国造じいさんが、わたしに教えてくれたんだね。
その人は、魚釣りや、冬は山師をやって、木を伐ったり、流したりしておったが。
ある時、沢の奥に釣りに行ったら、風倒木にシイタケがいっぱい出とったって。
それは何十キロもあったって。
そしたらそれが、大きなヘビに見えたって。
そしたら、
〈こりゃいいことを思い付いた〉
って、膝をたたいて、
〈これは独り占めできる〉
と思って、
「あそこに、魔物がおるで行くんじゃない。食われちまう。おれも食われそうになった」
って、言った。
そしたら、村の者はぶるっちゃって(恐くなって)、あの沢はよさにゃならんって。
そこの沢は、魚もよう釣れるところで、それで自分一人で行って、魚も自由に釣って、シイタケも自由にとったって。