狛犬・連

庫部:惰竜抄:twitterまとめ:2011.03.04


ある意味「狛犬」を主眼とする神社メグラーというのは神社巡りの過激派と言えよう。そこでは神社の歴史も格式も民俗も由来もなにもが後退して「琴線に響く」狛犬さんがいるかどうかの一点が問題となる。
写真は神奈川県小田原市の「曽比稲荷神社」の狛犬。神社そのものは土地の人しか知らないような「村の鎮守」さんだが、狛犬殿は特Aクラスの格好良さを誇る。

神奈川県湯河原町「五所神社」:神社でとりあえず見た目「表情」を持つのはこの狛犬さんだけだ。故に「ご挨拶」の実感も持ちやすい。「ぬはははは!頭が高いわっ!」とか言ってんだろうね、と思いつつご挨拶をする。

神奈川県松田町「寒田神社」:日本武尊に仕える狛犬達はなるほどまっこと強そうな物腰だ。岩山の上に乗っているがこのモチーフはお隣山北や駿河小山にも見える。
もう一方も凛々しい。「すっく」という立ちっぷり。でも双方子狛が足下に居てとーちゃんかーちゃん(多分)を見上げていて微笑ましくもある。

神奈川県伊勢原市「高部屋神社」:実に不思議な頭をした狛犬さん。よくよく見直してもどうなっているのか良く分からない。
ここ高部屋神社は大規模な五間社の御本殿が独立して後ろに控えているが、その前にも狛犬さんが居る。いかにも「本殿に仕える狛」という感じだ。

神奈川県小田原市「近戸神社」:招魂社系の狛犬さんなのだろうが、ここまで「パンプアップ」している御方は見たことがない。

神奈川県平塚市「前鳥神社」:境内社の方に。勝手に「宇宙狛」と呼んでいるタイプ。「なんだよー、かてーこというなよー」とか言ってそうだ。

神奈川県真鶴町「児子神社」:時々やたらお顔の大きな狛犬さんがおる。ここは遠目に異様さが分かるほどでかい。

神奈川県寒川町「倉見神社」:全体的には「お行儀の良い」現代狛も時々油断ならない。フハッ(©水木しげる)。

神奈川県大磯町「愛宕神社」:狛犬さんは魔を討つのが役目なわけだが、時々余りに「人の良い」ご面相の方もおって、こちらが心配になる。小賢しいタイプの魔物が来たら簡単に騙されちゃいそうだ。

神奈川県小田原市「紀伊神社」:非常に珍しい陶製の狛犬さん。造形もすばらしい。んが、悲しいことに網に覆われてしまっておる。籠の中の狛だ。

静岡県熱海市「多賀神社」:台座下の小さい方に注目。極めてオーソドックスかつまじめな面持ちの本狛の下で「ニシシ」と笑っております。

静岡県熱海市「下多賀神社」:どこに特徴があるのかも良く分からないのだけれど、実に忘れ難い印象を持つ狛犬さんというのもおる。何が引っかかるのだろうね。

静岡県伊東市渚町「八幡神社」:一方で、明快に忘れられなくなる特徴を持つ(笑)、狛犬さんもおる。目が、目が……ぐるぐるぐる。

静岡県伊東市「葛見神社」:何たるアカツカワールド。しかもなんという所に蝉の抜け殻が。漫画的大くしゃみ五秒前、という所だ。

静岡県伊東市「嚴島神社」:伊東市街の狛犬さんは何だか独特だ。こちらも角というよりトサカのようだ。コンクリ造が多いというのも特徴的だ。

静岡県伊東市「引手力男神社」:なんか、お顔のモデルが村人とかに居たのじゃないか、と思われる狛犬さんというのもおる。

静岡県伊東市池「山神社」:時々狛犬さんの直前を植木や柵で封じてしまう様式を見かける。ここは竹の柵が目の前に。しかしこれが逆にブラインド越しに通りを覗く石原裕次郎の如き状態になったりもするのだ(笑)。

静岡県伊東市「八幡宮来宮神社」:狛犬さんそのものの造形の完成度+環境からの好影響(苔むす具合)+保存状態+参拝時の天候光線……と加算されていってとてつもない狛犬さんが出現することがある。
ここは別組の狛犬さんもとても素敵だ。何ともすばらしい毛のなびき具合。小振りだがそれを思わせない迫力がある。

静岡県伊東市赤沢「三島神社」:そもそも狛犬は獅子なのか犬なのかと悩ましいものだが、その悩みも吹っ飛ぶ狛犬さんというのもよくおられる。何の動物なのかといわれても……ナンでしょうね。

静岡県東伊豆町「鹿島神社」:狛犬ではないが、お寺のような瓦屋根の社殿には端にぴょんと獅子が飛んでいることがある。通称「とびこま君」。見つけると「あ、またおった」とちょっと幸せ。

東京都目黒区「目黒不動」:神社でないのだけれど参考まで。こういった犬以外のナニモノでもない狛犬さんもおる。わん。

静岡県東伊豆町「片菅神社」:古くから土地の鎮守として尊崇され続けた神社にはやはり独特の「風格」がある。そこの狛犬さんにもその「風格」は反映されるものだ。

静岡県東伊豆町稲取「八幡神社」:これはオッカネイ狛犬殿。社地に入ってずっと見えない。参拝しようと拝殿直前の石段を上ると茂みの裏に出現する。あたくしギョッとしちゃいました、えぇ、しましたとも(笑)。

