2間ほどのワラの蛇体をつくり、尾を淵に、頭を陸に向けて雨乞いの祭りをすると雨が降る。

話 名 八郎
資 料 旅と伝説 4巻9号通巻45号
場 所 南秋田郡
要 約 八郎湖の主の八郎は田潟湖の主が田子(タツコ)に会いに行く途中、必ず茶町の吉川という家に泊っていた。八郎はいつも人の知らないうちに発ったが、その際必ず小判を置いていった。八郎の寝姿は見てはいけないといわれていたが、家人はこれを覗いて大蛇の姿を見てしまった。それから八郎はこなくなり、吉川家はだんだんと廃れていった。

話 名 嫁コ淵,蛇体
資 料 旅と伝説 12巻7号/通巻139号
場 所 平鹿郡浅舞町
要 約 ある嫁の一行が淵の近くを通ったとき、大嵐が起こって嫁が淵に引きずり込まれた。親が娘を捜すと、水底に半ば蛇体となった娘がいて、主の妻になったといい、夫に見つからぬうちに父を帰した。

話 名 岩魚,蛇
資 料 旅と伝説 8巻7号通巻91号
場 所 秋田県
要 約 昔柴内という村の八郎というマタギが、仲間と共に奥瀬山に入った時、雪溶け水に泳ぐ岩魚を救って食べた。するとあんまり喉が渇き、持っていたワッパで飲んでも間に合わず、腹ばいして鯨飲しているうちにその身が蛇身と化し、遂に十和田湖へ飛び込んで主となったという。

話 名 大蛇
資 料 旅と伝説 12巻8号/通巻140号
場 所 平鹿郡浅舞町
要 約 男が水門の近くで1升樽くらいの木の根のような黒い物体を見つけるが、振り返るとそれがなくなっており、大蛇であったと気付いた。

話 名 大蛇
資 料 旅と伝説 8巻10号通巻94号
場 所 男鹿市
要 約 男鹿半島の寒風山に蛇越し長根という所があり、ここは八郎湖の主の大蛇が雲に載って越したところとされている。

話 名 大蛇
資 料 旅と伝説 12巻10号/通巻142号
場 所 平鹿郡浅舞町
要 約 10年ばかり前の秋の稲刈り時、土手の柳株の陰に大蛇を見つけた。他の人が見に行ったときにはもうおらず、見た人は10日ばかり寝込んだ。ガバデロ淵の主が里に個を海に来たのだといわれた。

話 名 蛇神,八郎,女神
資 料 旅と伝説 8巻10号通巻94号
場 所 男鹿市
要 約 蛇神の八郎は八郎潟を自分の領土としたが、冬に湖面が凍るので、凍らない住処を探したところ、一の目潟を選んだ。しかし一の目潟の主は女神で、八郎が来るのをいやがり、竹内神官真康に助力を頼んだ。そして寒風山の蛇越し長根を黒雲に載って越えてきた八郎に矢を撃ったら命中し、八郎は命を落とす。しかしその時八郎は代々の目に祟ると言って返した矢が女神の目にあたり失明、七代片目が続いた。

話 名 蛙,蛇,老婆
資 料 旅と伝説 14巻5号/通巻161号
場 所 秋田県
要 約 百姓が蛇に食われかけた蛙を「娘を嫁にやるから」といって助けた。蛇は人間の男に化けて待っていたが、娘が千本の針でこれを殺した。その後、娘は山道で迷い、山小屋に住む老婆に助けられた。最後に娘は、長者の息子に一目ぼれされて、嫁となった。老婆の正体は百姓が助けた蛙だった。

話 名 大蛇
資 料 旅と伝説 16巻6号/通巻162号
場 所 秋田県
要 約 松林の休み場でオバコが男と仲良くなった。その後、オバコの櫛をくわえて眠っている大蛇が発見され、オバコが男に化けた大蛇に呑まれたことが判明した。

話 名 蛇婿
資 料 旅と伝説 14巻6号/通巻162号
場 所 秋田県
要 約 蛇との約束に従い、蛇を娘の婿にすることを承知すると、蛇は男になってやってきた。その後、旦那の病気を治すために男は鷲の卵をとりに行くが、戦いに敗れ、蛇の姿に戻って木から叩き落された。

話 名
資 料 旅と伝説 14巻6号/通巻162号
場 所 秋田県
要 約 怠け者の男が蛇を傷つけた。蛇は復讐しに来たが、釜で煮られて死んだ。その後、蛇の祟りで家は没落した。

