鳥がね、毎年うちに巣を作れば安心だ。休むと危ねえっつんだ。燕でも何の鳥でも巣作って、それを休むとそんときは危ないね、うちは火ごとがある。現にあったんおらいうちは。この下にいたときね、豆だ稗だ粟だって干すんだ、ハゼっつうんだよ、庭さこうおっかけて、それ縛って乾かすんだよね。乾かさなきゃ、それしておいただよ。そこへちょうどその巣作るとかで、ちじんって鳥が毎年作ってんだよ、巣を作ってんだ毎年。それが一回休んだのよ。そうしたら、すぐうち焼けたことがあった。半分うち焼いた、おらんち。(上野村乙父 山中熊吉)
まったく竜蛇の話ではないが、各地でいう渡り鳥が来なくなったら禍がある、という俗信の代表例。燕にいたずらすると火事になる、などというのも、燕が巣を作らなかった年には、その家には何かがある、という話のつづまったものだろう。
これが蛇の話でもある「燕の土産」の話型に、少しそれを匂わせるところもある、ということで参照するために引いた。「ツバメのおみやげ」を見られたい。