信綱寺の欄干橋のそばの杉の木には、いつも大蛇が住んでいたそうである。それが或る時、竜になって昇天してしまった。ところがそれからは、この木にいつも竜の角の様な枯れ枝が出来るという。
信綱寺というのは真田信綱の位牌所である信綱寺。真田家は中世この南に居館を構えていたという。引いた話に関しては、それ以上のことは不明。杉があるのかどうかも分からない。
しかし、大蛇が竜となるにあたりその住んでいた杉が注目されるというのは珍しいケースかもしれない。枝が角のようになったというのも特異な発想だろう。
ところで、御柱が蛇だというなら、大樹と蛇の伝説が多く語られそうな諏訪周辺なのだが、実はあまりこの関係を語る傾向は見えない。佐久の安養寺の槻(欅)に大蛇の精がいたというが(「槻の木の精」)、あとはそのくらいか。