山梨県の竜蛇

門部:日本の竜蛇:「怪異・妖怪伝承データベース」より

話 名 親鸞,蛇,観世音,石
資 料 旅と伝説 8巻11号通巻95号
場 所 大月市
要 約 この付近の川辺を親鸞が歩いてると、美人が現れて助けを求め消えた。この話を宿泊先の小俣重澄に話すと、その娘お葦が近くに住む僧に惚れたが、僧は拒否し、お葦は川に投身する。間もなく川辺に毒蛇が現れて僧を食い殺したという。そこで哀れに思った親鸞は、川原の石に名号を書いて池に投げる。するとお葦、僧は観世音の大士、勢士となり、石に導かれて西南の空に消えた。蛇は観世音となった。

話 名 親鸞,大蛇
資 料 旅と伝説 8巻11号通巻95号
場 所 大月市
要 約 嘉禎2年に親鸞が教化の為に来た際、その地に閑居する小俣左衛門尉尚家の女に、非常に嫉妬深い人がいた。それ故に水中に入って大蛇となり、往来の人を悩ました。親鸞はこれを済度して人々の厄難を除いたという。

話 名 親鸞,毒蛇
資 料 旅と伝説 8巻11号通巻95号
場 所 大月市
要 約 親鸞が東国順化の際に同地の笹子村に住む作太郎から、吉が窪にある古池にお吉という妖婦がこもって毒蛇となり、村民を悩ましていると聞いた親鸞は、阿弥陀経を読みながら小石に南無阿弥陀仏と六字を書いて投げ入れたところ、たちまち蛇は成仏会得したという。この時の小石がそのあたりから発見される。

話 名 大蛇,アミダ様
資 料 あしなか 通巻2号
場 所 南都留郡 道志村
要 約 オマドキ山に棲む大蛇が部落に悪さを働こうとしていた。それを見て案じたアミダ様が念じたところ、大蛇はアミダ様のご威光に恐れをなして逃げ去った。逃げた先では大洪水が起こって海のようになった。

話 名 夢のお告げ
資 料 民間伝承 5巻8号
場 所 東八代郡
要 約 六左衛門という財産家は、大水害にあった後、家運が衰えていた。彼には玉吉という20ほどの一人息子がいたが、玉吉は不精者で始終家でのらくらし、体も不健康であった。ある晩玉吉が眠っていると地神が夢枕に立ち、万年橋の下の蛇籠の間に地神の魂である扇がはさまっているので、拾ってきて仰げば諸病が治ると告げた。

話 名 浅間神社,祟り
資 料 民間伝承 10巻1号通巻99号
場 所 忍野村
要 約 ある家の者が、自分の家の屋敷神として浅間様の位を京都へ行き取ってきた。そして、浅間神社の祭日と神輿の渡御の方法を変更した。長男がコレラで倒れ、以降不幸が続出し、翌年の祭りの頃には、家族のうち老婆を残し死に絶えた。新盆の竿に蛇が登った。浅間様は蛇ともいわれている。

話 名 (俗信)
資 料 民間伝承 11巻2号通巻108号
場 所 中巨摩郡
要 約 蛇の夢を見ると金が入る、月経のときに始まった縁談は必ず破談になる、妊娠の夢を見ると近親者や知人に妊娠するものが出る、鼠がいなくなると貧乏の兆候、烏が屋根棟で一声なくと近親者に不幸がある、など、吉凶に関する俗信多数掲載。

話 名
資 料 民俗採訪 昭和二十八年度号
場 所 西山梨郡 千代田村
要 約 病弱な女房に蛇を食べさせたら、それがたまたま夫婦蛇の雌で、雄蛇が旦那の留守中に旦那に化けて蛇の子を宿させた。

話 名 大蛇
資 料 あしなか 通巻47号
場 所 南都留郡 道志村
要 約 明治十七年、道志村の村民五人が馬に乗っていると大きないびきが聞こえ、巨石の上を見ると鎌首をのし上げた大蛇がにらみ据えた。村民は逃げ帰ったが、四人はそのまま長患いし、一人は悶え死にしてしまった。

