蛇崩 群馬県富岡市 下高瀬の一番東にあり、昔山が崩れた。これは蛇が崩したのでこう呼んだ。この山崩れは下高瀬の現蛇崩付近をのみ込み、大部分の家を潰した。人々はこの辺は危険だといって他の土地へ移った。残ったのは萩原姓二軒と、堀越姓二軒だけだった。ここを三ツ谷と呼んだ。崩れた所へ或る人が行ってみたら、大きな蛇がいて、この人は家へ帰ってから病気になり、間もなく死んだという。（高瀬） 『富岡市史 民俗編』より 実際の場所は不明。富岡ICへ入るところなので、整地されたものかもしれない。東隣の内匠のさらに東端と田篠の境には蛇喰の小地名も見え、これも土砂崩れがあったようなところだ。 打越のほうの蛇崩の話（「蛇崩観音」）などもそうだが、このあたりの蛇崩地名に関する伝説は、出てきた大蛇のほうがとってつけたような感じであり、まず地名（災害名）ありきである様子がよくうかがえる。 また、鏑川をさかのぼった神農原・大島のほうにも蛇崩地名があり、ここで「じゃくい」と読むらしいことがわかるのだが（「蛇の井」）、これだけ蛇崩地名が並ぶ所というのも珍しく、災害と地名で蛇を出すなら代表する地域といえるかもしれない。 ツイート