話 名 卵売り婆,大蛇
資 料 旅と伝説 14巻6号/通巻162号
場 所 秋田県
要 約 長者の家のキカン坊が卵売りの婆に乱暴した。婆の捨て台詞通り、娘が大蛇にさらわれたが、長者の機転で大蛇は煮殺された。

話 名 大声
資 料 日本民俗学 3巻1号
場 所 秋田県
要 約 爺が山で木を伐っていると「だんだー木を伐るのは」という声が聞え、爺が「ニシイサラサラトンピンパラリのプー」と屁をやるとお礼に軽いつづらをもらい、金や宝物が入っていた。隣のスクスクバンバが真似をして重いつづらをもらったが、あけるとビッキ、イモリ、蛇などばかりが出てきた。

話 名 エセコ,蛇
資 料 近畿民俗 通巻27号
場 所 秋田県
要 約 エセコが家の裏の井戸で顔を洗ったり洗濯をしたりしていたら、いつの間にか蛇体になり、大暴風雨の時に身を隠した。そして一夜のうちに大きな沼ができ、そこの主になった。これをエセコ沼という。

話 名 蛇,藁乳権現
資 料 民間伝承 11巻6,7合併号通巻112,113号
場 所 雄勝郡
要 約 藁のニウの下にシズ(清泉)があり、昔、この水を汲んで生計を立てていた老人がいた。この老人がシズを拝んでいたので、他の人も拝むようになった。このシズの中には蛇がいて、あるとき、「一族が増えてシズに住みきれなくなったからシズの上にワラニウを積んでくれ。そこに住みたいから」と言った。それからニウを積むようになったのだという。

話 名 大蛇
資 料 西郊民俗 通巻26号
場 所 由利郡大内村
要 約 神社にあった太い山芋のつるを掘り出したら大蛇に変じ村人を食べる。悪食喜平が河童を捕まえて居場所を聞き、淵に潜って大蛇を殺し、死骸を荷造りして殿様に献上した。荷造りした坂が「荷坂」で、大蛇を切った血が土に染みて今でも赤い。

話 名 八郎太郎,大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和33年度号
場 所 仙北郡西仙北町
要 約 大同2年の頃、男鹿の八郎太郎が田沢湖に通い、いつも鳥井野のある家に泊まっていた。寝姿を見ないでくれと言うのを覗くと、大蛇だった。八郎太郎はその家によく効く目薬を授けて、二度と来なかった。

話 名 大蛇
資 料 常民 4号
場 所 仙北郡角館町
要 約 祖父が沼には大蛇がいて、美男に化けて山伏の妻に通った。山伏の妻は妊娠して、蛇を10匹位生んだ。

話 名 蛇,ジャ
資 料 民俗採訪 通巻昭和33年度号
場 所 仙北郡西仙北町
要 約 山芋掘りに行った人が山で蛇を3匹殺した。夕方、家が揺さぶられたので、お婆さんが着物の袖からお日様を透かして覗くと、蛇の形が見え、それが家を取り巻いていた。殺した人が死んだので隣家に知らせに行くと、そこにも李の木から大きな蛇が下がっていた。託宣すると「1000匹子を産めばジャになって天に昇れるのに、3匹も殺されてしまったので憎い。親類全部殺してやる」と言うので、毎年7月24日に龍神を祭ると謝った。

話 名 有衛門田
資 料 季刊どるめん 通巻5号
場 所 山本郡八森町
要 約 有衛門田の説明。この田は蛇が多くずっと廃田のまま。あるとき某がこの付近で馬草刈りをしていると、何百もの蛇が某の昼食を食べているので昼食の鍋ごと火をつけた。同じ頃海上では馬草を積んだ船が大竜巻にみまわれ、積み荷は没し船人も九死に一生を得た。

話 名 八郎,(大蛇)
資 料 民俗採訪 通巻昭和33年度号
場 所 仙北郡西仙北町
要 約 八郎潟の八郎が田沢湖の辰子姫に通い、いつも小杉沢の長ヱ門家に泊まっていた。寝姿を見ないでくれと言うのを覗くと、大蛇だった。八郎はその家によく効く目薬を授けて、二度と来なかった。

話 名 大蛇
資 料 常民 13号
場 所 北秋田郡比内村
要 約 藤が森の龍太郎という大蛇が、三岳神社の観音様に挑んで負けた。ちぎれた尾がかかっていたのが蛇沢。