話 名 大蛇
資 料 あしなか 通巻47号
場 所 南都留郡 道志村
要 約 ある男が渓流へ網打ちに行くと、見かけない丸木橋が架かっていて戸惑ったが渡った。すると橋が動き出し、実は大蛇で、草ずれの音を立てながら薮へ姿を消した。巨木に巻き付く大蛇について話した老母もいる。

話 名 大蛇
資 料 あしなか 通巻47号
場 所 南都留郡 道志村
要 約 ある男が大増水時に深渕へ魚掬いに行くと、巨木が淵を渡り越して両岸に架かっていた。男は巨木を渡って振り返るとそれは大蛇だった。睨まれた男は帰宅後寝込みそのまま死んだという。

話 名
資 料 民俗手帖 通巻2号
場 所 山梨県
要 約 子供が死んでから家の周りに蛇が出るのでおっぽかせと親爺様に言うと、逃がしてやれと母親が言った。タクについて聞いた時、その子が出てきて、「家の周りに出た蛇は俺だ。お母さんが逃がせというので助かった。」と言った。タクは青梅にいたという。.

話 名 雨乞,白鼠,狼,大蛇
資 料 甲斐 通巻6号
場 所 山梨県
要 約 江曽原での雨乞いの由来。七面山の麓に七面堂がある。旅人が七面堂を出発して七面山を通った所、夕立があったので井戸の中に隠れた。そうしたら白鼠、狼、大蛇が現れた。祈ると夕立も止み、それらも消え失せた。麓に帰り、その霊顕を話したところ、それから祭りを盛大に行なうようになった。

話 名 (まじない)
資 料 甲斐 7号
場 所 山梨県
要 約 蛇は線香を立てると逃げる。

話 名 (まじない)
資 料 甲斐 7号
場 所 山梨県
要 約 蛇の夢は縁起が良い。しかし、人に話してはいけない。

話 名 膳椀貸,大蛇
資 料 甲斐路 通巻2号
場 所 北巨摩郡 長坂町
要 約 釜無川に椀貸伝説がある。北巨摩郡長坂町旧清春村の曲渕で、人寄りの時にお願いすれば膳椀を貸してくれていた。ところが清泰寺の25代住職白雲和尚は貸してくれる人を突き止めようと故意に返さずにいた。すると数日後に背の高い女が返してくれと催促に来た。差し出した白い手を和尚は刀で切り落とすと、女の姿は消えうろこのある大蛇の腕が落ちていた。以来椀貸しは絶えたが清泰寺には今も蛇骨が秘蔵されていて、早魃の時に蛇骨に水を注ぐと必ず雨が降るという。

話 名 巡礼娘,蛇
資 料 甲斐路 第2号
場 所 中巨摩郡 若草町
要 約 昔、釜無側の下流の浅原村に3人暮らしの親子がいた。ある年の夏に、1人の巡礼娘が雨宿りを乞い、そのまま逗留した。息子の浅吉とその娘は夫婦となるが、2、3年過ぎたある夜、妻が行燈で障子にうつるが、それは人間の女の姿ではなかった。1家は怖くなり、暇をやると、嫁も承諾し、暴風雨の日に釜の蓋を貰い受けて、釜無川の濁流の中に投げ入れ、その上にとび乗り、蛇身と変じて姿を消してしまった。すると俄かに洪水は引いて水害は免れ、その後も水害は起こらなかった。沿岸の人たちは恐れをなしてしばらく釜を使わなかったので釜無川という。

話 名 五味四郎右衛門の妻,蛇
資 料 甲斐路 第2号
場 所 中巨摩郡 若草町
要 約 今から270~80年前、若草村浅原に五味四郎右衛門という旧家があった。その妻は釜無川の水害に心痛し、ある夏の暴風雨の日に意を決して釜の蓋を持って家を出、これを大川に投げ入れて飛び乗った。妻女は蛇身と化し見えなくなった。その後水害は除かれたが、沿岸の人は恐れをなして一時釜を用いず、釜無川となった。

