たたる蛇

原文

或る時、真田の或る爺さんが、畠へ行ってかまけていると、石垣から一匹の蛇が出て来たので、しょつかめようとすると、尾が切れて腹から上は、やつくら穴に入ってしまった。爺さんは困ってしまって石垣をくずして見たがもういなかった。きびが悪くなって家に帰って見ると、孫娘が眼をすえて、物におびえたように、おっかねいおっかねいと言って泣いていて何とだましても、だまらなかった。仕方なし、易を見る人に見てもらうと、蛇がたたっているといわれたので除けてもらったら、すぐなおってしまったという。

箱山貴太郎『上田市付近の伝承』
(上田小県資料刊行会)より