話 名 七不思議
資 料 常民 13号
場 所 北秋田郡比内村
要 約 藤が森の龍太郎という大蛇が、三岳神社の観音様に挑んで藤の木のなめくじに触って負けた。それ以来お宮には藤の木が何本もあり、奥にはない。中野村の七不思議のひとつ。

話 名 沼の主,大蛇
資 料 秋田民俗 通巻3号
場 所 鷹巣町
要 約 堂ヶ岱堤には沼の主、即ち大蛇がいた。村人が供物を捧げないので大蛇は沼の土堤を壊した。古老の話では、沼には赤と黒の主がいて八巻山方面で遊び、月夜の晩には巨体を沼に浸して戯れることもあったという。

話 名 (俗信)
資 料 雄勝役内の民俗 通巻17号
場 所 湯沢市雄勝町
要 約 死んだ蛇を見たときには、唾を吐きかけると祟られない。などの俗信。

話 名 大蛇
資 料 雄勝役内の民俗 通巻17号
場 所 湯沢市雄勝町
要 約 山にブンブラヤジという沼があり、そこで体を揺すると山が揺れて見える。地面の下に大蛇がいて、その上に木が植わっているからだという。

話 名 阿白蛇
資 料 雄勝役内の民俗 通巻17号
場 所 湯沢市雄勝町
要 約 阿白沢にはアシロという名の大蛇がいたので、アジロジャ(阿白沢)という地名になったという。

話 名
資 料 日本民俗学 通巻145号
場 所 秋田市
要 約 炭焼渡世の男がある夕方家に帰ると美しい女が待っていた。二人は契りを結び子供も出来たがある日妻がいなくなった。妻の正体は播磨の鏡ケ池の蛇で、印の品として子供に目玉を残した。

話 名
資 料 雄勝役内の民俗 通巻17号
場 所 湯沢市雄勝町
要 約 大水害のときに、阿白沢から大蛇がトグロを巻いて流れて来たという。

話 名 大蛇
資 料 秋田民俗 通巻9号
場 所 北秋田郡阿仁町
要 約 村の鎮守である神明社には昔杉の大木があり、江戸の落雷で焼けた。かつて大杉の根元には大きな空洞があって大蛇が入っていたという。落雷の時大蛇の断末魔の声がし、焼け跡には大蛇の骨が沢山あったという。

話 名 阿白蛇
資 料 雄勝役内の民俗 通巻17号
場 所 湯沢市雄勝町
要 約 大水害のときに、阿白沢から白髪の老人が流れて来て、村人が助けようとしたら「危ないから近付くな」と言ったという。阿白沢の主の阿白蛇だったという。

話 名 大蛇
資 料 秋田民俗 通巻9号
場 所 北秋田郡鷹巣町
要 約 江戸時代、ある老人が山中の峠で一休みしていると笛のような音がした。見回すとブナの古木の洞に大蛇が寝ていた。

話 名 双頭の蛇
資 料 秋田東成瀬の民俗―秋田県雄勝郡東成瀬村―
場 所 雄勝郡東成瀬村
要 約 山に柴を刈りに行ったら、滝の沢というところで馬が動かなくなった。頭が二つで尾のない蛇が潜んでいるのが馬には見えたのだった。村の若者が火をつけて蛇を焼いてしまったが、最初に火をつけた人は病気になって死んでしまった。蛇の怒りと言うことで、そこに神社を建てた。

話 名 大蛇,光りもの
資 料 秋田民俗 通巻9号
場 所 山本郡山本町
要 約 江戸時代、ある百姓が田を見に行ったところ大蛇がいたので殺して川に捨てた。以来川から光り物が現れ百章を悩ました。祠を建て大蛇を祀るとそれは止んだ。

話 名 タッコ姫,八郎,蛇
資 料 上小阿仁の民俗―秋田県北秋田郡上小阿仁村―
場 所 北秋田郡上小阿仁村
要 約 タッコ姫と言う美しい女がいたが、山に行ってのどが渇き、なにもかも打ち捨てて蛇になり、八郎潟の八郎と夫婦になって田沢湖に棲んだ。今でも田沢湖と八郎潟の行き来は続いている。

話 名 大蛇
資 料 秋田民俗 通巻9号
場 所 秋田県
要 約 手長足長という毒蛇が人を取って食うので神様が哀れに思い、一羽の鳥を出して監視させた。蛇がいると「うやうや」、いないと「むやむや」と鳴くので関の名前になった。

