今宮様

原文

佐久市常和の向在家山の中腹に、今宮さんといわれる小さなほこらがある。むかし平賀城主源心の妻にお今というのがあった。お今が密通したので、源心は蛇攻めの刑に処した。地面に大きな穴を掘って沢山の蛇を入れ、その中へお今を裸にして入れた。そのときお今は「この城を三ヵ年のうちににらめ落さん。」といって死んだ。はたして三年目の十二月、この平賀城は武田信玄のために落されたという。そこでこのお今を祭って、今宮さんといっている。婦人の守神として参詣人が多いが、山田神社へ先に参拝すると御利益がない。これは山田神社は蛇に縁があるので、今宮さんから極度に嫌われているためである。またお今の首に蛇をまいて生埋めにしたともいう。(常和、農、水間右馬助54)

『限定復刻版 佐久口碑伝説集 南佐久篇』
(佐久教育会)より