山口県の竜蛇

門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より

話 名 トウビョウ
資 料 民族と歴史 8巻4号/通巻46号
場 所 山口県
要 約 トウビョウは百匹いる。士族の家にもある。トウビョウは人に憑く。一人がトウビョウ持でも他の家族がそうとは限らない。トウビョウ持であることは本人しか知らない。百匹の蛇のうち一匹でも傷つけるとその人はトウビョウ持になる。萩の松下村の、ある家の妻がトウビョウ持だった。その家の下男が押入れで瓶を見つけたが、その中に蛇がうようよしていたので煮湯を持ってきて注いだ。便所にいた妻は叫び声を上げて気絶していた。手当をすると妻は治ったが、もうトウビョウ持ではなかった。

話 名 宮島様
資 料 旅と伝説 3巻7号通巻31号
場 所 山口県
要 約 清盛は安芸の国の殿様だったころ、宮島の神体であった女性に妻になれと言った。女神である宮島様は清盛に、一日の間に千畳の畳が敷ける家を作ることができれば妻になっても良いといった。天子様の落胤で神通力を持っている清盛は難なくそれを成し遂げ、宮島様は清盛の妻になることになったが、その姿が大蛇になっていたため、清盛は舟で逃げた。大蛇は追ってきたが、潮が逆流したために逃れることができた。その後清盛は、日をあおぎ返した罪のため、日の病という熱病にかかり、黒焦げになって死んだ。

話 名 土瓶
資 料 兵庫県民俗資料 通巻1号
場 所 玖珂郡
要 約 80歳の蛇使いの婆がいて、この人を怒らせると器物という器物に蛇が潜むようになる。蛇使いの家は縁組などで嫌われる。

話 名 うはばみ
資 料 旅と伝説 6巻9号/通巻69号
場 所 山口県
要 約 爺と婆の間には子供がなかったが、ある日、明神様の境内で拾った玉子からうわばみ(大蛇)が生まれた。一と名づけられ大切に育てられたが、村人が恐れるので捨てることになった。一は化物を退治したが自分も死んでしまった。

話 名 ミサキ様
資 料 西郊民俗 通巻38号
場 所 山口県
要 約 茅刈のミサキ様は蛇を祀ったものと言われ、雨が降らないときにはセンバタキが行われる。

話 名 トウジョウ
資 料 常民 14号
場 所 阿武郡 福栄村
要 約 坊さんが宿を借りた。家人が外出中に家の隅の壷をふと見ると、トウジョウという蛇がうじゃうじゃととぐろをまいていた。坊さんが煮え湯を入れてトウジョウを殺すと、たいへんに感謝された。トウジョウは人に憑いて肛門から体の中に入り込み、体を食いぬく。

話 名 池の主,(大蛇)
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 池の主が娘に化けて、対岸の蛇の池へ、漁師に頼んで渡してもらった。お礼に「一度だけ網を落とせ」と言った。あまりに大漁だったので、漁師が二回目を入れてみたが、蛇などが入っていて、魚は一匹もいなかった。

話 名 池の主,(大蛇)
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 室津半島の池の浦の池に池の主の蛇がいたが、源平の合戦で池の底にたくさんの刀が落ちて、金物が嫌いな池の主は住めなくなり、平郡の蛇の池に移った。蛇の池に金物を落とすと、翌朝池の淵に上がっている。

話 名 池の主,(大蛇)
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 室津半島の池の浦の池の主の蛇がいたが、源平の合戦で池の底にたくさんの金物が落ちて住めなくなったので、女に化けて漁師に渡してもらい、平郡に移った。お礼に「一度だけ網を落とせ」と言った。あまりに大漁だったので、漁師が二回目を入れてみたが、こんどは蛇ばかりだった。

話 名 池の主,(大蛇)
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 室津半島の池の浦の池の主の蛇がいたが、源平の合戦で池の底に金物が落ちて住めなくなったので、女に化けて漁師に渡してもらい、平郡に移った。お礼に「一度だけ大漁させてやる、二度やるな」と言った。あまりに大漁だったので二回目を入れたら、こんどは蛇ばかりだった。

