第六天は、おっかない

原文

甲州街道の向こう(北側)に、第六天というのがあったんだよ。それも、おっかなかったなあ。そこには、ひと抱えもある、ヒノキの大きなのがあったんだよ。そのボサヤブのところは伐らずにおいたけどな、ヒノキを伐っちゃったらな、木挽が伐っちゃったらな、そこから蛇が出たんだ。蛇を切っちゃったんだ。中に蛇がいて。それを木挽がな、見てな、てめえは気ぃ病んで家へ帰って、そんで、寝込んで、死んじゃった。

それからな、そんなんで当分そのままでいたんだな。そうしたら、根っこをきれえにしちゃってな、そいで、昔のこって(昔のことで)桑を植えたんだ。蚕するのに桑を植えて畑にしたんだ。そうしたら、その人は、気が変になっちゃった。

第六天は、おっかなかったんだよ。(下石原 明治二十七年生〈男〉)

『調布市史 民俗編』より