白山神社の白蛇

群馬県高崎市

倉賀野神社の認可申請に当たっては、五社合併が必須とされたが、白山(しらやま)神社や彌榮(いやさか)神社という南町の守神も飯玉神社に移され、神社の建物は取り壊され、大木は伐り倒された。その、伐り倒された白山神社の大木に、一際大きな木があった。

大人が五、六人で手を組んで一周できたほどだったといい、中ほどは雷に打たれたのか、黒く空洞になっていた。その虚の中に、いつの頃からか白蛇が住んでいたという。白蛇が外に出ることはなく、故に見たという人もなかったのだが、次第にそれは評判になった。

そして、白蛇を見れば一生眼の病にかからない、とか、白蛇に歯を見せれば、口の中の病にかからない、などと噂され、信仰にまでなった。子どもの歯が抜ければ大木の穴に入れ、虫歯が痛むといっては願がかけられ、多くの人が朝大木の根方で歯を磨いたという。

徳井敏治『皇紀二千六百年 伝説の倉賀野』
(昭15)より要約

話にあるように、倉賀野の白山神社は飯玉神社を主体として合祀され、倉賀野神社となった。白山さんに参ると歯が治るというのは全国でそういい、ここもそうなのだが、ここではその対象が白蛇であるところが重要となる。

今となっては倉賀野の白山神社がどのような社であったかを追うのは難事だが、白山と蛇、という組み合わせがはっきり見えていた事例として重要だと思われる。