じゃ松

原文

若い後家が池平に草刈りに行っていると、若い青年も草刈りに来ており、そのうちに二人は話すようになる。男は池底に住み、ひとり者だとわかる。女は男への思いが次第につのり男に結婚してくれと申し込むが、結婚できないとことわられる。女は「恥をかかせた。鎌で首を切り死ぬ」と気違いのように男に迫り、「あなたの子が生みたい。三人の子供を生む間だけ夫になってくれ」と頼む。男は、三人の子供を生むと別れるという条件で夫婦になる。夫婦は仲よく暮らし、三人の女の子が生まれる。ある日、男は「子供が三人でけたな」と言って、その夜に姿を消す。女は池底の部落を訪ねるが、夫のような男はどこにもおらず、気が狂ったようになって帰り、泣いていた三人の子供に「出ていって父親を捜してこい」と外へ追い出す。翌朝、女は子供が心配になり外に出て見ると、庭に三本の松の木が生えており、木を撫でてみると蛇の肌か魚の肌のようであった。(開聞 p.188)

(鹿児島県揖宿郡開聞町・男:女と蛇・典型話)

『日本昔話通観25』より