話 名 白髪の老女
資 料 甲斐路 第3号
場 所 西八代郡 六郷町
要 約 承応の頃、鴨狩寺、高前寺の亀外和尚の夜の説教に多くの人が集まった。すると、ご本尊の脇に白髪の老女が現れ、読経が終わると、自分は今畜生道へ髄在して大蛇となり、昼夜三熱に苦しんでいる、今宵は観世音のお告げにより、師が道徳無辺なのを知った。どうか、自分の苦悩を救ってくれ、それがかなえば、永く当山で火難を除き、世の衆生の産難を遁れさせようといって消えた。それに因んで子安観音を祀ったという。

話 名 大蛇
資 料 甲斐路 第3号
場 所 南巨摩郡 中富町
要 約 富士川には名所屏風岩があるが、宮木の里にお妙という娘がいた。お妙が奇岩の近くの刈り場へ出かけ、世にも稀な美男に会った。ある日半日待っても帰らないので、家の者は村人の協力を求めて探しに行ったが、俄かに黒雲が現れ、雨は風を起こしてたちまち嵐となった。村人が避難していると、お妙の晴れ着が嵐によって老松に掛けられた。屏風岩の魔窟の近くに大蛇が通う道があったという。

話 名 蛇体さつき姫
資 料 甲斐路 第3号
場 所 南巨摩郡 富沢町
要 約 南朝の落武者吉野某が落伸びて甲州河内領福士の奥に世を避けている間に村長の娘との間に生まれた女児をさつき姫といった。姫が17才の夏、征者2、3人をつけて村の上手にある池のほとりに出かけさせたが、娘が行方知れずになった。村中を探すが、知れず、多数の僧を招いて池畔で施餓鬼供養を営んだ。すると読経が終わらぬうちにどこからともなくさつき姫が現れ、自殺し先立つ不幸を母親に詫びて蛇体と化し、元の池へ姿を消した。すると雷鳴豪雨で山が崩れ池が氾濫し、蛇体さつき姫は福士川から富士川の彼方へ所在をくらました。

話 名 大蛇
資 料 甲斐路 通巻8号
場 所 南巨摩郡 早川町
要 約 けちな親子が息子の嫁に「飯の嫌いな子」をもらいたがる。ある日息子が山で泣いている女に出会う。「誰かに嫁にもらいたい」と女は言い、息子が「飯が好きか」と尋ねると、女は「飯ほど嫌いなものはない」と答えるので嫁にした。息子の留守中に女は大釜で飯を炊いて一気に食い、押入れに入って「人くさい」という。息子はただものではないと思い、「山へかえれ」というと、女は「帰るが飯を籠一杯に持っていく」という。籠を背負って山へ行くが籠がだんだん軽くなるので振り向くと女の着物を引っかけた大蛇がいた。

話 名 白蛇
資 料 甲斐路 第11号
場 所 南巨摩郡 南部町
要 約 旧睦合村南部の町から西を望んだ高い丘の樹立の中に見えるのが諏訪神社であるが、これは、ある時、連日の雷雨のあと、塩沢部落に近い川水のよどみに一疋の白い蛇が「麻からのくき」に乗っていた。里人は諏訪神社の御使いは白蛇だと聞いていたので、おろそかに見捨てることができず、水面から救い上げて小さな祠を建てて祀ってやったものだという。そのことがあってから村人は祟りがあってはいけないと麻を植えることをやめた。

話 名 諏訪神社の神
資 料 甲斐路 第11号
場 所 南巨摩郡 南部町
要 約 諏訪神社の御使いである白蛇が川水の上を「麻からのくき」にのっていたのを、初めに見つけた塩沢部落の人達によって、年々4月15日に諏訪神社の祭典が行われる。その際には神輿の渡幸があり、祭りの前に富士川の河原に御小屋をたてるが、ある年、これを建てなかったことがあった。すると、この部落に伝染病が流行したことから神様の御怒りに違いないというので、その翌年から再び建てられるようになった。

話 名 大蛇
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 巨摩郡 清春村
要 約 湾貸淵で竜宮の椀を返さなかったら、女が催促に現れた。その女を斬りつけると、女は大蛇になって足を落として逃げていった。足の骨は清泰寺に保存されており、雨乞いの時はこの骨に水を注ぐという。

