塩谷の池の主 新潟県長岡市 塩谷の村の話だが、昔村の上に池があり、センリュウ様という主がいた。センリュウ様は井戸を掘ってほしくないので、代わりに良い清水を出して、村に水を不足させなかった。 その水を皆飲んでいたが、最近水道になって池をつぶしてしまった。その時、センリュウ様は牛になって逃げたとか、雲に乗って夕立についていったとかいう。 『山古志村史・民俗』より要約 話が採取されたのは旧山古志村域の菖蒲というところだが、話の塩谷(しおたに)村というのはかなり離れた今の長岡市上塩・下塩地区のことと思われる。はるか村上市のほうにも塩谷(しおや)とあり、塩谷村があったが、それは遠すぎるだろう。 他にも塩谷が山古志村域と牛でつながる話があり(「池の平の主」)、虫亀のほうのヌシが牛となって塩谷に来たのだという。センリュウ様と同じ存在かは不明だが、並べて覚えておくのがよいだろう。 「せんりゅう」とは何かも不明。普通に考えると潜竜、あるいは青竜の転だろうが、もう一点、牛との絡みで「犀竜」からの転ではないか、とも思っておきたい。ずっと西になるが、柏崎市谷根のほうには犀と牛が闘ったという話がある(「犀が淵」)。 ツイート