双子池

原文

蓼科山中にある双子池は、闇御津羽大神鎮座の池と伝えられている。夏の日に、龍神がここから水をあげて国中を潤すという。

大むかし秦(中国にあった国の名)の除福が不老不死の薬を求めて日本に来たとき、この山中に住んで双子を生んだ。いつも池のふちに出て遊んでいたので、この池を双子の池といったという。

また峰より南東の方角に当たり、二つの山がちょうどはさむ格好になった池が二つあるからという。いつも草木がおおいかかり、水の色が青くものかなしさにみちている。里人は旱ばつのときにはこの池の水を汲みおろして雨乞いをする。(立科山畧傳記)

『立科町誌 民俗編』より