話 名 竜女
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 巨摩郡 金井町
要 約 日蓮上人が身延山で説教をしていた時、竜女が女に化けて聴きに来ていた。竜女は日蓮上人に見破られて正体を現し、身延山の鎮守になった。また、日蓮上人が流された佐渡にも竜女教化の話がある。美しい娘が日蓮上人の読経を聞きに来ていた。娘は結縁のために袖に曼荼羅を書いてほしいと頼んだ。上人は願いどおり書いたが、娘は実は蛇だったという。

話 名 大蛇
資 料 季刊民話 通巻1号
場 所 南巨摩郡 早川村
要 約 七面山で猟をしていると、日が高いのに暗くなり雨が降ってきた。木のウロに隠れていたら、飼い犬が木の上に向かって吠える。犬の首をナタで切ると、犬の首が飛んででかい蛇に食いついて、空が晴れた。犬の首と胴体は家の墓へ一緒に埋めた。

話 名 五輪塚のたたり
資 料 上和田の民俗 通巻5号
場 所 大月市
要 約 ゴリンヅカ(五輪塚)は、昔は神聖な場所とされ、誰も入らなかった。ここで白い蛇を見ると2年と命が持たない。新しい草履を使わないと中へ入れないといわれた。

話 名 五輪塚のたたり
資 料 上和田の民俗 通巻5号
場 所 大月市
要 約 五輪塚は平将門一門のゆかりの品が埋められているといわれる場所。かつてはお盆に新しい草鞋をはいて掃除をした。昔は、ここで白い蛇を見た者がいて、霊場とされ、勝手に入ると目がつぶれるといわれる。

話 名 オミョウジンサマ
資 料 向原の民俗(上)通巻9号
場 所 富士吉田市
要 約 広瀬長晴家の屋敷神の1つにオミョウジンサマがある。昔(42・3年前)、羽田峯生商店の屋敷を借りて住んでいた時に祀っていたのを今のところに移る際に移した。80年くらい前に3代先のおじいさんがセイハンで手を切り、占いをしてもらうと、「蛇を生殺しにしていたからタタル」といわれ、山中のオミョウジンサマを祀ればいいということで、祀るようになった。

話 名 (俗信)
資 料 向原の民俗(上)通巻9号
場 所 富士吉田市
要 約 蛇に関する俗信。青大将は大きくなると龍(りゅう)に、やまっかかしは龍(たつ)になる。

話 名 蛇の祟り
資 料 向原の民俗(下)通巻10号
場 所 富士吉田市
要 約 広瀬長晴家では山中の諏訪明神も屋敷神として祀っている。42・3年前、羽田峯生商店の屋敷を借りて住んでたときに祀っていたものを今のところに移した。これは、80年くらい前、3代前のおじいさんが製材の製板で手を切ったので占いをしてもらったところ、「蛇を生殺しにしていたから祟る」と言われ、山中のお明神様を祀ればいいといわれて祀るようになった。

話 名 大蛇
資 料 甲州秋山の民俗 通巻14号
場 所 上野原市 秋山村
要 約 海川原集落に美しい娘がいた。その娘に懸想した大蛇が大水を出してあたりを水浸しにしたので、娘が海に飛び込むと水は引いた。それでそのあたりを海川原というようになった。

話 名 (俗信)
資 料 向原の民俗(下)通巻10号
場 所 富士吉田市
要 約 蛇は神様のお使いだから、その夢を見ると金持ちになれる。

話 名 (俗信)
資 料 向原の民俗(下)通巻10号
場 所 富士吉田市
要 約 女の人が山へ行って昼寝なんかをすると蛇に見込まれるから女は山へ行っても寝そべったりするものではないという。

話 名 (俗信)
資 料 向原の民俗(下)通巻10号
場 所 富士吉田市
要 約 蛇は穴が好きだから女の人は石垣を向いて小便をひってはいけない。どうしてもひりたい場合は、「ヘビもムカデも出てくるな。俺は鍛冶屋の聟殿だ。 も刀もまっ赤に焼いてまってるぞ」と唱える。

話 名 ヘビ
資 料 白州の民俗 昭和52年度号
場 所 北杜市 白州町
要 約 来福寺の墓地の九頭竜の祠は、以前堤防が切れたときに蛇が体を横たえて家屋が流れるのを防いだので祀ったとも、山津波の際に福井から分祀したともいう。

