ぐいぐい様っていう石があった河原におおきな洞窟があるんですよ、金を掘った穴が。武田信玄が全部掘り尽くしちゃうんですけどね。今でも、少し金が河原に露出しています。その砂金をとった場所もありますけどね。
そのね、金が掘れなくなって困ったときにね、その砥沢城のお姫さまのところへ、夜中に美男子が現れるんですね。
「わたしが砥沢城を助けてやろう。金を掘ってやろう」
といって坑道に入って金を掘るんです。
たしかに金は掘れたんだけれども、そのお姫さまがある時、おにぎりをもって、その人へ届けにいったら、真っ白な大蛇がねているんですね。若い侍じゃなくて大蛇だったんですね。
その大蛇は、
「どうしても姫をお嫁にほしい」
というんだけどね、姫さまは、婚約者があって嫁にいけないんですよ。それで、渕にとびこんで死んでしまうんです。
その大蛇もそれを嘆いて大きな松の木にからまって、何も食べないでいて、ついに、その松の木にからまって死んでいたという。
その松の木があったんだけれども枯れてしまってね、その松の木の下に、その姫の墓だというのが残っていますよ。その砥沢というところに。（テープおこし 中山）