話 名 辰子,蛇
資 料 上小阿仁の民俗―秋田県北秋田郡上小阿仁村―
場 所 北秋田郡上小阿仁村
要 約 辰子と言う美しい女がいたが、山に行って魚を食べて咽喉が渇き、水を飲でもかきつづけ、やがて蛇となった。そのとき、迎えに行った母親が驚いて、魚を焼いていた串を投げたのがクジマスとなった。

話 名 大蛇
資 料 秋田の民俗 通巻9号
場 所 秋田市
要 約 昭和56年6月19日の昼、ゴルフ場に一升瓶ほどの太さの大蛇が現れキャディーやプレイヤーの6人に目撃された。

話 名 八郎太郎,蛇
資 料 上小阿仁の民俗―秋田県北秋田郡上小阿仁村―
場 所 北秋田郡上小阿仁村
要 約 昔、八郎太郎という蛇が七倉神社から倉を降ろして上小阿仁の沼をせき止めて潟にし、棲もうとした。天神様が住むところがなくなっては困ると思って、ネズミを使って倉に穴をあけて堰を壊した。八郎太郎は棲めなくなったので、男鹿に湖を作って暮らしたと言う。

話 名 沼の主,鯉,蛇
資 料 伝承文芸 通巻17号
場 所 平鹿郡山内村
要 約 黒沼の主は鯉。水をすべて流してしまうと、みな蛇になった。

話 名 田代潟の神様
資 料 民俗採訪 ―巻-号通巻昭和43年度号
場 所 山本郡二ツ井町
要 約 1938年前後のある秋の日のこと。大館の人が田代潟の神様にお詫びにきたのを、話者が案内した。潟に沈んでいるネキ(埋れ木)を引揚げようとしたら、大雨になって堤が切れ、命からがら逃げた。その翌日には潜水夫がぽっくり死に、他にも不幸が重なった。北海道のゴショサンに聞いたら、潟の神様が怒っているのというので謝りに来たのだった。山に入ると60cmくらいのヤマカガシに遭ったので、ゴショサンが謝ると蛇は帰っていった。潟の神社で神に謝ると、澄んでいた湖面が激しく波打ち、またおさまった。ゴショサンは鳥居につかまってジョンガラ節を踊った。大館の人は病も癒え、生き長らえたという。

話 名 黒沼の主,蛇
資 料 伝承文芸 通巻17号
場 所 平鹿郡山内村
要 約 黒沼の主は小さい蛇だった。

話 名 鬼,蛇
資 料 民俗採訪 ―巻-号通巻昭和43年度号
場 所 山本郡二ツ井町
要 約 10月10日にはショウズゴトと言って、笹を取って来て野バラに餡餅を1つつけて戸口や窓に挿す。ショウズゴト餅という。神様が出雲に行っている留守の間、鬼や蛇から護る魔除けだという。

話 名
資 料 伝承文芸 通巻17号
場 所 平鹿郡山内村
要 約 小僧が黒沼へ行って鯉をとろうと水を流したら、水が蛇に変わった。

話 名 八郎,八郎潟の主,蛇
資 料 民俗採訪 ―巻-号通巻昭和43年度号
場 所 山本郡二ツ井町
要 約 村長をしていた吉岡さんが川で馬を洗っていると、八郎潟の主の八郎が尻尾につかまって上って来て、今晩泊めてくれと言った。覗かないでくれといったが、つい覗いてしまうと、蛇の姿になって角を振り上げてグウグウ寝ていた。翌朝、「見たな」と言って出て行ったという。

話 名 白髪の老人,大蛇
資 料 日本常民文化紀要 16号
場 所 秋田県
要 約 雄物川は、数百年前に川上から白髪の老人、或いは大蛇が波に乗って降りてきたことから白髪水と呼ばれるようになった。

話 名 カッパ,カワヘビ
資 料 民俗採訪 ―巻-号通巻昭和43年度号
場 所 山本郡二ツ井町
要 約 溺死者を「カワヘビにやられた」「カッパにとられた」という。尻に穴があいていれば、そこからカワヘビが腹に入ったのだという。

話 名
資 料 旅と伝説 7巻12号/通巻84号
場 所 秋田県
要 約 昔、兄弟が淵の底から朱を取って暮らしていた。弟は朱を独り占めしようとして、一計を案じ、兄が淵にいけないようにした。その後、弟が朱を取りに行くと、弟が作って置いた竜が生きていて、弟を飲み込んでしまった。

話 名 竜神の祟り
資 料 羽後檜木内川流域の民俗
場 所 仙北市西木町
要 約 竜神は現在は堀之内西の斉藤謙治氏の内神だが、以前はそこに住んでいた人の内神であった。長年まつっていなかったがその土地に借家を建てて貸したところその家で病人が絶えず、内神をまつってくれと頼まれたので最近新しくまつった。

