清水庵の白蛇

原文

昔、清水庵(清水の観音様)の近所の人がお伊勢参りに行きました。

とちゅうで女の人と出合ったところ、その人が、

「これを銚子の清水庵へ届けてください。しかし、とちゅうでは絶対に見ないでください。」

といって、紙包みを渡しました。

その人は、不思議に思いましたが、約束を守って、清水庵まで持ち帰りました。お堂の中で、その紙包みをそっと開けてみました。

すると、その中から白蛇の子が出てきて、すーっとお堂の奥の方へ消えていきました。

その夜、その人が眠っていると、いつかお伊勢参りのとちゅうで会った女の人が夢まくらに立って、ていねいにお礼をいいました。

その後、だれいうとなく「清水の観音様」には、白蛇のヌシがいるといううわさがたちました。

銚子市教育委員会『銚子の民話』より