和熊の入口にたばという所があるが、そこに昔池があったそうだ。ところが村の人々はそこが丁度田にするによい所だったし又大日向の村は田の少いところなので、田を造ろうと思って埋めると、今迄池なぞなかった、和熊の奥に丁度形も大きさも同じ位の池が出来たそうだ。
人々はそれを天池と呼んでいたが、それも都合で埋めると、今度は榛名山に今の湖水が出来たのだそうだ。此の池は昔は青ぶちたったものすごい所であったが、今は水はすこししかない。昔この池のそばに来たら岩の上に綺麗な女が髪を結っていた、近づくと池の中にとび込んでしまったそうだ。其の後人々は何度もそれを見たという。それでこれを尼池といったのだそうだ。又大蛇が住んでいたとも言っている。