滝之城の大蛇 埼玉県所沢市 八王子城の支城、滝之城は大蛇に守られていた。小田原が落ちる際に攻められたが城は落ちなかった。そこで敵方は、舞台を造って神楽を上げ、大蛇を誘き寄せた。その場所は舞台という地名になっている。 大蛇が見物しに出た所を狙って弓で射た。大蛇の頭が飛んで落ちた所を射頭(いがしら・井頭)という。首をなくした大蛇は新座市大和田の方の沼へ逃げて死んだ。そこを頭無(かしらなし)という。 『所沢市史 民俗』より要約 八王子城周辺の竜蛇譚には、城主・北条氏照が小田原宗家の虎に対して竜を印章としていたことに由来するという面があるのじゃないかという件がある。そして、その八王子城支城はこのように大蛇に守られていたという。 やはり、大石氏・北条氏照の線はそういうことをいうか、と思えるのだが、同『所沢市史 民俗』には「城に大蛇がいて困るから城兵が退治する」というストーリーになっているものもある。 これは新座・志木の「かしらなしの大蛇」と関係する話で、混同もあろうかと思われる(「首無しと首弁天」)。ただし、遠方にも「大蛇に守られていた」「大蛇を退治した」の二面を語るところはある。 また、城を守る蛇というモチーフは埼玉県下にまま見える、という件もある。行田の忍城にもそういった話がある(「お城の大蛇」)し、川越城にも近しいものがある(滝之城にも霧吹き井の跡があったという『入間郡神社誌』)。どちらも小田原北条の関東制覇以降は北条の城ではあるが。 ツイート