氷川さまの石

埼玉県朝霞市

女の人が橋をわたり、池をこえてやって来ました。手には、お酒を入れる手おけをさげていました。
橋をかける仕事をしていた人夫が、
「ねえちゃん、どこへ行くんだい」
と聞くと、
「お酒を買いに」
と女の人が答えました。近くにお店などがないのでお酒をおけに入れてやると二、三合(一合はやくコップいっぱい)しか入らない小さなおけなのにいくらでも入るので人夫はおどろきました。
女の人は、お礼をいって帰っていきましたが、人夫が心配して見ていると、女の人は、池の中に入ってしまいました。身なげをしたのだと人夫たちが池の中をさがし、助けあげてみると、丸いきれいな石になっていました。その石を氷川さまにお祭りしたということです。(溝沼)

子どもの本をよむ会『朝霞むかしむかし』
(朝霞市立図書館)より

ここは江戸時代の間は地類権現社(地棋権現社・じるいね様)であり、氷川神社の話、というには当たらないかもしれない。地類さまというのは不詳。そう刻まれた石が畑から出たのを祀ったからだというが、この昔話との関係は分からない。