紫金水

原文

西岸寺の開山大覚禅師が支那より渡来する際、八大竜王に乗って海を渡ってきたので八大竜王を祀ると。また、西岸寺は、諏訪明神の案内寺といわれている。寺を開くとき、諏訪明神が開山大覚禅師の前に現われ、仏法を授けられんことを請うた。この地は寺を建立するによき地なれども、水が無いから禅師が法を授けてくれれば、法恩に感謝する為に水を出しましょう。と、棒を地中に挿したら四方より水が湧き出したという。池を紫金水とよび明神様を祀ってある。

この池竜宮城まで通じるといわれ、昔は客呼びをするとき、お膳やお椀を貸してくれたが、(お願いすると天竜川の淵へ出ていた。)破損して断わらず、そのまま返したから今は出ないという。(平野泰道氏)

『長野県 上伊那郡志 民俗篇上』より