うみばら 長野県南佐久郡佐久穂町 双子池の雄池の底には、竜が通った跡と伝えられる黒い帯状の線、ウミバラがうねっている。日照りのときは、小石を水底のウミバラにぶつけると、竜神が怒って雨を降らせるという。また佐口では、雌池の水を足を止めず運び、水上の川へあけると雨が降るとも信じられている。 『八千穂村誌 第三巻 民俗編』より 同稿は「双子池の伝説」という題のもとにいくつかの伝説がまとめられている。内、水底の後の話を抜き出した。 蓼科山中、双子山の峠の下にある双子池の伝説としては、ヌシになると宣言していた大尽の息子が池の大蛇となったという代表的な話(「双子池」)がまずあるが、水の底に見える跡は、その息子の雪駄の足跡だとも、このように竜蛇の這った跡だともいう。 引いた話で見るところでは、蛇となった息子の話より、より神としての竜の印象が強いか(息子の蛇にも雨を乞うたというが)。そうであれば、諏訪湖と松原湖の竜蛇の行き来の伝のほうから語られるものかもしれない(「双子池と雌雄の竜」)。 ツイート