修どんと蛇

原文

中郷の安国寺のそばに修どんという人が住んでいた。子供がいなくて、その代わりにいろんな動物を飼っていた。

ある日のこと、不思議な卵を拾ったので、いろりで暖めていると可愛い蛇の子が生れた。小さいうちはなんでもなかったが、大きくなるにつれ悪さを始めたので、人々は怖がって修どんの家を訪ねる人もいなくなった。納戸にかくしておいたが、やはり人々は近よらない。やむを得ず近くの池に放したが、蛇のわるさはやまない。修どんが、そんなに悪さをやるなら遠くへやってしまうぞと叱りつけると、蛇はひどく悲しんで、この悪さはわたしの目がするのですから、目をえぐりとって下さいと嘆願するので、可哀相ではあったが、目をえぐりとってみると、それは如意宝珠という非常な宝物であったので、修どんは私が持つべきものではないと、天子様に献上した。天子様も喜ばれて多くの金を賜わったので、それを元手に分限者になり、全国のお寺に金を寄進した、という。

『川内市史 下巻』より