平林に、上の池・中の池・池の尻という三つの池がある。地下の水が通じているといわれ、中の池には蛇の枕石というのがある。昔この池に大きな蛇が住んでいて、この石を枕にしてとぐろを巻いていた。蛇が起きて三つの池を往来すると、必ず雨が降ったので、村人はそれによって晴雨を知ったという。
不思議なことに、中の池はどんな日照りの時でも涸れたことがない。水が涸れそうになると雨が降る。またどんな長雨でも、この池が溢れかかると止むといわれている。
かつて臼田町であった平林に、そういう池と蛇の枕石があったのだという。現在はあまり三つの池というほどのものは見えないが。雨を告げる蛇石というものは信州に沢山あるがさて置き、ここでは「蛇の枕石」というものがどんなイメージのものかということで引いた。
特に大きさに関して、それは「頭をのせる枕」というのとは違う。「いつもこの石を枕にしてとぐろを巻いていた」というように、とぐろの中にあるのが蛇の枕石なのだ。