話 名 蛇の祟り
資 料 平栗・加畑の民俗 通巻11号
場 所 都留市
要 約 七面様は身延山の七面山の関連で祀っているが、もとは弁天様だったともいう。カイコの神、火事などの厄災を除く神といわれている。蛇をいじめたら祟りがあったため、明治2年に蛇の神様を祀ったという。

話 名 ヘビ
資 料 白州の民俗 昭和52年度号
場 所 北杜市 白州町
要 約 ある男が夕方散歩に出たら、畑の石の上に美しい娘が座っていた。横に腰掛けていろいろ話をして帰ったが、手拭を忘れたことに気づいて戻ると、蛇がその手拭を枕に寝ていた。

話 名 白い蛇
資 料 平栗・加畑の民俗 通巻11号
場 所 都留市
要 約 七面様は身延山の七面山の関連で祀っているが、もとは弁天様だったともいう。カイコの神、火事などの厄災を除く神といわれている。白い蛇がでてきて困るので、明治2年に蛇の神様を祀ったという。

話 名 大蛇
資 料 右左口の民俗 昭和58年度号
場 所 甲府市 中道町
要 約 滝戸山の大蛇が、週に1度大雨を降らせていた。ある時、猟師が猪を撃とうとして誤って大蛇を撃ち殺してしまい、雨は降らなくなった。

話 名 白い蛇
資 料 平栗・加畑の民俗 通巻11号
場 所 都留市
要 約 弁天さんを祀っていたけれど、稲本和己さんの隣のうちで白い蛇が出て女衆がおっかながって困る。その家の3代前のおじいさんが尋ねると、弁天さんが七面さんになりたいのだというので、組の者が講中になって、七面講をしようということになった。それで、その七面さんの下に穴があってそこに白い蛇がいるという。七面さんに祀ってやったら、座敷やお勝手に出てこなくなった。

話 名 大蛇
資 料 右左口の民俗 昭和58年度号
場 所 甲府市 中道町
要 約 滝戸山の大蛇が、週に1度大雨を降らせていた。ある時、猟師が煙草のヤニを大蛇の口にねじ込んで大蛇を退治してしまい、雨は降らなくなった。

話 名
資 料 平栗・加畑の民俗 通巻11号
場 所 都留市
要 約 山へ行ったときに、お姫様の股から蛇が入って、そうしたら一人の人が蓬と菖蒲と尾花の3色をたてて5月のお節句にお湯に入れば身体の中で溶けて出てしまうという。だから、女の人は気をつけて山へ行けという。

話 名
資 料 民俗採訪 ―巻-号通巻
場 所 北巨摩郡 須玉町
要 約 大柴家では、11月の酉の日の、屋敷神を祭る日に、蛇を守る塚も祭る。三代以前の昔、蛇を殺して崇りがあったので、その霊をしずめるために祀った。祝神にお茶をあげ忘れると、夢に蛇が出るという。

話 名 大きな蛇,大蛇
資 料 平栗・加畑の民俗 通巻11号
場 所 都留市
要 約 氏神さんのまわりには大きな蛇がいる。氏神さんの大蛇である。昔の年寄り衆が山を越えていくとすごい唸り声がする。フク石という岩の上ででかい蛇がウォーウォーウォーウォーと鼾をかいている。そのおじいさんはびっくりして山から逃げてきた。

話 名 日蓮上人,七面明神
資 料 雨畑の民俗 通巻13号
場 所 南巨摩郡 早川町
要 約 日蓮上人は説教石に上がり、9年間身延山で修行をしていた。たくさんの人が集まってきたら、大層美しいお姫さんが側で座っている。それをみた荒武者みたいな人たちが、生臭坊主だといったので、日蓮上人が、姿を現してみなさいといって、蓮の葉の池にあった水をたらしてやったら煙が出てきて大きな蛇になりとぐろを巻き、また煙が出てきて消えた。日蓮上人は、「あれは七面明神といって、20里先の山のお池に住むものだ」といったので、みんなびっくりした。

