星ヶ池

千葉県鴨川市

昔、高鶴山の神様は、天空にいる星に恋してめでたく結ばれた。星の父親であるお日様と、母親であるお月様は、娘のためにいろいろと支度をして嫁に出した。山の神と星は何一つ不自由なく楽しい結婚生活を送ったが、ただ、湯浴びをするのに水がないので困って、母のお月様に頼んで天の川の水を降らしてもらった。そのおかげで、この山のあたりの谷川は、いつも水が豊かで田畑もうるおい、人々は大いに喜んだ。いまもある星ヶ池は、お月様から恵まれた水を溜めた渕である。

鴨川市郷土資料館『長狭地方の民話と伝説』より

南西諸島の伝説であるといってもおかしくなさそうな、驚くべき話といえる。現状、そういう話を伝えた山が房総の先にあった、としかいえない。高鶴山の頂には、代々石尊権現が祀られてきたという。高鶴山の北西奥には相州大山を祀り、普利雨祭を行った土地もある。