越上山

埼玉県入間郡越生町

この山は遠く望めば、江戸の方までみえるという山である。
雨がほしい時は、村人は笛や太鼓をならしながらこの山頂に登り、たき木を集めて火をつける。そして上に「雨」下に「龍奉」と書いた赤地の長い旗を持って、
  有馬山の竜タツ坊
  これへかかれ黒雲
  ザアンザと降ってくれ
と呪文を唱えながら、その火の周囲をまわる。たき木を不完全燃焼させて、黒煙をもうもうと上昇させるようにする。(神山弘『ものがたり奥武蔵』)
入間郡越生町黒山

韮塚一三郎『埼玉県伝説集成・上』
(北辰図書出版)より