話 名 池の主,(大蛇)
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 池の主の蛇がお姫様に化けて漁師に渡してもらい、平郡に移った。お礼に「一度だけ大漁させてやる、二度やるな」と言った。あまりに大漁だったので二回目を入れたら、こんどは蛇ばかりだった。昔は蛇が見かけられた。蛇の池の真ん中できれいな女の人が髪を梳いているのを見た人もいる。

話 名 池の主,(大蛇)
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 池の主の蛇が、池に刀が入って住めなくなったので、漁師に筵を広げてもらってそこを池にして、平郡に移った。お礼に「一度だけ大漁させてやる、二度やるな」と言った。あまりに大漁だったので二回目を入れたら、こんどはおかしなものばかりだった。

話 名 蛇の池
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 「蛇の池」という池に金物を落とすと翌朝には土手に上げられている。近くの人が鍋を落としてしまったが、朝行ってみたら上にあげられていた。

話 名 蛇の池
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 「蛇の池」という池で魚を獲ろうと思って網を入れて置いて、朝行ってみたら上にあげられていた。

話 名 (俗信)
資 料 民間伝承 8巻7号通巻85号
場 所 厚狭郡
要 約 蛇を恐れない性質の人をカジハラドンといい、耳たぶの前にくぼみがあって、親指が丸いという。

話 名 蛇の池
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 「蛇の池」という池には神様がいるので、人は住めないし、住んでも長続きしない。金物や汚いものを落とすと翌朝には土手に上げられている。

話 名 住吉明神,大蛇
資 料 日本随筆大成第二期 8巻
場 所 山口県
要 約 長州の大寧寺の祖師に、住吉明神が翁の姿で現れた。祖師は尊体を顕すように明神に言ったところ、明神は大蛇の形となったという。

話 名 蛇の池
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 「蛇の池」という池の神様は卵が好きで、お供えすると翌朝には消えている。

話 名 蛇の池
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 「蛇の池」という池に、山の上から薪を運ぶデンシン(ケーブル)の回車がおちることがあったが、と翌朝には土手に上げられていた。蛇は金物が嫌いなので。

話 名 蛇の池
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 「蛇の池」という池を泳いで渡ると、ものすごく水が冷たいところがある。気の短い者が元へ歩いて帰らずにもう一度泳ぎ渡ったら、「ここには蛇がおるぞーっ」と怒られた。

話 名 蛇の池
資 料 常民 23号
場 所 柳井市 平郡島
要 約 「蛇の池」という池の土手の小屋に住んでいた人が、夜中に池の中から立ち上がった蛇の頭を見た。

話 名 とうびょう
資 料 山口県史資料編民俗1民俗誌再考
場 所 萩市
要 約 とうびょうの家には小さな蛇がたくさんおり、たいがいは壺の中で飼い、床下に隠しておき、他人に見られぬようにえさを与えるという。人に憑くことがあり、祈祷師に落としてもらう際、紙袋を手や足先に当てて霊を落としてもらう。その袋をかまに入れて焼くときにはパチパチと音がするという。

話 名 ウジヤ
資 料 山口県史資料編民俗1民俗誌再考
場 所 萩市
要 約 ウジヤは海蛇で、盆に載せるとくるくると捲いて首と尾を持ち上げる。尾に紫色のホウショウの玉がある。出雲様に上がるということであるが、ウジヤが上がれば豊漁でマンがよいと喜ぶ。蛇を平気で掴む人のことをフジワラトウといい、その人の耳の後ろには小さな穴があいてる。

話 名
資 料 山口県史資料編民俗1民俗誌再考
場 所 美祢郡 秋芳町
要 約 かつて地開きで掘り出した大きな蛇を殺した者がいたが、その家から唖の子が生まれた、という話もある。

話 名
資 料 ドルメン 2巻7号
場 所 山口県
要 約 老獺が竜王の親族に危害を与えた。竜王が大亀になって近所の貧乏人に獺退治を依頼した。退治した猟師は、竜宮に行って長者となた、

話 名 竜神
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 美祢郡
要 約 秋吉台の鍾乳洞で雨乞いをする時、僧が祈祷して竜神に血脈を授ける。血脈が水底に沈むと雨が降ると言われている。

話 名 器之禅師,竜神,鹿
資 料 日本随筆大成第二期 8巻
場 所 山口県
要 約 石屋禅師の弟子である器之禅師は応仁年中に、周防の陶氏の招請に応じて一寺を創建する。そこに大きな池があったが、一夜のうちに池を埋めて住地とし竜神を篤く祀った。その時竜神は仏法弘通のためにこの地を献じるという証文を禅師に贈った。また鹿が来て禅師に宝玉を献じたともいう。

話 名 鯨,命乞い
資 料 日本常民文化紀要 19号
場 所 長門市
要 約 九州や山口県長門市では、竜宮の使いである鯨が枕元に立って命乞いをしたにも関わらず、漁師が無視して捕獲してしまったので、貧乏になったり不幸になったといった話がある。

話 名
資 料 民具マンスリー 34巻6号
場 所 山口市
要 約 竜蔵寺の、雪舟の絵馬の馬が田畑を荒らしたので、手綱を描き添え、切り筋を引いた。

話 名 船玉様
資 料 山口県史資料編民俗1民俗誌再考
場 所 萩市
要 約 船玉様は女である。良い凪を走る場合、トリカジ側からリリンという鈴の音がして、船玉様がイサメクとよい追手がする。シケをお報せ下さることもある。沖で魚をつくっても一切れは船玉様に、一切れは竜王様に上げることを忘れてはならない。

話 名 八つ頭の竜
資 料 山口県史資料編民俗1民俗誌再考
場 所 玖珂郡 由宇町
要 約 古老の話によると、清水の奥地である水神浴の湧水から神光が輝き八つ頭の竜が2頭現れ戯れながら清水川を下り、山のひときは目立つ杉と樫の大木に分かれて昇天したという。この姿を見たものは病気になったり死んだりした。この異変を鎮めるためにこの地を「山の神山」として神行を行った。

話 名 妻楊枝
資 料 民族 2巻1号
場 所 玖珂郡 柳井町
要 約 豊後の炭焼き小五郎の長者の娘である般若姫が都に上る途中、清水を求めて爪楊枝を挿したら、泉が湧き出て楊枝は成長して柳になった。湘江庵の井戸と柳の由来である。

話 名
資 料 民族 2巻1号
場 所 熊毛郡 平生町
要 約 般若寺の鞭池は、聖徳太子が般若姫のお墓を拝んだとき、馬の鞭を地に立てて獲た水が、後に池になったのだと伝えられている。

話 名 大うなぎ
資 料 民俗採訪 昭和49年度号
場 所 豊浦郡 豊田町
要 約 雨乞いをすると大うなぎが出てきて、雨が降る。

話 名 ウナギ
資 料 民俗採訪 昭和49年度号
場 所 豊浦郡 豊田町
要 約 雨乞いのときに行く滝の滝壺には、耳の生えたウナギが住んでいる。

話 名
資 料 民族 3巻4号
場 所 豊浦郡 瀧部村
要 約 大旱魃があり、骨ヶ淵の水を田に入れることになった。村人が汲み上げていると坊主がきて、止めてくれといった。承諾しなかったが、小豆飯を食べさせた。坊主は淵に入って見えなくなった。その後、淵で獲れた鰻を料理したら、腹から小豆飯が出た。これが骨ヶ淵の主だった。

山口県の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)

「怪異・妖怪伝承データベース」サイトへ

「怪異・妖怪伝承データベース」より抽出:

「日本の竜蛇譚」(地域一覧)