シッポの切れた青大将

原文

曽木神社の周辺にはヘビがかなりいて、また大きなのもいる。たいがい青大将である。青大将は大きい石垣や俵石(かつぎ石)で冬眠しており、ゴケンゾク(御眷属)だと言って大事にし、いたずらなどする者はいない。

こんなヘビにまつわる話がある。

おかみさんが曽木神社の縁の下にある石を持ってきて養蚕部屋に置くとネズミ除けになると聞いて、石を持ってきて置いといた。そんなことは知らないだんなさんが、

「こんなところに石ころを持ってきて、じゃまっけだ。」

と言って外にほうり出してしまった。おかみさんが、わけを話してもダメだった。

その後だんなさんがカゴ台の下をのぞいて見たら、シッポ切れの青大将が、からまりついていた。そこで、おかみさんが、

「それ見な、神様の石をそまつにするから。」

と言い、庭に落ちている石を拾ってきて、きれいに土をおとして養蚕室の中に置いた。そして

「これからは、お姿を現わさないでお守りください。」

と言ったら、青大将は静かに姿を消した。だんなさんは青くなって驚き、以後石を大事にするようになった。(曽木)

『富岡市史 民俗編』より