蛇石

原文

むかし、ひとりの武士が、内山の八重蒔沢を通ると、一匹の大蛇がとぐろを巻いていた。刀をぬいて切ったら三つに切れて、頭は平賀へ尾は釜の沢へとび、胴はその場へ残った。そして皆石になってしまった。今も八重蒔沢と釜の沢にあって蛇石といっている。明治の初年までこの石のおまつりをしたそうである。八重まきという名は、蛇が八重に巻いていたからだという。また平賀村の常和にあるのが、この時のものだという。(苦水、農、柳沢てふ70)

『限定復刻版 佐久口碑伝説集 南佐久篇』
(佐久教育会)より