蛇石

原文

小海町馬流のうら山に、蛇石という石がある。一間半(約二・七メートル)に一間(約一・八メートル)の大きさで高さ三尺(約九十センチ)ばかりあり、ちょうど蛇が土の中から頭だけ出したような形をしている。

この石があたたまってポタリポタリしずくが落ちるときっと雨が降る。ひでり続きで雨でもほしいような時には、村の人は「蛇石のぐあいはどうだろう。」などといってみて通る。むかし岳(八ヶ岳)にすんでいた大蛇が、山崩れでここまで押し出されて来て石になったのだといわれている。(馬流、旅館業、平林木太54)

『限定復刻版 佐久口碑伝説集 南佐久篇』
(佐久教育会)より