静岡県河津町「杉桙別命(来宮)神社」:大きく立派な本狛さんの足下に。小さいながらかなり激しい迫力のあるお顔の狛犬殿である。

静岡県伊東市川奈「三島神社」:体型だけみたらスレンダーで、髪型はストレートロングで、なのだけれど(笑)。しかしよくよくみると獅子舞の獅子のお顔そのものであまり不思議でもないのかも。

静岡県河津町「見高神社」:ここはとても張りつめた空気を持つ神社さんで余所者がウロウロして良いのかと思うくらいなのだけれど、こんなぽちゃっとした狛犬さんが居てくれるので少し安心する。

静岡県河津町「須佐之男神社」:時々「先代の狛犬」さんが境内隅にひっそりおられることがある。ここは玉垣の後ろから覗いておられる。反対側にも。

静岡県河津町沢田「水神社」:じゃじゃーん!という感じの謎狛さん。ナニモノだ。ナニモノなのですか貴方は。これは反対も載せよう(笑)。
この日は雨中とぼとぼ歩いてこの水神社にたどり着いたのだけれど、この狛犬さんだけでもその甲斐はあった、と思った。

神奈川県小田原市寿町「八幡神社」:ネットに載せた後「河童じゃないか」と急激に注目の集まった狛犬さん。しかしその後進展がない。河童なのか。

神奈川県小田原市東町「白山神社」:実はそこから数百メートルの所にも明らかに頭に細工をしている狛犬さんがおる。うーむ、河童狛犬なのか。

静岡県河津町下佐ヶ野「天神社」:「顔から脚が生えておる……」と、ヒトメビックラの狛犬殿。どういう発想がこういう造形を生むのか。
多分こちら反対側の方がさらにすごい気がする(笑)。でも直前に生け垣が来ていて正面が見えない。一体どうなっておるのだおまい様は。

静岡県河津町上佐ヶ野「三島神社」:なんとも……何をそんなに困っておられるのか、という。何度見てもこちらも同じような顔つきになってしまう。

神奈川県開成町「吉田神社」:「威風堂々」という狛犬さんと上の狛犬さんを見比べるとあまりの違いに同じ役割のものなのかと頭がひねられる。

静岡県下田市「両神社」:こちらはスラリと優美なお姿の狛犬さん。子狛も良いですな。こういうのは「立体」で見てはじめてそのよさが分かる。写真だとイマイチ普通の狛犬にも……あたしの写真が下手なだけか(笑)。

神奈川県小田原市「酒匂神社」:さて、そして今回最強の狛犬どん。もうなんだか分からん。本社殿でなく境内社の方に。
いまだにコメントのしようもないね(笑)。タテガミがなかったら……ムーミン?

静岡県河津町逆川「三島神社」:個人的にここの三島さんは一つの目標だった。なので狛犬さんを見たとき「時間がかかり過ぎじゃ」と言われた気がした。そんな「狛犬さんとの会話」というのは良く記憶に残る。

神奈川県湯河原町「子之神社」:名工の一品、というのが一目で分かる重厚かつ流麗なお姿の狛犬殿。今の所直接拝見した狛犬さんの中では最高峰だと思っている。こちらは母狛。
こちらは父狛で、背に子狛を負っている。「子授け子育ての狛犬」なのだ。

神奈川県伊勢原市石田「子安神社」:普通の狛犬さんだけれど印象に残っている。ここは境内が公園の役割を果たしていて、子ども達が元気に遊んでいたのだ。狛犬さんが子ども等を見守っている感じが絵に描いたような光景で。そんな風に残る印象というのもある。

神奈川県山北町岸「八幡神社」:最初の方にあげた寒田神社さんの狛犬と良く似た作り。岩山の上から「何の用カッ!」と見下ろされる。注連縄が首輪になってるのも珍しいかも。
そして何より岩山下の子狛がすばらしい。二匹でじゃれあってるのだ。これは子狛の中でも最強ランクである。

静岡県南伊豆町加納「三島神社」:「優美な」と個人的に思う狛犬さんの特徴を比べてみると「背中のライン」がすーっと流れているという点が共通した。あたしはどうもそのラインに「弱い」らしい(笑)。

千葉県柏市箕輪「香取神社」:すげいお顔の狛犬殿。異人さんのようだ。こういった人面的な狛犬さんというのも多いらしい。これまではあまり見なかったので驚いたが。

千葉県印西市大森「鳥見神社」:こちらは「魔を祓うものも又魔である」を地で行くような狛犬さん。獅子というより狒々のようでもある。

埼玉県飯能市「加治神社」:ここ最近のビッグインパクトと言うとこちら。朝一番に参拝したのがこの神社さんでいきなりこの狛犬さんである。まぁ、肩の力が抜けて良いけど(笑)。

埼玉県日高市「霞野神社」:こんなシャコタンな狛犬さんもおられますな。見るといかにもという感じで自然なのだけれど、意外と他で見た記憶はない。

静岡県小山町「金時神社」:頼光四天王が一人坂田公時を祀る金時神社御本殿の狛犬。主が主だけにそれより弱っちい狛犬では勤まらぬ。くわっ!

静岡県南伊豆町「月間神社」:そんなこんなの狛犬さん特集でした。はじめにも書いたように「ハートを射抜く狛犬さん」がどこにおるのかというのは神社の格式や由緒とはあまり関係がない。なんてことのない近所の鎮守さんにおるかもしれない。と、神社メグラーは次なる出会いを求めてまたふらふらと彷徨をはじめるのであります(笑)。

狛犬・連 2011.03.04

惰竜抄: