広島県の竜蛇
門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より
話 名 | 外道,トウビョウ |
資 料 | 女性と経験 3巻4号 |
場 所 | 甲奴郡 上下町 |
要 約 | 外道やトウビョウを信じていた地方では、病人が出ると近所の世話好きな婆さんや女房たちがトウビョウ退治をした。外道は、ムナジの霊力、トウビョウは蛇の霊力であると言う。どちらも筋があり、人に憑く。 |
話 名 | 宮嶋様 |
資 料 | 伝承文学研究 通巻7号 |
場 所 | 広島県 |
要 約 | 宮嶋様に恋慕した清盛に、宮嶋様は千畳敷の屋敷を1日で建立せよと命令した。清盛は仕事にかかるが、もう一息というところで日が暮れかけたので一心に西の夕陽を招き戻し、屋敷は完成した。すると宮嶋様の御神体は大蛇と化し、船で逃走する清盛を追いかけた。しかし清盛はその眼力で潮の流れを変えて逃れることが出来た。 |
話 名 | 大蛇 |
資 料 | 近畿民俗 通巻58号 |
場 所 | 双三郡 八幡村 |
要 約 | 竜王山の麓に大蛇が住んでいると伝えられている蛇淵がある。淵の傍らには龍王を祀った祠が建っている。この淵を汚すと必ず雨が降るというので、雨乞いに牛馬の骨を投げ込むという。 |
話 名 | 以八,十五童子,天女,蛇 |
資 料 | 日本随筆大成第二期 5巻 |
場 所 | 佐伯郡 宮島町 |
要 約 | 芸州宮島光明院の開山である以八和尚は宮島に住居を定めたが、常に美しい女性が十数人仕えていた。その事を誹謗する人がいるとの話を聞いて和尚は、彼女らを法談の席に呼び、事情を説明して立ち退きを命じた。すると海上にわかに波が起こり、暴風すさまじい状況になって、先の女性がたちまち蛇の姿になった。それらは黒雲と一緒に海底に入っていったという。彼女らは天女が使わした十五童子だったという。その後、上人は別時念仏の回向の日に往生するといって往生した。すると、紫雲が立ち、妙なる香りがし、潮がみちて遺灰を残らず流していった。 |
話 名 | 八岐の蛇 |
資 料 | 日本随筆大成第二期 8巻 |
場 所 | 広島県 |
要 約 | 安芸国の境にある八面山のふもとに、むかしから草刈りをしない場所がある。ここで八頭の蛇を見た人がいる。この蛇が怒る時は眼が光り、見る者は気を失うという。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 広島県史 民俗編 |
場 所 | 福山市 走島町 |
要 約 | 昔、蛇が男の姿になって娘の元に通い、娘は孕んだ。そこに六部がやってきて娘が蛇の子を孕んでいるので三月の節句の桃酒と五月の節句の菖蒲酒を飲むと良いというのでその通りにするとタライに七タライもある長い蛇の子を産み落とした。 |
話 名 | イワイガケさん,雨乞い |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和54年度号 |
場 所 | 安芸高田市 美土里町 |
要 約 | 大きな岩が宮に立っていて、イワイガケさんといった。雨が降らないときはサイダー瓶に水を入れてぶつけ、神主さんに拝んでもらった。イワイガケさんは、雨を降らせてくれる大きな蛇であるという。 |
話 名 | つぶて石 |
資 料 | 広島県史 民俗編 |
場 所 | 広島県 |
要 約 | 高増山の高御倉と新山村蛇円山のすさのおの尊が吉備の国を守ろうと石を投げ合って誓いを立てた。高御倉の投げた石は江熊の里に落ち、すさのおの投げた石は吹上の里に落ちた。この石の落ちた所は疫病はなく、よそから入ってきてもここの者には移らない。また雨が降りそうな時は水が滴る。 |
話 名 | 外道 |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和54年度号 |
場 所 | 安芸高田市 美土里町 |
要 約 | 外道には蛇外道・犬外道・狐外道・野外道など様々な種類がある。一般的に、憑かれやすいのは女性と病人であり、子供には憑かない。一度に複数憑かせることもできる。憑かれると、軽いときは精神異常や不測の事故が起こるが、ひどいときは狂い死にする。憑き物筋は外道神を持っているため栄え、怨恨によって外道を憑かせるという。縁組みに付随し、嫁に行った娘から嫁ぎ先にも筋が発生する。 |
話 名 | ちきり淵 |
資 料 | 広島県史 民俗編 |
場 所 | 安芸高田市 高宮町 |
要 約 | 牛首城が落城した時、姫がちきりをもったまま城の裏手の淵に飛び込んで死んだ。今でも耳を澄ますとちきりの音が聞える。ある時村の若者が潜ってその音に近づいてみると、大きな蛇の姿で腰から上は人間の髪をふりさばいて機を織っていた。驚いた若者は狂人になった。 |
話 名 | ヘビ,大蛇 |
資 料 | 広島民俗 通巻18号 |
場 所 | 呉市 蒲刈町 |
要 約 | 大正7,8年の事。ある女性が畑仕事の休憩で黒い木に座ったところそれが動いた。驚いて見ると大きな黒い蛇だった。大急ぎで井戸まで逃げて水を釣瓶一杯飲んだ。家に帰りそれから2,3日熱が出て死んだ。 |
話 名 | 照日の前 |
資 料 | 広島県史 民俗編 |
場 所 | 庄原市 西城町、比和町 |
要 約 | 元禄の頃、宮景盛の娘の照日の前が悲恋の果てに入水して竜神になって昇天した。ひでりの時ここで雨乞いをして弁天社から小蛇が出て游行すると雨が降る。照日姫は供養されると元の姿を現し、歌をうたって消えた。 |
話 名 | 蛇,若宮の岩 |
資 料 | むさしの 通巻11号 |
場 所 | 三原市 大和町 |
要 約 | 原田備前守が参勤交代で萩原を通ったとき、若宮の岩から白い蛇が現れた。ここを城にしろとのお告げだと思い、城を建てて永住したという。昭和に入ってその岩がトンネル掘削の邪魔になったので、ダイナマイトで壊そうとしたら暴発して作業員が怪我をした。神の住む岩である。 |
話 名 | 蛇 |
資 料 | 広島県史 民俗編 |
場 所 | 庄原市 高野町 |
要 約 | 鉄山師の娘の所へ毎夜男が現れる。乳母はその男の袖先に糸を通した針を縫い付けて帰した。翌朝その糸を辿っていくと男は森脇の黒石山の洞の中で鉄気にあたって死んでいた。娘は盥いっぱいもある蛇子を産んだ。 |
話 名 | クモ女房 |
資 料 | 昔話「研究と資料」 通巻28号 |
場 所 | 広島県 |
要 約 | 蛇女房型の物語で、化け物になった女房を退治する際、火を用いたので、歳の夜には火を焚くのだという。 |
話 名 | 外道持 |
資 料 | 民族と歴史 8巻1号/通巻43号 |
場 所 | 三次市 |
要 約 | 外道持も獣を飼う。土竜よりも大きく鼠よりも小さく、茶褐色をした足の短い動物という。外道持の家に女の子が1人生まれる毎に獣は75匹増え、その家から嫁を取ると75匹を連れて外道持になり、その嫁が女を生むと倍になる。普段は床下などに住み、人に憑く時は目に見えず往来するが、春には畑などで群れて遊んでいることがある。75匹の中には医者もいれば按摩も祈祷者もいて、仲間が寄り集まって看護し、殺されても形のある限り蘇生する。鳴き声は蛙に似ている。食べ物の小豆飯をやらないと家の者にも祟る。外道持ちが憎いと思えばすぐに憑く。 |
話 名 | 弥山の七不思議 |
資 料 | 伝承文学研究 通巻25号 |
場 所 | 広島県 |
要 約 | 弥山の七不思議。きえずの火・錫杖の梅・曼荼羅岩・干満岩・しぐれ桜・竜灯の杉・拍子木の音。 |
話 名 | 七不思議 |
資 料 | 民俗採訪 通巻昭和54年度号 |
場 所 | 安芸高田市 美土里町 |
要 約 | 七不思議がある。小谷のオカサマ・道円田のオジロ(大城)・道円田の呼び石・高浜の嫁岩・竜王さん・大仙神社と後1つは判らないと言うことである。 |
話 名 | 竜灯 |
資 料 | 伝承文学研究 通巻25号 |
場 所 | 広島県 |
要 約 | 正月元日から3日、または5日、風浪が静かな暁、大鳥居の前、海上などに竜灯が浮かび出る。年によって灯の数は一定ではない。 |
話 名 | 宮島の七不思議 |
資 料 | 伝承文学研究 通巻25号 |
場 所 | 広島県 |
要 約 | 宮島の7不思議。島巡りと神鳥、竜灯、弥山の松明、弥山の拍子木、みさき、雪の足跡、蓬莱。 |
話 名 | 猿猴 |
資 料 | 広島民俗 通巻18号 |
場 所 | 呉市 蒲刈町 |
要 約 | ある日海岸近くの田に行ったら猿猴が現れ相撲を挑んできた。家に帰り仏前の飯を食ったら、今日はお前に勝てないといって去った。猿猴は頭に皿があり、その中の水がなければ力が出ない。人の肝を竜宮に持って行くと位があがるのでそれをとる。 |
話 名 | 七不思議,白色の神馬 |
資 料 | 郷土研究 4巻2号 |
場 所 | 広島県 |
要 約 | 安芸宮島の七不思議。どんな毛色の馬を献上しても白くなる。御供物をすると持ち去ってしまう神鳥。旧暦1月6日に沖合から上ってくる数万の龍燈。旧暦の大晦日にひとりで飛び回る松明。海水の満ち干につれて上下する潮計岩。底無し井戸。昔は多数いたが今では一匹もいない猿のゆくえ。 |
話 名 | 七不思議 |
資 料 | 郷土趣味 通巻18号 |
場 所 | 広島県 |
要 約 | 安芸宮島七不思議。白色の神馬・かつて多数島に棲息していた猿の行方・藪崎の神鳥・数万の龍燈・彌山の潮計石・松明の飛行・底無し井戸。 |
広島県の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)