話 名 竜神様
資 料 羽後檜木内川流域の民俗
場 所 仙北市西木町
要 約 現在堀之内に住んでいる田口イシノ氏は石を占いの道具にしているのでイシガミサマともいう。角館にはイシノ氏の姉のカミサマがいる。この人は氏族の出身で金持ちであったが、ある時、戦車が通ったあとのように、自分の家のしょうが畑が踏み倒されていたことがあった。これは竜神様が隣の家に移ってしまった跡だったので、そのときから家が落ちぶれてしまった。

話 名 竜神様
資 料 民俗採訪 ―巻-号通巻昭和43年度号
場 所 山本郡二ツ井町
要 約 田代潟の竜神様のお祭りは旧暦で毎月19日。特に3月には阿仁や青森からも潟参りに来る。火の悪い人が潟参りにいけないので代参を頼んだが、その人が潟に賽銭をいくら投げ込んでも、戻ってきてしまったという。森岳の人は田代潟に馬の骨を投げ込んで竜神を怒らせ、雨乞いをする。田代潟の竜神様は森岳の人が潟の水を飲みすぎて神になったといい、森岳の人が来れば必ず雨が降るという。

話 名 辰子,八郎,竜
資 料 上小阿仁の民俗―秋田県北秋田郡上小阿仁村―
場 所 北秋田郡上小阿仁村
要 約 辰子と言う美しい女がいたが、山に行って魚を食べて咽喉が渇き、川の水を飲み干して竜になった。そのままその川に棲むことにして川を深くしたので、川が田沢湖になった。後に八郎潟の八郎と夫婦になって、八郎が八郎潟から田沢湖に越してきたので、八郎潟は浅くなった。

話 名 竜神
資 料 民俗採訪 ―巻-号通巻昭和43年度号
場 所 山本郡二ツ井町
要 約 小掛集落と刈又石集落の間の滝はお不動様の滝といい、お堂がある。お不動様のお使いは竜神で、お籠りをしていると見にくるという。1951年前後のこと、堂の近くの杉の木に竜神が現れたことがあったが、小さいものだったという。

話 名 竜神
資 料 伝承文芸 通巻17号
場 所 平鹿郡山内村
要 約 黒沼の竜神は馬に乗って黒沼の真ん中へ立っていたというが、そのようなものを見た人は死んだ。

話 名 八郎龍神
資 料 旅と伝説 2号
場 所 南秋田・山本郡
要 約 八郎という樵夫が3匹の魚を釣り上げて全て食べた。すると喉が渇くので水を大量に飲むと、身体が龍体となってしまい、湖の主となった。これが八郎龍神である。

話 名 龍神
資 料 旅と伝説 4巻9号通巻45号
場 所 南秋田郡
要 約 男鹿半島の一ノ目潟の主は女の龍神である。八郎潟の主の八郎はこの龍神に思いを寄せており会いに行こうとしたが、龍神は八郎が嫌いだったので神主に命じて弓で射て追い返すように命じた。この矢が八郎の右目にあたった。神主がその褒美に貰った田地は高い丘にあったが、不思議なことに海の水が上がってきで米がよく取れたという。

話 名 岩魚,龍
資 料 旅と伝説 8巻7号通巻91号
場 所 秋田県
要 約 仙北院内部落の常光坊という山伏の娘の、金鶴子という美女が、輩とともに青物採りに行った。昼飯の準備中に岩魚を採って食べているうちに喉が焼けるように渇き、水を腹ばいで飲んだ揚句に龍となり、山を崩し谷を埋めて湖水(田沢湖)を作り彼女の棲家としたという。

話 名 龍神,大蛇
資 料 旅と伝説 12巻7号/通巻139号
場 所 平鹿郡浅舞町
要 約 真田軍治の父勇次郎が不思議な石を拾い、それが龍神であることがわかると怠らずにこれを祀った。後、龍神の霊験が広まって、はやり神になった。

話 名
資 料 西郊民俗 通巻59号
場 所 秋田県
要 約 秋田県八郎潟の女神に頼まれ、悪龍を退治した神主がいる。この神主の家では悪龍に呪われ、7代まで左の目が小さかったという。

秋田県の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)

「怪異・妖怪伝承データベース」サイトへ

「怪異・妖怪伝承データベース」より抽出:

「日本の竜蛇譚」(地域一覧)