話 名 大蛇
資 料 民俗採訪 通巻昭和58年度号
場 所 北都留郡
要 約 ある村人が白滝の渕へ大きな石を落とした。ところが翌朝、渕に行ってみると石が元通りの所にある。その話が村人に広がったあとに大水があった。その流れの中を提灯のような眼をした大蛇が流れていった。村の人は石の原因は渕にすむ大蛇のせいだと言い合った。

話 名 (椀貸淵),美しい女,大蛇
資 料 甲斐路 第70号
場 所 北巨摩郡 白州町
要 約 清泰寺の25代の方丈白雲のころ、釜無川の曲淵では人寄りのある時に頼むと翌朝、膳椀を貸してくれた。白雲は何者か確かめたいと思い、曲淵に頼んで膳椀を借りて、返さずにいた。5日目の夜に美しい女が訪ねてきて膳椀を返してくれという。女の手を白雲が切り落とすと女はたちまち消えて、そこには大蛇の足が落ちていた。

話 名 大蛇
資 料 民俗採訪 通巻平成元年度号
場 所 東山梨郡
要 約 釜口の一の釜には大蛇がいたという。年よりは毎月28日のお祭りにお重を作って滝に赤飯をさげた。そして、その滝の水が台風などでたくさん出て、落ちてしぶきがあがるのを「大蛇の息どう」といった。

話 名 主,大蛇
資 料 甲斐路 第76号
場 所 東八代郡 芦川村
要 約 鉄砲の名人が芦川村の滝戸山の主だった大蛇を退治した。後に大蛇は鉄砲打ちの夢に現れて、その家の屋敷神に祭られることになった。

話 名 サンジャクゴロシ
資 料 柳沢の民俗 通巻29号
場 所 北杜市 武川村
要 約 サンジャクゴロシという蛇が、南アルプスの山中にいて、それに噛まれると3尺(90㎝)も歩けずに即死するという。緑色で長さが30cmほど、薩摩芋くらいの太さがあり、木から木へ跳ぶという。

話 名
資 料 民俗採訪 ―巻-号通巻
場 所 南巨摩郡 身延町
要 約 古谷城にきれいな娘がいて、梅ヶ島の男が毎夜通ってきた。娘の母が不審に思って男の着物の裾に糸をつけて辿ると、牛淵についた。その後、娘が腰湯につかると、蛇の子を産んだ。

話 名 曲淵,椀貸伝説,大蛇
資 料 山梨県史 民俗編巻
場 所 北巨摩郡 白州町
要 約 曲淵と呼ばれるに前日に頼めば、翌日には必要な数の膳椀を貸してくれたという。清泰寺の白雲が、貸し手の正体を確認したくて、わざと膳椀を借りたままにいた。そしたら五日目のよるに、美女が返してもらいに訪ねてきた。白雲は、彼女が出した白い手をを刀で切り落とした途端、鱗のついた大蛇の足を残して消えてしまったという。その後、膳椀を借りることはできなくなったという。残った蛇骨は今も清泰寺にあり、雨乞いに利用されているという。

話 名 道祖神場,ドンドンヤキ (俗信)
資 料 山梨県史 民俗編巻
場 所 北都留郡 丹波山村
要 約 丹波山村などでは、道祖神場の前がドンドンヤキの場ともなってるケースが少なくない。小正月の十四・十五日ムラの衆がそこに集り、マユダマの団子を焼く。焦げ目の入った団子を食べたら、虫歯を防ぐ、火に当たれば一年無病になる、持ち帰った灰を家の周囲に散らしたら、蛇・病気・火事消防効果があるといわれる。

話 名 竜神
資 料 あしなか 通巻44号
場 所 北都留郡 甲東村
要 約 下女のお玉は長峯の池の主で竜神の化身だったという。毎朝池の水に下半身を浸して水浴していたが主家の主婦に叱責されて家を辞し、桶を地に伏して立ち去った。そこから清水が湧き出して止まることはなかったという。

