臼田町平林に、上の池・中の池・池の尻という三つの池が五徳の足のような形に並んでいる。二町(約二百二十メートル)くらいずつ離れているが、地下の水が通じているといわれ、中の池には蛇の枕石というのがある。
むかしこの池に大きな蛇が住んでいて、いつもこの石を枕にしてとぐろを巻いていた。蛇がむくりと起きて三つの池を往来すると、必ず雨が降ったので、村人はそれによって晴雨を知ったということである。不思議なことに、中の池はどんなひでりの時でもかれたことがない。水がかれそうになるときまって雨が降る。またどんな長雨でも、この池があふれかかると止むといわれている。(平林、農、足立文之助56)