片目の神魚 埼玉県さいたま市緑区 見沼には神魚とされる片目の魚がいた。女体社の祭礼には社中の者が捕えて供えるのが例だった。 承応年中、江戸の町人が片目の魚を得ようと勝手に漁をしたところ、小蛇が三笊も引き上げられ、肝をつぶして江戸に逃げ帰ったという。また、貞享年中に、浅草の見沼運上を御請した店が、奥州米沢の手代七兵衛とういのを連れていたが、この男が急に盲になってしまった。 驚き調べると、江戸に送った荷物に片目の鯉があったという。知らずに行ったことと、急ぎ返上して参籠したところ、三七満夜に、許しの霊夢があり、両目が明いたという。 『大宮市史 第五巻』より要約 見沼にも片目の魚の話があった。これをもって氷川女體神社の神は片目だ、といえるかというとそうはいかないだろうが、覚えておくべき伝ではある。草加のほうだが、女体さまの神像が片目だ、という話は実際あるはある(「片目の女体様」)。 氷川女體神社の御祭神は額面としては勿論、大宮の須佐之男命の妃神・奇稲田姫命を祀るのだが、それだけでは見沼の竜蛇祭祀との関係は語ることができない。 ツイート