話 名 五味四郎右衛門の妻
資 料 甲斐路 第2号
場 所 西八代郡 西川大門町
要 約 慶長年間の頃、五味四郎右衛門の妻は、生涯を通じて湯を嫌って水を用いてきたので、人々に竜女といわれた。また、この人は陰毛が竜神となる前触れの毛の丈だった。この一子は出家させられたが、それが日実上人だという。その後、婦人は妙な霊夢を感じて陰毛を3筋切り取り、女に与えて我に祈願をすれば、水難をのがれ、安産になるようにする、もしこの祈願に偽りがあれば、何年か経って不思議なことがある、その時には身延の常経と御嶽山と妙伝寺に必ず献納するようにといい、雨がはげしく降る日に釜無川に消えるように入った。その長毛を子安大明神として帯那の妙伝寺に祀ってある。

話 名 白髪の女人
資 料 甲斐路 第3号
場 所 西八代郡 六郷町
要 約 高前寺の梵鐘は一名横取りの梵鐘といい、日蓮宗に信仰のある富豪が奉納したものであるが、完成した後富士川の鰍沢から身延山を目指しての下りの船で天神ヶ滝の難所を過ぎて鴨狩に近付いたときに奇石に座礁した。この巌に竜波穴と称する謎の巌谷があり、難破の彼方に白髪の女人が現れて申すには、梵鐘は近くの寺に納めて、身延山奉納は改めてみてはどうかという意味だった。それにより、高前寺に納めたため、横取りの梵鐘という。

話 名 竜宮淵,美人
資 料 甲斐路 第6号
場 所 北都留郡 上野原町
要 約 桂川が迂回するところの杵岩の下が淵になっている。昔、ここの百姓が杵岩の上で木を切っていてあやまって斧を淵に落としてしまい、淵に飛び込んで拾おうとすると、淵の底から美人が現れて竜宮に連れて行き、1年あまりも楽しく過ごした。いとまごいをすると、斧の代わりに黄金の玉をくれた。淵から出て家へ帰ると宝珠は忽ちなめらかな丸石となった。よって、宝珠石と名付けて悉聖寺観音堂に納めたが、何者かに盗まれて今はない。

話 名
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 中巨摩郡 竜王町
要 約 慈照寺の開山和尚が悪竜に血脈を与えて教化した。その竜が礼として杖の先から出したのが、竜王水だという。

話 名
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 中巨摩郡 豊村
要 約 天文年間、雲玄洞大和尚が淵に住む悪竜を教化して去らしめた。その跡に立てられたのが、竜泉院である。

話 名
資 料 近畿民俗 通巻49号
場 所 南巨摩郡 増穂町
要 約 竜禅という和尚の説教を竜女が美女と化して聞きに来た。竜女は帰ってから父である病床の竜に説教の話をした。父子とも教化を受け、父の病気も治り、そのお礼に来た。村人がこのことを聞いて淵の傍らに建てたのが南明寺である。

話 名 ウボ穴,竜宮皿
資 料 甲斐路 第59号
場 所 西八代郡 六郷町
要 約 西八代郡六郷町鴨狩津向の高前寺の下の洞穴は、ウボ穴といい、人寄りがあって多数の膳椀が必要の時、淵か川に行って頼むと、翌朝それだけの数が岸の岩の上においてある。用済の器具はよく洗ってお礼を言って岩に置くといつのまにかしまわれる。しかし、心のよくない者が返すときにその数をごまかしたり、壊して返したのでそれからは頼んでも貸さなくなったという。ここで貸してくれる器は竜宮皿といわれて竜宮がかしてくれるものだといわれた。

話 名 大入道,ムジナ
資 料 白州の民俗 昭和52年度号
場 所 北杜市 白州町
要 約 九頭竜集落の氏神様のところに蛍を捕りに行ったら、下から大入道が迫ってきた。挨拶しても返事がない。大入道の頭に蛍が止まったので捕ろうとしたら、消えてしまった。ムジナの仕業。

話 名 竜神の申し子のお姫様,池の宮様
資 料 雨畑の民俗 山梨県南巨摩郡早川町雨畑
場 所 南巨摩郡 早川町
要 約 竜神の申し子として生まれた姫が、父母を亡くして、七面山へ来て池へ入った。姫のことを気にかけていた池の宮様は富士川をさかのぼって訪ねてきたが、雨畑谷まできてて、そこがうっ蒼としているのに失望したのか、水の中へ入って亡くなってしまった。その池は稲又谷にあり、昔の人がタルと呼んだところである。そこに魂が留まった。そこで何百年後そこにタカギシゲンザエモンが通るのを待っていた。

話 名 ウボ穴,龍宮皿
資 料 甲斐路 第70号
場 所 西八代郡 六郷町
要 約 富士川に面した岩水山高前寺の本堂の下の竹薮の中にウボ穴という洞穴があって、欲しい品物の名前を紙に書いて穴に入れておくと翌日器具を貸してくれた。これは龍宮から貸してくれるもので、竜宮皿と呼ばれた。ある時、誰か竜宮皿の1枚を破り、1枚を亡失して、不足のまま返したので、それからは返さなくなったという。

話 名 雨乞いの行
資 料 甲斐路 第88号
場 所 南都留郡 忍野村
要 約 降雨がなく日照り続きの時には雨乞いの行を行う。富士五湖の1つ、西湖の竜宮へ内野地区の親方と小遣いさんである天野仙太氏、通称仙太おじいが一升瓶を持って出かけて水を借りてくる。清水の池のほとにある瘤のついた樹木に瓶を吊るしておいて、それでも雨が降らない時は、神主が幣束、注連縄を樹木に縛って祝詞を奉上し拝んでから、水をコップに入れて池にこぼすと必ず雨が降った。

話 名 竜宮,竜宮皿
資 料 山梨県史 民俗編巻
場 所 西八代郡 六郷町
要 約 本堂の下藪の中にウバアナとよばれる、竜宮とつながっていると考えられた洞穴があり、昔村人の欲しい食器・品物を貸してくれたという。

話 名 竜宮,竜宮淵,神女
資 料 山梨県史 民俗編巻
場 所 北都留郡 上野原町
要 約 桂川の杵岩近くの深い淵を竜宮淵とよばれ、あそこに落ちてしまった1人の百姓が、淵の底に神女に会って、「何でも欲しい物の名を紙に書いて淵に投げいれるが良い」と神女にいわれたという。

話 名 (俗信)
資 料 向原の民俗(上)通巻9号
場 所 富士吉田市
要 約 青でぇしょう(青大将)は大きくなると龍(りゅう)になり、やまっかがしは龍(たつ)になる。

話 名
資 料 民俗採訪 通巻平成元年度号
場 所 東山梨郡
要 約 釜口の一の釜には龍が棲んでいて、龍が出て来て大きい木の根に爪を立て、その跡があるという。

話 名 お薬師さん
資 料 山梨県史 民俗編巻
場 所 南巨摩郡 富沢町
要 約 蓧井山の龍徳寺で祀ってあった薬師如来は、有東川を流れていた川木である。ヨキを打ち込んで薪にしようとしたら血が出たといわれる。または、その川木の夢をみたある人が、川でゆすいだら血が出たので、おまつりした。そして、本堂の中で、その仏が正面を向けても、蓧井山の方に向ってしまうともいわれる。

話 名 お薬師さん
資 料 山梨県史 民俗編巻
場 所 南巨摩郡 富沢町
要 約 蓧井山の龍徳寺で祀ってあった薬師如来は、有東川を流れていた川木である。ヨキを打ち込んで薪にしようとしたら血が出たといわれる。または、その川木の夢をみたある人が、川でゆすいだら血が出たので、おまつりした。

話 名 お薬師さん
資 料 山梨県史 民俗編巻
場 所 南巨摩郡 富沢町
要 約 蓧井山の龍徳寺で祀ってあった薬師如来は、本堂の中で、正面を向けても、蓧井山の方に向ってしまうといわれる。

話 名 さつき姫,龍神
資 料 山梨県史 民俗編巻
場 所 南巨摩郡 富沢町
要 約 六人の供に担がれた駕籠に乗って訪ねてきたさつき姫が、万沢郷の横沢の清水を味わってから池の山の大池に入水して龍神になった。そして大水が流れた。その後、六人の供が小久保に住み着いたので、いまでもそこには六軒しかないといわれる。

山梨県の竜蛇(「怪異・妖怪伝承データベース」より)

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